2023.12.13
大都市圏オフィスワーカー調査2023②働き方の評価編
~ワーカーの働き方と価値観の変化を捉える~
2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行するなど、コロナ禍収束後の世の中へと変容しつつある。
ザイマックス不動産総合研究所(以下、ザイマックス総研)では、企業とオフィスワーカーそれぞれの視点から働き方と働く場所の変化を捉えるため、企業については「大都市圏オフィス需要調査」を2016年秋より計14回、オフィスワーカーについては「首都圏オフィスワーカー調査」を2016年末から計7回実施してきた。今回、第8回目となるオフィスワーカー調査は、調査地域に地方都市を追加し2023年10月に実施した。本ページは調査結果のうち、現在の働き方への評価についてフォーカスし分析した結果をまとめたレポートの<概要版>として一部を抜粋したものである。なお、同日公表の「①働き方の実態とニーズ編」(*1)では、働き方の実態とニーズに関する結果をまとめている。
- ・ 現在の働き方について「(非常に・やや)満足」と回答した割合が4割超を占めるものの、過半数が満足していないとも捉えられる【図表1-1】。働き方への満足度別に自身のパフォーマンス、勤務先組織に対するエンゲージメント、ストレスについてみると、いずれの項目も満足度が高いほど高評価である【図表1-2】。
- ・ 現在の働き方に対し「(やや・非常に)不満」と回答したワーカーの具体的な不満・課題としては、「通勤が苦痛に感じる」(49.8%)、「テレワークでできる仕事でも出社を要求される」(45.1%)が上位であった【図表2-1】。
- ・ 働き方に関する不満・課題のなかでも「テレワークでできる仕事でも出社を要求される」、「在宅勤務が禁止・制限されるようになった」、「周りの雰囲気や上司の意向でテレワークしづらい」といった、テレワークを自由にできないことに関する項目は満足度と負の相関がみられた。加えて、「現在、完全出社である」とも負の相関、「その日働く場所を自分で選べる裁量がある」とは正の相関がみられたことから、テレワークの選択肢を持ち、働く場所を自由に決められるか否かが満足度に影響すると推察される【図表2-2】。ただし、実態では半数以上のワーカーが働く場所の裁量について「(あまり)ない」(51.8%)と回答している【図表2-3】。
- ・ 働く場所の裁量の有無別に働き方の実態を確認すると、裁量があるワーカーほどテレワークの時間が多く、オフィス内外で働く場所が充実していることがわかった【図表3-1,3-2】。
<調査概要>
調査期間:2023年10月
調査対象:①スクリーニング調査…職業が「経営者・役員、会社員」の調査対象地域に住む20~69歳の男女を対象に実施
②本調査…スクリーニング調査で職業が「会社・団体の役員、会社員・団体職員」、職種が「管理的職業、専門的・技術的職業、事務的職業、営業職業」、在籍するオフィスが「首都圏(1都3県)、大阪市、名古屋市、福岡市」、住まいが「首都圏(1都3県)、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、福岡県、佐賀県」、現在の主に働いている場所が「オフィス(事務所)、自宅」と回答した人
有効回答数:4,120人
※在籍するオフィスの所在地により割付している
(首都圏:2,060人、大阪市:1,030人、名古屋市:515人、福岡市:515人)
調査地域:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、岐阜県、愛知県、三重県、
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、福岡県、佐賀県
調査方法:インターネット調査
<関連調査>
・2022年11月30日公表「首都圏オフィスワーカー調査 2022」
topic 1
現在の働き方について「(非常に・やや)満足」と回答した割合が4割超を占めるものの、過半数が満足していないとも捉えられる【図表1-1】。働き方への満足度別に自身のパフォーマンス、勤務先組織に対するエンゲージメント、ストレスについてみると、いずれの項目も満足度が高いほど高評価である【図表1-2】。
【図表1-1】現在の働き方への満足度
【図表1-2】<働き方への満足度別>現在のパフォーマンス/エンゲージメント/ストレス
topic 2
現在の働き方に対し「(やや・非常に)不満」と回答したワーカーの具体的な不満・課題としては、「通勤が苦痛に感じる」(49.8%)、「テレワークでできる仕事でも出社を要求される」(45.1%)が上位であった【図表2-1】。
働き方に関する不満・課題のなかでも「テレワークでできる仕事でも出社を要求される」、「在宅勤務が禁止・制限されるようになった」、「周りの雰囲気や上司の意向でテレワークしづらい」といった、テレワークを自由にできないことに関する項目は満足度と負の相関がみられた。加えて、「現在、完全出社である」とも負の相関、「その日働く場所を自分で選べる裁量がある」とは正の相関がみられたことから、テレワークの選択肢を持ち、働く場所を自由に決められるか否かが満足度に影響すると推察される【図表2-2】。ただし、実態では半数以上のワーカーが働く場所の裁量について「(あまり)ない」(51.8%)と回答している【図表2-3】。
【図表2-1】現在の働き方で感じている不満・課題
【図表2-2】現在の働き方への満足度との相関係数
【図表2-3】働く場所の裁量
topic 3
働く場所の裁量の有無別に働き方の実態を確認すると、裁量があるワーカーほどテレワークの時間が多く、オフィス内外で働く場所が充実していることがわかった。
裁量の有無別にオフィス内のレイアウトの利用率をみると、「オープンなミーティングスペース」「リモート会議用ブース・個室」「リフレッシュスペース」など、固定席以外の全てのレイアウトについて、裁量があるワーカーのほうが利用率が高い傾向がみられ、オフィス内でも目的に合わせて働く場所を選ぶABW(Activity Based Working)な働き方をしていることがわかる【図表3-1】。
テレワークのなかでも「サテライトオフィス勤務」と「在宅勤務」の実施率をみてみると、裁量がないグループは「どちらもなし」が8割超である一方、裁量があるグループはサテライトオフィスの利用率(「サテライトオフィス勤務・在宅勤務併用」と「サテライトオフィス勤務のみ」の合計)が約2割にのぼる【図表3-2】。
【図表3-1】<裁量の有無別>オフィス内のレイアウトの利用率
【図表3-2】<裁量の有無別>テレワークする場所に関する施策の実施率
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