1つのオフィスにこだわらない「ミレニアル世代」

1つのオフィスにこだわらない「ミレニアル世代」

サードプレイスオフィスで働きたいのは若年層?

民間事業者によるサードプレイスオフィスサービスの市場が拡大し、オフィスワーカーが働く場所として、会社や自宅に次ぐ第三の選択肢が増えつつあります。「シェアオフィス」「レンタルオフィス」「コワーキングスペース」など様々な名称で呼ばれるこれらのサービスが注目される背景には、固定的なオフィスに縛られず、柔軟に場所を選択しながら働きたいというニーズの高まりがあるといえるでしょう。

では、実際にこうしたニーズを持っているのはどんな人たちなのでしょうか。ザイマックス総研が2016年11月、オフィスワーカーを対象に行った調査(*1)では、場所を選んで働けるタッチダウンタイプのサードプレイスオフィスについて、若年層ほど利用意向が高い傾向がみられました(【図1】)。中でも20~24才の回答者では65.6%が「利用してみたい」「やや利用してみたい」と回答しており、最も利用意向が低い55~59才(32.2%)と比べて2倍以上の結果となっています。

【図1】サードプレイスオフィス(タッチダウンタイプ)の利用意向

(単一回答、n=1,858)

「ミレニアル世代」の合理的な働き方

この調査で利用意向が最も高かった20~24才、25~29才、30~34才の3つの層は、1980年代半ば~2000年前後に生まれた「ミレニアル世代」と呼ばれる世代です。彼らはインターネットが当たり前にある世界で成長し、上の世代とは異なる価値観を持つ層であると考えられています。

例えば、非営利団体Growing Leadersが2017年6月、18歳以上のアメリカ人2,264人を対象に行った調査(*2)によると、18~34歳の回答者のうち69%が「人間よりもテクノロジーからより多くの知識を得る」と考えており、全世代で最も多い結果となったそうです。ちょっとした疑問なら同僚に聞くより「ググる」(Google検索する)というのは、日本のミレニアル世代にもみられる行動パターンではないでしょうか。

サードプレイスオフィスに対する利用意向の高さにも、彼らのこうした意識が反映されているのかもしれません。一か所に集まり従業員同士で顔を合わせて働くことをあまり重視せず、それよりも各自が都合の良い場所を選んで効率的に働くことに価値を感じる。実際に、サードプレイスオフィスを利用しているミレニアル世代にヒアリングを行った結果にも、その傾向は表れていました。

例えば、都内で働く20代後半の男性は、勤務先企業が契約しているシェアオフィスで働くことで仕事の生産性が高まっていると話します。「オフィスにいると気軽に声を掛けられたり、周りの会話が気になったりして集中しづらい。一人で完結できる業務内容ならシェアオフィスの方が捗ります。報告や共有などもWEB会議やチャットで済ませるようになって、無駄な会議が減りました」。

また、30代前半の女性は、「子どもを幼稚園に送ってから最寄りのシェアオフィスに出勤するなど、育児との両立に効果を感じています。テレワークの前日には、同僚と必要なコミュニケーションを済ませるようにしているので、同じ場所にいないからといって不都合を感じることはありません」と話します。同様に、従来の集約的なオフィスで働く必要性をあまり感じていない人は多く、「カフェや自宅でアイデアを発散し、近くのシェアオフィスへ行って資料にまとめることが多い」(30代前半・企画職)といった働き方の例も聞かれました。

一方で、「面談やブレイン・ストーミング、利害関係のある調整などは対面で行いたい」という意見もあり、用途に合わせて働く場所を柔軟に使い分けたいという意向があることがわかります。彼らの好む働き方を知ることは、今後、少子高齢化に伴い厳しさを増す人材確保の観点からも重要となっていくのではないでしょうか。

*1 参照:2017年4月13日公開レポート「働き方改革と多様化するオフィス」

*2 出典:http://www.prweb.com/releases/2017/07/prweb14552192.htm

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