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2014.12.01

1人あたりオフィス面積調査(2014年)

~1人あたりオフィス面積は横ばい、1人あたりオフィス賃料も算出~

ザイマックス不動産総合研究所は、企業におけるオフィスの利用実態を把握するため、オフィスビルに入居するテナント企業を対象に継続した調査を行っている。 本調査は、一般的な事務所に入居している企業における利用者1人あたりの賃借面積(以下「1人あたりオフィス面積」)について毎年分析しているものである。今回は2014年の最新結果をまとめるとともに、企業のオフィスコストに対する関心が高まっているため、利用者1人あたりの共益費込みの賃料(以下、「1人あたりオフィス賃料」)についても算出した。

※前回調査は2014年5月22日公表「1人あたりオフィス面積調査(2013年)」参照

調査結果
  • ・2014年東京23区の1人あたりオフィス面積は3.92坪、ここ数年横ばいで推移
  • ・オフィスビルの所在エリア、テナントの業種により、1人あたりオフィス面積は異なる
  • ・拡張ニーズで移転したテナントにおける、移転前の1人あたりオフィス面積は2.71坪であった
  • ・2014年東京23区の1人あたりオフィス賃料(共益費込み)は月額62,646円、ここ数年緩やかに減少している
調査の概要

調査期間

2009年から2014年(年に1度)

調査対象

首都圏のオフィスビルに入居する一般事務所用途テナント

有効データ数

東京都23区 5,363テナント 2009年:829 2010年:871 2011年:894 2012年:909 2013年:987 2014年:873 首都圏(23区除く) 565テナント 解約情報:200件

計算方法

調査対象テナントの賃借面積及び月額賃料をそれぞれの利用人数で割った値の中央値

備考

面積は賃借面積(実効面積ベース)。執務室の他、エントランス(受付)、会議室、休憩室、書庫、倉庫、専用部内廊下などが含まれている。 賃料は共益費を含める。 人数はテナントから「利用人数」として回答のあった数字

1人あたりオフィス面積の分布と推移

図表1は、2014年の東京23区における1人あたりオフィス面積の分布で、中央値は3.92坪であった(半数のテナントは3.92坪より小さく、残りの半数のテナントは3.92坪より大きい)。

[図表1] 1人あたりオフィス面積の分布(2014年、東京23区)

[図表1] 1人あたりオフィス面積の分布(2014年、東京23区)

1人あたりオフィス面積の年別推移を示したものが図表2である。2009年から2014年にかけて、4坪程度で推移しており大きな変化は見られない。

[図表2] 1人あたりオフィス面積の推移(2009~2014年、東京23区)

[図表2] 1人あたりオフィス面積の推移(2009~2014年、東京23区)

本調査における「オフィス面積」はテナントの賃借面積全体を対象としている。賃借面積には執務スペースの他に、会議室やサーバールーム、リフレッシュスペースなどの非執務スペースが含まれているため、1人あたりオフィス面積は実際の1人あたり執務面積より広くなる。

なお、執務スペースと非執務スペースの割合については「オフィスの利用に関するアンケート2014」(※)で調査している。そこでは、オフィスの賃借面積全体の約3割を会議室、サーバールーム、リフレッシュスペース等の非執務スペースとして、約7割を執務スペースとして使っていると回答した企業が最も多かった。

※2014年12月2日公表「オフィスの利用に関するアンケート調査2014」参照

エリア、業種による1人あたりオフィス面積の違い

1人あたりオフィス面積のエリア別と業種別について、例年同様に分析を行った。 その結果、エリア別では新宿区(3.70坪)、渋谷区(3.72坪)の1人あたりオフィス面積が比較的小さく、逆に東京23区を除いた首都圏(4.38坪)の大きい傾向は変わらなかった(図表3)。

[図表3] オフィスビルの立地別の1人あたりオフィス面積の比較(2014年)

[図表3] オフィスビルの立地別の1人あたりオフィス面積の比較(2014年)
千代田区 中央区 港区 新宿区 渋谷区 東京23区全体 首都圏(23区除き)
2009 4.25 3.95 3.93 3.77 3.53 3.91
2010 4.25 4.14 4.02 3.42 3.45 3.95
2011 4.00 4.28 4.04 3.20 3.85 4.00
2012 4.39 4.00 4.02 3.40 3.52 3.96
2013 3.99 4.25 3.82 3.62 3.62 3.93 4.16
2014 4.194.173.723.703.723.924.38
業種別でも昨年と同じ傾向が確認できる。「金融・保険業(4.13坪)」「学術研究、専門・技術サービス業(4.25坪)」「製造業(4.22坪)」「卸売業・小売業(4.26坪)」は東京23区全体と比較して大きく、「情報通信業(3.38坪)」「サービス業(他に分類されないもの)(3.60坪)」は小さい結果となった(図表4)。

[図表4] 業種別の1人あたりオフィス面積の比較(2014年、東京23区)

[図表4] 業種別の1人あたりオフィス面積の比較(2014年、東京23区)

※1 学術研究、専門・技術サービス業 ・・・ 弁護士事務所、会計事務所、広告代理業、経営コンサルタント業など ※2 サービス業(他に分類されないもの) ・・・ 職業紹介・労働者派遣業、政治・経済・文化団体、警備業・ビルメンテナンス業など

金融業 保険業 学術研究 専門・技術 サービス業 ※1 製造業 卸売業 小売業 情報通信業 サービス業 (他に分類され ないもの) ※2 東京23区 全体
2009 4.11 3.96 4.30 3.29 3.99 3.91
2010 4.52 4.16 4.23 3.10 3.66 3.95
2011 4.38 4.41 4.13 3.20 3.51 4.00
2012 4.36 4.41 4.16 3.36 3.48 3.96
2013 4.35 4.11 4.24 4.48 3.54 3.54 3.93
2014 4.13 4.25 4.22 4.26 3.38 3.60 3.92

1人あたりオフィス面積の変化によるオフィス移転

1人あたりのオフィス面積は4坪程度に集中しているが、採用や退職などによりオフィスの利用人数が変わると1人あたり面積が変わる。「広すぎる」「狭すぎる」といった状況はオフィス移転の誘因になりうる。 そこで2009年から2014年にかけて移転した企業について、手狭であることによる拡張移転と、人員減による縮小移転したテナントを比較したところ、解約予告を出した時点の1人あたり面積は、拡張移転の場合2.71坪、縮小移転の場合4.12坪であった。縮小移転は「広すぎる」という面積による要因以外にも、コスト削減等、要因が複合的であるため、全体の1人あたりオフィス面積と大きな差がつかないと考えられる(図表5)。 なお、当社が2012年に行った館内拡張と縮小における調査では、館内拡張の場合3.05坪(拡張前)→3.72坪(拡張後)、館内縮小の場合4.24坪(縮小前)→3.38坪(縮小後)と変化が見られた(※)。

※2013年9月19日公表「東京23 区 1人あたりオフィス面積調査(2012 年)」参照

[図表5] 移転類型による1人あたりオフィス面積の違い(2009年~2014年、東京23区)

[図表5] 移転類型による1人あたりオフィス面積の違い(2009年~2014年、東京23区)

1人あたりオフィス賃料の分布と推移

オフィスを賃借している企業は、従業員の働くスペースを確保する対価としてオフィス賃料を毎月支払う。そのオフィス賃料は企業のファシリティコストの相当な部分を占めているため(※)、従業員1人あたりのオフィス賃料を把握することは、企業の運営コストを試算する上で重要と考えられる。 図表6は、2014年における1人あたりオフィス面積の対象テナントの月額賃料を利用人数で割った数値の分布である。横軸は月額賃料÷人数の階級、縦軸は階級内のテナント数の割合である。前述の1人あたりオフィス面積と同様、中央値を「1人あたりオフィス賃料」としたところ。2014年は62,646円となった(1人あたり支払っている月額賃料について、半数のテナントは62,646円より少なく、残りの半数のテナントは62,646円より多い)。

※JFMA「ベンチマーク調査報告書2007年間施設運営費」により、不動産を賃借している場合、賃借料はファシリティコストの62.7%を占める。

[図表6] 1人あたりオフィス賃料の分布(2014年、東京23区)

[図表6] 1人あたりオフィス賃料の分布(2014年、東京23区)

東京23区の1人あたりオフィス賃料の年別推移を示したものが図表7である。2009年から2014年にかけて、月額77万円台から月額6万円台に緩やかに下落している。オフィス賃貸マーケットは徐々に回復基調にあり、今後の1人あたりオフィス賃料の動向についても注目していきたい。

[図表7] 1人あたりオフィス賃料の推移(2009年~2014年、東京23区)

[図表7] 1人あたりオフィス賃料の推移(2009年~2014年、東京23区)


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