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2020.11.24

首都圏オフィスワーカー調査 2020

~ワーカーの働き方と価値観の変化を捉える~

ここ数年、働き方改革が注目されていたことに加え、2020年春には新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府からのテレワーク要請や緊急事態宣言を受け、働き方や働く場所の運用を見直さざるを得ない企業が多かったのではないだろうか。こうした働き方の変化は企業の経営戦略だけでなく、オフィスワーカーの価値観にも影響すると考えられる。

そこで、ザイマックス不動産総合研究所では、企業とオフィスワーカーのそれぞれの視点から働き方と働く場所の変化を捉えるため、企業については2016年秋より計9回、オフィスワーカーについては同年末から計4回のアンケート調査を定期的に実施してきた。本レポートは2020年9月に実施した第5回目のオフィスワーカー調査の結果を踏まえ、首都圏勤務者の働き方の実態や価値観について最新の潮流をまとめたものである。


関連調査
・2017年4月13日公表「働き方改革と多様化するオフィス
・2018年6月6日公表「首都圏オフィスワーカー調査2018
・2019年12月19日公表「首都圏オフィスワーカー調査2019

主な調査結果
  • 1.コロナ禍におけるオフィスへの出社状況
  • ・ 現在テレワークを実施していない「完全出社」であるワーカーは全体の37.3%であった。
  • ・ オフィスに出社する理由は、「オフィスでしかできない業務がある(ハンコ文化など)」が57.9%と最も高い結果となった。
  • ・ 働き方に関する施策について、2019年調査と比較すると全ての施策で実施率は増加傾向だった。特に「在宅勤務」(58.6%)は大幅に増加した。

  • 2.コロナ禍におけるテレワークの状況
  • ・ 「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「その他の場所でのテレワーク」のうち一つでも実施している「テレワーカー」は回答者全体の62.7%であった。また、コロナ危機前後に一時的に上記いずれかを実施し、現在は実施していない「一時的テレワーク経験者」も14.2%いることがわかった。
  • ・ テレワーカーは1週間のうち平均で53.8%(時間ベース)をテレワークしていた。その分布を詳しくみると「0%超10%以下」、「90%超100%以下」がそれぞれ2割近くとなり、テレワークの実施割合が二極化している。
  • ・ 在宅勤務、サテライトオフィス勤務ともに感じているメリット1位は「移動時間・通勤時間の削減」であった。

  • 3.コロナ危機発生以前から現在までの働き方の変化
  • ・ 業務量の変化は「減った」(21.9%)が「増えた」(14.2%)よりも多い結果となった。
  • ・ やる気は「下がった」(25.7%)が「上がった」(9.3%)よりも16.4ポイント多く、ストレスは「高まった」(35.7%)が「軽減した」(15.2%)よりも20.5ポイント多い結果となった。

  • 4.コロナ危機収束後の働き方
  • ・ 今後の働き方としてテレワークを少しでも希望するワーカーは全体の75.3%と、現在実施している割合よりも高かった。
  • ・ 1週間のうち、テレワークで働きたい時間配分の平均は52.2%となった。その分布をみると「40%超50%以下」と回答したワーカーが最も多く23.7%であった。

1.コロナ禍におけるオフィスへの出社状況

  • 現在テレワークを実施していない「完全出社」であるワーカーは全体の37.3%であった。
  • オフィスに出社する理由は、「オフィスでしかできない業務がある(ハンコ文化など)」が57.9%と最も高い結果となった。
  • 働き方に関する施策について、2019年調査と比較すると全ての施策で実施率は増加傾向だった。特に「在宅勤務」(58.6%)は大幅に増加した。

今回の調査では、職業が「会社・団体の役員、会社員・団体職員」、職種が「管理的職業、専門的・技術的職業、事務的職業、営業職業」、在籍するオフィスが「首都圏(1都3県)」、主に働いている場所が「オフィス(事務所)、自宅」と回答した20~69歳の男女2,060人から有効回答を得た。これらのアンケート回答者は現状どのような働き方をしているのか、実態をみてみる。

まず、コロナ禍におけるワーカーのオフィスへの出社状況を確認したい。調査時点でテレワークを実施していない「完全出社」のワーカーは全体の37.3%であった【図表1】。それ以外の、テレワークを少しでも実施しているワーカーに対しては、オフィス出社とテレワークをどの程度の時間配分で実施しているか、1週間の平均的な配分をたずねたところ、100%テレワークであると回答したのは全体の6.4%にとどまり、テレワークとオフィス出社を使い分けているワーカーが多数であることがわかった。完全出社であるワーカーも含め、ほとんどのワーカーがオフィスに出社する機会があるといえる。

【図表1】オフィスへの出社状況

そこで、オフィスに出社する理由を聞くと、半数以上のワーカーが「オフィスでしかできない業務がある(ハンコ文化など)」(57.9%)と回答しており、2位の「オフィスのほうが効率が良い・働きやすい」(31.8%)に大きく差をつける結果となった【図表2】。

【図表2】オフィスに出社する理由

次に、自身の在籍するオフィスがレイアウトや運用の面で安心・安全に利用できるかを聞いたところ、「そう思う」「ややそう思う」と回答した割合は合計で56.2%となり、過半数が安心・安全であると感じていた【図表3】。一方で、「そう思わない」「あまりそう思わない」ワーカーも合計で40.5%と一定数いることがわかった。

【図表3】オフィスの安心・安全評価

オフィスを安心・安全だと思うワーカーにその理由を聞くと、「感染症対策が万全」「ソーシャルディスタンスを保っている」「出社率を管理している」など、企業の新型コロナウイルス感染症対策を評価する意見が多く挙げられた。反対に安心・安全と思わない理由では、「社員間の距離やパーテーション等の対策がない」、「コロナ前とオフィス状況に変化がない」などが多く、コロナ禍において、ワーカーが企業の感染症対策をシビアに評価している様子がうかがえる結果となった。

では現在、出社やオフィスに関する取り組みはどの程度行われているのだろうか。いくつかの取り組みについて勤務先が実施しているかどうかを聞いたところ、「消毒液やマスクの配布」(50.4%)が最も実施されており、企業にとって比較的取り組みやすい施策であると推測できる【図表4】。さらに、「満員電車の回避を推奨(時差出勤、テレワークなど)」(44.0%)や「出社率のコントロール」(41.6%)、「オフィスのソーシャルディスタンスを保つ(座席間隔、会議室利用制限など)」(41.3%)も4割以上の回答者の勤務先で取り組まれていることがわかった。

【図表4】勤務先の出社やオフィスに関する取り組みの実施率

この結果をオフィスの安心・安全評価(【図表3】)別にみると、安心・安全だと思うグループのほうが、すべての取り組みにおいて勤務先の実施率が高いことがわかった【図表5】。一方で、安心・安全だと思わないグループは「上記にあてはまるものはない」の割合が24.1%と高く、勤務先の取り組み次第でワーカーの評価向上が期待できる。

【図表5】<安心・安全評価別>勤務先の出社やオフィスに関する取り組みの実施率

次に、働き方に関する施策について現在利用・実施しているものを聞いた。2019年調査の結果と比較すると、各施策で実施率は増加傾向であり、特に「在宅勤務」(10.5%→58.6%)の拡大が顕著である【図表6】。テレワークの場所に関する項目では、「サテライトオフィス勤務」(5.5%→15.3%)も約10ポイント伸びている。そのほか、モバイルワークに関する施策やフレックスタイム制度など、働く場所や時間をフレキシブルにする施策の普及が拡大している様子がうかがえる。

【図表6】働き方に関する施策の実施率

*1 サテライトオフィス…メインオフィスや自宅とは別に、テレワークのために設けるワークプレイスの総称。専門事業者がサービス提供するものや企業が自前で設置するものがある。2019年調査では「勤務先が所有・賃借するサテライトオフィス等の利用」と「専門事業者が提供するレンタルオフィス、シェアオフィス等の利用」を分けて聞いたため、【図表6】にはどちらか1つでも選択した回答者を再集計した結果を掲載。
*2 2020年調査から選択肢を追加したため2019年調査はグラフ掲載なし
*3 ワーケーション…旅行先などで働くことを意味する、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語

2.コロナ禍におけるテレワークの状況

  • 「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「その他の場所でのテレワーク」のうち一つでも実施している「テレワーカー」は回答者全体の62.7%であった。また、コロナ危機前後に一時的に上記いずれかを実施し、現在は実施していない「一時的テレワーク経験者」も14.2%いることがわかった。
  • テレワーカーは1週間のうち平均で53.8%(時間ベース)をテレワークしていた。その分布を詳しくみると「0%超10%以下」、「90%超100%以下」でそれぞれ2割近くとなり、テレワークの実施割合が二極化している。
  • 在宅勤務、サテライトオフィス勤務ともに感じているメリット1位は「移動時間・通勤時間の削減」であった。

前章では、オフィスワーカーの働く場所や時間のフレキシブル化が急速に進んでいることがわかった。これには、新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークが半ば強制的に推し進められた今般の状況が関係していると考えられる。

そこで、テレワークの場所に関する3つの施策(在宅勤務/サテライトオフィス勤務/その他(喫茶店など))について、詳しい実施状況を聞いた結果が【図表7】である。実施率の伸びが最も大きかった在宅勤務(【図表6】)については、40.4%が「新型コロナ発生前は実施しておらず、新型コロナ発生後から実施している」と回答しており、コロナ危機による影響の大きさが確認できた。

【図表7】テレワークの場所に関する施策の実施状況

*1 サテライトオフィス…メインオフィスや自宅とは別に、テレワークのために設けるワークプレイスの総称。専門事業者がサービス提供するものや企業が自前で設置するものがある。

また、テレワークの場所に関する3つの施策のうち、現在1つでも実施しているワーカーを「テレワーカー」、コロナ危機発生以前または発生後に一時的に実施していたが、現在はいずれも実施していないワーカーを「一時的テレワーク経験者」として再集計すると、テレワーカーは6割超に上り、「一時的テレワーク経験者」も14.2%と一定数いることがわかった【図表8】。

【図表8】テレワークの実施状況

この結果を職種別にみてみると、テレワーカーの割合は「事務系専門職」(77.8%)や「技術系専門職」(73.2%)で比較的高く、「一般事務・受付・秘書」(52.0%)、「総務・人事・経理」(56.7%)は比較的低いことがわかった【図表9】。また、「総務・人事・経理」と「営業」では一時的テレワーク経験者もそれぞれ17%程度いた。

【図表9】<職種別>テレワークの実施状況

テレワーカーに対して、1週間のうちオフィス出社とテレワークをそれぞれどの程度実施しているか、平均的な時間配分を聞いたところ、テレワークしている時間は平均で53.8%だった【図表10】。テレワークの実施割合を10%刻みに区切った分布をみると、「0%超10%以下」、「90%超100%以下」がそれぞれ2割近くで山になっており、テレワーカーのなかでもほぼ毎日テレワークしている人とたまにしかしない人とで二極化していることがわかった。

【図表10】テレワーカーのテレワーク実施割合

また、テレワークの内訳として「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「その他の場所でのテレワーク」を実施する時間配分を聞いた。テレワークで働く時間のうち在宅勤務を実施する時間は平均で87.4%となり、ワーカーにとって現状は「テレワーク=在宅勤務」であることがうかがえる【図表11】。

【図表11】テレワークの場所ごとの時間配分

次に、在宅勤務の経験者かつ何かしらのメリットを感じているワーカーは、具体的にどのようなメリットを感じているのかを示したものが【図表12】である。1位の「移動時間・通勤時間の削減」(92.1%)に続き、「感染症の感染リスク低減」(57.8%)が2位となった。【図表7】で確認した通り、在宅勤務はコロナ危機を機に実施しているワーカーが多く、実際に感染症対策として効果を感じている様子がうかがえる。さらに「肉体的な負担軽減(健康増進、疲労軽減)」(39.2%)、「ストレス軽減」(38.5%)と続き、通勤がなくなることによる肉体的・精神的な負担軽減が在宅勤務の主なメリットとして挙げられている。

【図表12】在宅勤務のメリット

同じく在宅勤務の経験者かつ何かしらの不満を感じているワーカーがどのような不満を感じているかを集計したところ、「運動不足になりやすい」(56.0%)、「仕事のオン・オフが切り替えづらい」(50.7%)が上位となり、通勤時間削減による負担軽減といったメリットの一方で、自宅にこもりがちになることのデメリットを感じているワーカーも少なくないことがわかった【図表13】。また、什器やコピー機、ネット回線やモニターなど、最低限の執務環境が整わないまま在宅勤務を経験し、不満を感じているワーカーも一定数いるようだ。そのほか、自宅の広さや同居家族など、一人ひとりの環境が異なるため、抱える不満も多種多様であることが推測できる。

【図表13】在宅勤務の不満

続いてサテライトオフィス勤務の経験者で何かしらのメリットを感じているワーカーが、具体的にどのようなメリットを感じているかを【図表14】で示した。在宅勤務のメリット同様、「移動時間・通勤時間の削減」(59.1%)がトップであった。また、もともと執務専用のスペースとして用意された空間であることから、「集中して仕事ができる」(44.2%)と回答した割合は在宅勤務よりも高かった。さらに、在宅勤務の不満として挙げられた「オン・オフの切り替え」や「通信環境」に関する項目が、サテライトオフィスではメリットとして上位に挙げられており、テレワークを導入する企業にとっては、在宅勤務の不満を解消する選択肢としてサテライトオフィスが有効であるといえるだろう。

【図表14】サテライトオフィス勤務のメリット

3.コロナ危機発生以前から現在までの働き方の変化

  • 業務量の変化は「減った」(21.9%)が「増えた」(14.2%)よりも多い結果となった。
  • やる気は「下がった」(25.7%)が「上がった」(9.3%)よりも16.4ポイント多く、ストレスは「高まった」(35.7%)が「軽減した」(15.2%)よりも20.5ポイント多い結果となった。

ここまでで、コロナ危機の影響を受けてテレワークが普及したことによるワーカーの働き方の変化と、その実態を確認した。本章では、コロナ危機発生以前と比べて、現在の業務内容や業務量がどう変化したか、また、ワーカー自身がそれをどう感じているのかをみていく。

まず、業務内容の変化については、コロナ危機発生以前と現在について、業務タイプごとの平均的な時間配分を聞き、回答者全体の平均値を比較した【図表15】。コロナ危機発生以前から「一人で集中」する業務の時間が5割近くを占めており、コロナ禍を経てさらに6.0ポイント増加した。一方で、「社内コミュニケーション」と「社外コミュニケーション」の時間はそれぞれ少しずつ減少していることがわかった。

【図表15】業務タイプごとの平均的な時間配分

次に、コロナ危機発生以前と比べた業務量の変化を聞いたところ、「変わらない」(61.2%)と回答したワーカーが最多、変化があったワーカーでは「増えた」(14.2%)よりも「減った」(21.9%)が多い結果となった【図表16】。

【図表16】業務量の変化

続いて、コロナ危機発生以前と比べた「仕事に対するやる気」の変化を聞いたところ、「変わらない」(65.0%)が最も多かった【図表17】。変化のあったワーカーのなかでは「下がった」(「非常に下がった」と「やや下がった」の合計)と回答した割合が25.7%と、「上がった」(「非常に上がった」と「やや上がった」の合計)(9.3%)を16.4ポイント上回った。

【図表17】「仕事に対するやる気」の変化

やる気が上がった理由としては、働き方の変化や、コロナ危機による仕事の責任の増加などが挙げられた。やる気が下がった理由をみると、自身や企業のテレワークへの準備が整わないまま緊急対応的にテレワークへ移行したことや、企業が感染症対策をしなかったことでモチベーションが下がっている様子がうかがえた。また、感染の不安や景況の悪化、業務内容や量の変化という回答も目立った。

■参考資料■やる気が上がった/下がった理由(自由記述・一部抜粋)

<上がった理由>

● 通勤時間がなくなったので、時間が有効利用できる

● 在宅勤務では比較的自分のペースで仕事ができ、集中しやすくやりやすい

● 質疑応答や雑談が少ない分、作業効率が上がった

● コロナに関しての業務が増え、任される仕事が増えた

● コロナ禍で仕事があること自体ありがたい


<下がった理由>

● テレワークではコミュニケーションが取りづらい

● 人とのコミュニケーションが極端に減り、孤独感を感じられるようになった

● 在宅勤務ではオンとオフの切り替えがしにくい

● 家にいると気が散ることが多い、人目がないのでだらけてしまう

● 出社が必要な業務が多く、思うようにテレワークができないことで、自由にテレワークをしている社員と自分とを比べてしまい、モチベーションが下がっている

● リモートでも仕事ができる環境の整備を積極的に行う様子が会社にみられない

● 一時的にリモートワークをしていたのに、緊急事態宣言解除後、即時中止された

● コロナの影響で業績の見通しも悪くなり、全社的に士気が下がっている



やる気の変化別にテレワーク状況をみると、やる気が上がったワーカーの約8割がテレワークを実施しており、「変わらない」「下がった」ワーカーよりもテレワーカーの割合が高いことがわかった【図表18】。

【図表18】<やる気の変化別>テレワークの実施状況

次に、コロナ危機発生以前と比べた「働き方に対するストレス」の変化について聞いた結果、「変わらない」(49.2%)が約半数を占めた【図表19】。変化のあったワーカーのなかでは「軽減した」(「非常に軽減した」と「やや軽減した」の合計)と回答した割合が15.2%であるのに対し、「高まった」(「非常に高まった」と「やや高まった」の合計)は35.7%と、20.5ポイント多い結果となった。

【図表19】「働き方に対するストレス」の変化

ストレスが高まった理由をみると、業務都合や会社の指示によりテレワークができないことを挙げるワーカーが多くみられた。また、テレワークをしていても、不慣れであることや、対面でのコミュニケーションの減少、飲み会などの交流がなくなったことなどがストレスの原因となっているようだった。

一方、ストレスが軽減した理由としては、テレワークによって通勤ストレスが解消されたことを挙げるワーカーが多かった。また、テレワークによるコミュニケーションの減少をストレスに感じるワーカーがいる一方、「対人関係のストレス減」として好意的に捉えるワーカーもおり、テレワークの習熟度や立場、個人の性格や適性によって、テレワークが良い方向にも悪い方向にも作用している様子がうかがえた。

■参考資料■ストレスが高まった/軽減した理由(自由記述・一部抜粋)

<高まった理由>

● テレワークで行える業務があるのにテレワークが全社で導入されていない

● 通勤する際、満員電車のストレスに加えコロナ感染のリスクがある

● 対面でないとコミュニケーションが取りづらい

● オンライン会議に慣れない

● 感染防止に気を使わないといけない

● これまでは食事や飲み会がストレス発散になっていたが、今はストレス発散しづらい

● 景気不安


<軽減した理由>

● テレワークが推奨され、通勤時間の削減や満員電車回避ができる

● テレワークにより人間関係が楽になって、マイペースで仕事ができる

● 在宅勤務ができたことで、ワークライフバランスがとりやすい

● 在宅勤務でリラックスできる時間が増えた

● 無駄な会議が減った



ストレスの変化別にテレワーク状況をみると、ストレスが軽減したワーカーの約9割がテレワークを実施していることがわかった【図表20】。テレワークがストレス軽減に寄与している可能性があるといえるだろう。

【図表20】<ストレスの変化別>テレワークの実施状況

4.コロナ危機収束後の働き方

  • 今後の働き方としてテレワークを少しでも希望するワーカーは全体の75.3%と、現在実施している割合よりも高かった。
  • 1週間のうち、テレワークで働きたい時間配分の平均は52.2%となった。その分布をみると「40%超50%以下」と回答したワーカーが最も多く23.7%であった。

最後に、今後の働き方についてどのようなニーズがあるかをみてみた。

働き方に関する施策について、コロナ危機収束後に利用・実施したいものを聞いた結果、テレワークの場所に関する3つの施策では、モバイルワークに関する施策などに比べ、現在の実施率とニーズとのギャップが大きいことがわかった【図表21】。また、在宅勤務制度が普及する一方、それに付随する施策である「在宅手当(備品や光熱費等)」の実施率は8.5%と低かったが、ニーズは37.2%にと4割近くにのぼった。そのほか、「勤務先の許可を得た副業・兼業」(23.5%)、「勤務先の許可を得たワーケーション」(14.1%)などでも、現在の実施率に比べてニーズが高い傾向にあった。

【図表21】働き方に関する施策のニーズ

*1 サテライトオフィス…メインオフィスや自宅とは別に、テレワークのために設けるワークプレイスの総称。専門事業者がサービス提供するものや企業が自前で設置するものがある。
*3 ワーケーション…旅行先などで働くことを意味する、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語

また、テレワークの場所に関する3つの施策のうち1つでも利用を希望する人を再集計したところ、今後の働き方としてテレワークを少しでも希望するワーカーの割合は全体の75.3%と実態よりも高い結果となった【図表22】。テレワークが急速に拡大した今もなお、さらなる普及が望まれているといえよう。

【図表22】テレワーク利用ニーズ

テレワークを希望するワーカーにオフィス出社とテレワークをどの程度の割合で使い分けたいかを聞いたところ、1週間のうちテレワークで働く理想の割合は平均52.2%となった【図表23】。平均値は実態の53.8%(【図表10】)と同程度であったが、その分布をみると「40%超50%以下」と回答したワーカーが最も多く23.7%であった。実態では「0%超10%以下」と「90%超100%以下」に二極化していたが、理想としては週5日勤務の場合、2~3日程度をテレワークで働きたいワーカーが多いようだ。また、「90%超100%以下」の(ほぼ)完全テレワークの働き方を希望するワーカーは9.9%と1割程度にとどまっていることから、テレワークが今後さらに普及しても、働く場所としてオフィスの必要性は依然なくならないと考えられる。

【図表23】テレワーク希望者の理想のテレワーク実施割合

また、今後テレワークを希望するワーカーに、テレワークの内訳として「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「その他の場所でのテレワーク」をどのような時間配分で実施したいかを聞いた。実態ではテレワークで働く時間の87.4%を占めている在宅勤務がニーズでは72.1%に減少した一方で、サテライトオフィス勤務やその他の場所でのテレワークをする時間は、実態よりもニーズのほうが高いことがわかる【図表24】。さらに【図表21】でみたように、テレワークの場所に関する3つの施策は実施率に比べてニーズが高いことからも、ワーカーは複数の働く場所から自由に選択して働くことを望んでいると推測できる。

【図表24】テレワークの場所別時間配分

ここまでみてきた通り、コロナ危機収束後も多くのワーカーはテレワークとあわせてオフィスにも出社すると考えられる。そこで、テレワークの選択肢があるうえでどのようなオフィスなら出社したいと思うかを聞いたところ、最も希望されたのは「業務に集中できる個室がある」(49.5%)で約半数の回答者が選択した【図表25】。オフィスワーカーの仕事の半分程度が1人で集中する業務(【図表15】)であることから、オフィスにも集中する場所を求めるようだ。次に「安心・安全に配慮されている(感染症対策など)」(44.1%)や、「リラックス・休憩スペースがある」(38.8%)、「飲食・カフェスペースがある」(35.6%)、「心身ともに健康的に働ける空間(ウェルネスオフィス)」(33.0%)などが続いた。

【図表25】出社したいと思うオフィスの条件

*4 カジュアルなミーティングやリラックススペースとしても利用可能

一方、コロナ危機収束後にサテライトオフィスを利用すると想定した場合、重視することを聞いた結果、「自宅から近い」(63.1%)が最も重視され、2位に大きく差をつけた【図表26】。【図表12・14】でも確認した通り、テレワークにおいて、通勤・移動時間の削減はワーカーにとって大きなメリットとなるようだ。また、オフィスに求める条件同様に、「業務に集中できる個室がある」(32.4%)が3位だったほか、様々な機能が期待されていることがうかがえた。

【図表26】サテライトオフィスを利用する際に重視する条件

サテライトオフィスへの注目が高まるなか、コロナ危機収束後にどのような特徴を持つサテライトオフィスを利用したいか、代表的な5つのタイプを例示し、それぞれについて利用関心度を聞いた。

1.職住近接!集中ソロワーク型

● 自宅から徒歩・自転車圏内にあり、通勤時間削減できる。

● 集中作業に適した1人用個室があり、電話やオンライン会議もできる。

● 複合機や休憩スペースなどもあり、終日腰を据えて働ける。

● 託児サービス付きや、買い物がしやすい商業施設内の立地など、私生活との両立に配慮されている。


2.移動を効率化!都心タッチダウン型

● 都心の主要オフィスエリアを網羅する立地に多拠点展開されている。

● 主に営業担当者などが外出中や直行直帰の際に立ち寄り、移動時間を効率化できる。

● 都合に合わせて拠点を都度選び、短時間からドロップイン利用できる。

● 個人作業に適した個室やブース、電話やオンライン会議ができる防音ブースなどもある。


3.期間も場所も自由!プロジェクト拠点型

● 企業専用区画があり、システム開発や期間限定プロジェクトなどで利用する。

● プロジェクトメンバーが通勤しやすい場所や受託先付近など、プロジェクトごとに都合の良い立地に設置できる。

● 複数名での作業や打ち合わせに適した個室やミーティングスペースがある。

● 社内だけでなく、社外の人とも協業しやすい。


4.出会いと刺激!都心コラボレーション型

● 主に都心部の、ブランド感や特色あるエリアに立地(例:渋谷×IT、丸の内×金融)

● 様々な業種・職種の人が共同利用し、コラボレーションやイノベーションが期待できる。

● 快適性やデザイン性に配慮されたオープンな空間。

● 飲食提供やイベント、コミュニティ形成など、ソフト面のサービスも充実している。


5.地方ワーケーション・多拠点居住型

● 地方の自然豊かな地域に設置され、ワークライフバランスが叶う。

● 一時的、または長期的に地方に居住しながら都心企業の仕事ができ、職住近接が叶う。

● 複数企業で共同利用する場合もあり、異業種交流や地域交流が期待できる。


その結果、「職住近接!集中ソロワーク型」のサテライトオフィスは半数以上のワーカーが利用を希望し、最もニーズが高かった【図表27】。次いで「地方ワーケーション・多拠点居住型」も約半数近くが利用したいと回答したほか、すべてのタイプで一定のニーズがあることがわかった。

【図表27】各種サテライトオフィスの利用関心度

5.まとめ

本レポートでは、コロナ危機発生により首都圏オフィスワーカーの働き方がどのように変化したのか実態を探るとともに、今後のニーズを把握しこれからの働き方を考察した。

まず、働き方に関する施策は2019年調査と比較してすべての施策で実施率が増加していた。特にコロナ危機発生によりテレワークの場所に関する施策の実施率が大幅に増加しており、回答者の約6割がテレワーカーであることがわかった。また、テレワーカーの平均的な1週間のテレワーク実施割合は53.8%(時間ベース)であったが、その分布をみると、「0%超10%以下」、「90%超100%以下」に二極化していることや、コロナ禍である現在は在宅勤務を中心としたテレワークであることも浮き彫りになった。

このような働き方をするなかでも、コロナ危機発生以前と比べてやる気やストレスの変化を感じていないワーカーが半数以上を占めていた。一方で、変化を感じていたワーカーは、業績や景気の悪化や感染の不安のほか、前述の働き方の変化に影響されていることがうかがえた。テレワークによる業務内容や業務量の変化とやる気やストレスの変化の関係性については、今後も分析を継続していく予定である。

コロナ危機発生により急速に拡大したテレワークは、ニーズの高さもあり、今後ますます拡大していくことが見込まれる。テレワークと出社の時間配分も、現在のような極端な配分ではなく、週2~3日程度の割合でテレワークを行いたいと考えているワーカーが多いことがわかった。また、在宅勤務のみならず、サテライトオフィス勤務など、複数の選択肢のなかから働く場所を自由に選べる環境に対するニーズもみられた。

収束後は、コロナ危機発生以前のように毎日出社したいと考えるワーカーは少ないものの、毎日テレワークしたいと考えるワーカーも多くはないことから、今後も働く場所としてのオフィスの存在価値はあり続けるだろう。ただし、在宅勤務、サテライトオフィス勤務など多様な場所で働くようになれば、それぞれの場の存在意義が問われてくる。従来、オフィス戦略は「毎日同じオフィスに出勤する」という働き方を大前提とし、企業が主導権を握ってワーカーはそれに従っていたが、これからはオフィスとテレワーク、またテレワークのなかでも複数の選択肢からワーカー自身が快適に働ける場所とバランスを自由に選択できる環境づくりが求められるだろう。こうした働き方や働く場所の潮流の変化を捉えるためにも、ザイマックス総研では引き続き、企業調査とワーカー調査を並行して実施していく所存である。



《調査概要》

調査時期:2020年9月/調査地域:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)/調査方法:インターネット調査

調査対象:①スクリーニング調査…15~69歳の男女20,000人を対象に実施。②本調査…スクリーニング調査で職業が「会社・団体の役員、会社員・団体職員」、職種が「管理的職業、専門的・技術的職業、事務的職業、営業職業」、在籍するオフィスが「首都圏(1都3県)」、主に働いている場所が「オフィス(事務所)、自宅」と回答した20~69歳の男女2,060人から有効回答を得た。

《回答者属性》

レポート内のグラフに関して
・構成比(%)は、小数点第2位を四捨五入しているため内訳の合計が100%にならない場合がある。
※当レポート記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。
※当社の事前の了承なく、複製、引用、転送、配布、転載等を行わないようにお願いします。


参考:働き方×オフィス 特設サイト

英語版:Greater Tokyo Office Worker Survey 2020

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