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2018.06.06

首都圏オフィスワーカー調査2018

ワーカーの働き方と価値観の変化を捉える

企業は働き方改革への取り組みを加速し、時間や場所に捉われない多様な働き方を推進しつつある。そうした新しい働き方は企業の経営戦略としてだけでなく、オフィスワーカーにとっても、生産性向上やワークライフバランスの点で重要なトピックとなっている。

そこで、ザイマックス不動産総合研究所では、企業とオフィスワーカー双方の視点から、働き方と働く場所の変化を捉えていくためのアンケート調査を継続的に行い、その結果を発表している。企業については2016年秋より実施しており、オフィスワーカーについては同年末より、テレワークに関するアンケート調査を実施し、今回が第2回目となる。本レポートはその結果を踏まえ、オフィスワーカーの働き方の実態や価値観について最新の潮流をまとめた定期レポートである。

(関連調査)
・2017年4月13日公開「働き方改革と多様化するオフィス」…2016年秋調査
・2017年12月7日公開「大都市圏オフィス需要調査2017秋」…2017年秋調査
主な調査結果
  • 1.テレワークの実態
  • ・テレワークを週に少しでもしていると回答した人は8.1%であった。ただし、「テレワークをしている」という自覚と、実質的なテレワーク実施率(18.3%)との間にかい離があることもわかった。
  • ・テレワーカーの属性としては、性年代別では「男性20-24歳」(21.4%)と「同40-44歳」(13.6%)、「女性35-39歳」(13.3%)が比較的多い。業種別では「情報通信業」(13.6%)や「製造業」(12.5%)、職種別では「研究開発・設計・SEなどの技術系専門職」(13.4%)や「営業・販売」(13.2%)に多い傾向がみられた。
  • ・普段テレワークしている場所としては「自宅」(81.8%)が最多。「会社専用施設」(21.0%)などほぼ全ての項目で前回調査よりもスコアが伸び、テレワークする場所の選択肢が増えている。
  • ・テレワークする場所として1か所しか選ばなかった人は全体の44.6%に留まり、55.4%は2か所以上の場所でテレワークを実施している。
  • ・テレワークするタイミングでは「前もってテレワークを予定した日時」(58.1%)が前回調査(37.3%)と比べて大幅に増加し、計画的なテレワークが増えていると考えられる。
  • ・テレワークに対して、テレワークをしていない人が持つ期待や不安と、実際にテレワークをしている人が感じているメリット・デメリットの間にはギャップがある。「集中して仕事ができた」「仕事の成果が向上した」といった項目は、期待以上のメリットが感じられており、「仕事上のコミュニケーション量が減った」「ホウレンソウがしづらいと感じた」など、テレワークをしていない人から不安視されがちな項目については、実際にデメリットを感じている人は多くない。

  • 2.働く場所と満足度
  • ・現在のワークプレイス環境に対する満足度は、テレワークをしていない人(31.2%)よりも、テレワークをしている人(59.4%)の方が2倍近く高い。
  • ・自身のワークプレイス環境について、ハード面とソフト面に関する複数の条件を提示し、それぞれどの程度あてはまるかを回答してもらった結果、全ての条件において、ワークプレイス全体に対する満足度の高いグループの方が、低いグループに比べて「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した割合が高く、ここで提示した条件(特にソフト面の条件)が、ワーカーの満足度に影響を与えている可能性がある。

  • 3.テレワークに対するニーズ
  • ・回答者の44.6%が、今後のテレワーク活用に対して前向きな意向を持っている。属性別では、「男性20-24歳」と「同40-44歳」、「女性25-29歳」と「同30-34歳」で特に多く、それぞれ5割を超える。子どもの有無別では「小学校低学年以下の子どもあり」(54.1%)が最も多い。
  • ・今後テレワークしたい場所としては、「自宅」(90.6%)が最多。前回調査と比べると「会社専用施設」(16.9%)や「民間施設」(9.6%)等の利用意向も微増している。
  • ・今後テレワークを推進する上での阻害要因として、「テレワークを認める制度がない」(54.6%)、「在宅勤務制度がない」(35.1%)が上位に並んだ。中でもテレワーカーは、「自宅以外にテレワークできる場所(サードプレイスオフィス)の整備がない・少ない」(22.3%)、「民間施設サービス利用時の費用の自己負担」(16.2%)といった、テレワークする場所に関する阻害要因を感じている。
  • ・サードプレイスを利用する際に重視することとしては「自宅から近い」(「重視する」「やや重視する」の合計71.7%)が最多。「静かさ」(同63.9%)、「セキュリティ」(同63.6%)なども上位に並んだ。
  • ・5つのタイプ別のサードプレイスオフィス(①タッチダウン型/②プロジェクトルーム型/③「シェア型サテライト」オフィス/④「子育て支援機能付き」オフィス/⑤「コワーキング型」オフィス)について利用意向を聞いたところ、「子育て支援機能付き」については、男女ともに25-29歳と30-34歳の層が高くなっており、特に女性は他タイプと比べても利用関心度が高い。その他の4タイプについては比較的若年層ほど高い傾向にある。

1.テレワークの実態

1-1.テレワーク実施率とテレワーカーの属性

  • テレワークを週に少しでもしていると回答した人は8.1%であった。ただし、「テレワークをしている」という自覚と、実質的なテレワーク実施率との間にかい離があることもわかった。

  • 属性別にテレワーク実施率をみると、性年代別では「男性20-24歳」と「同40-44歳」、「女性35-39歳」で比較的高く、業種別では「情報通信業」や「製造業」、職種別では「研究開発・設計・SEなどの技術系専門職」や「営業・販売」が高いといった傾向がみられた。

  • 今回の調査では、「職業が会社・団体の役員、会社員・団体職員、自営業主(飲食店・小売店・対人サービス業以外)で、主たる仕事場(オフィス、事務所)が首都圏(1都3県)」と回答した20~69歳の男女1,831人から有効回答を得た。これらのアンケート回答者は、普段どの程度テレワークを活用しているのだろうか。

    まず、週の総労働時間のうち、テレワークで仕事をしている時間を聞いたところ、少しでも(1分以上)している人は全体の8.1%であった【図表1】。

    この数字は、後段「5.(参考)回答者の働き方実態」にて紹介する「現在の仕事環境」(P.26【図表28】)の結果と異なる。【図表28】の選択肢のうち、テレワークの定義(*)にあてはまる項目(「モバイルワークしている」「在宅勤務制度を利用している・在宅勤務している」等)を一つでも選択した人は全体の18.3%であり、8.1%を上回っている(参考)。つまり、実質的にはテレワークをしているにも関わらず、その自覚がない人が少なくないということだろう。

    *本調査およびレポートでは、総務省および一般社団法人日本テレワーク協会による定義に準ずる。

    【図表1】テレワーク実施率

    (参考)【図表28】に基づく実質的なテレワーク実施率

    ここからは、「テレワークをしている」と自覚している8.1%の回答者を「テレワーク実施者(テレワーカー)」と位置付け、その属性をみていきたい。

    まず、性年代別でみると、男性では20-24歳と40-44歳、つまり若年層と管理職世代で比較的テレワーク実施率が高くなっている【図表2】。一方女性は、全体的に男性より低いものの、35-39歳だけ突出して高くなっており、子育て世代に重なることが背景にあるといえるかもしれない。

    【図表2】<性年代別>テレワーク実施率




    業種別では、「情報通信業」と「製造業」で比較的テレワーク実施率が高く、それぞれ1割以上となった【図表3】。

    【図表3】<業種別>テレワーク実施率(主要業種のみ抜粋)


    また、職種別では「研究開発・設計・SEなどの技術系専門職」と「営業・販売」に続き、「編集・デザイナー・ライターなどのクリエイティブ系専門職」「総務・人事・経理・企画等」「調査分析・特許法務などの事務系専門職」といった幅広い職種でテレワークが実施されていることがわかった【図表4】。一方、「現場管理・監督」や「接客サービス」など、働く場所が特定される職種では比較的低い割合となった。

    【図表4】<職種別>テレワーク実施率


    雇用形態別では「自営業主(飲食店・小売店・対人サービス業以外)」が最も高く、会社員・団体職員だけでみると「管理職」が13.4%で1位であった【図表5】。どちらも比較的裁量をもって働けることが関係していると考えられる。また、子どもの有無別では、一般的に育児の負荷が大きいとされる「小学校低学年以下の子どもあり」の層で最もテレワーク実施率が高い【図表6】。このことは、テレワークが働く人の育児支援の一端を担っている証左と捉えることもできるかもしれない。

    【図表5】<雇用形態別>テレワーク実施率

    【図表6】<子どもの有無別>テレワーク実施率


    1-2.テレワークの実態

  • 普段テレワークしている場所では「自宅」が最多。「会社専用施設」などほぼ全ての項目で前回調査よりもスコアが伸びており、テレワークする場所の選択肢が徐々に増えていると考えられる。

  • 普段テレワークしている場所として、選択肢のうち1か所しか選ばなかった人は全体の44.6%に留まり、55.4%が2か所以上の場所でテレワークを実施している。

  • テレワークしているタイミングでは「前もってテレワークを予定した日時」が前回調査と比べて大幅に増加し、逆に「特にタイミングなく」は減少。計画的なテレワークが増えている。

  • ザイマックス総研では、オフィスワーカーを対象としたアンケート調査の第1回目を2016年12月に実施しており、その際のテレワーク実施率は9.1%であった。今回、その数字に拡大はみられなかったものの、場所やタイミングといった「テレワークの内容」に変化がみられた。

    まず、テレワーカーに普段テレワークしている場所を聞いたところ、前回調査と比べてほぼ全ての項目でスコアが伸びていた【図表7】。「自宅」(81.8%)が最多である点は変わらないが、「会社専用施設(*1)」(21.0%)や「民間施設(*2)」(11.5%)といったサードプレイスオフィスの利用率も伸びており、テレワークする場所の選択肢が増えていると考えられる。

    *1 会社専用施設……通常勤務しているオフィス以外の自社オフィスや、会社が契約している民間施設等。
    *2 民間施設……ワーカーが自費負担で利用するレンタルオフィス等。

    【図表7】普段テレワークしている場所(前回比較、複数回答)


    また、普段テレワークしている場所として、選択肢のうち1か所しか選ばなかった人は全体の44.6%に留まり、過半数は2か所以上の場所でテレワークをしている実態がわかった【図表8】。このことからも、例えば「本社オフィスと自宅とサテライトオフィス(会社専用施設)」など、働く場所の選択肢を複数持つワーカーが一定数いる様子がうかがえる。

    【図表8】普段テレワークしている場所の数(n=148)


    次に、テレワークをしたことのあるタイミングを聞いたところ、「前もってテレワークを予定した日時」(58.1%)が前回調査と比べて大幅にスコアを伸ばした【図表9】。一方で「特にタイミングなく」(12.8%)は全選択肢の中で唯一減っており、計画的な、つまり制度として認められたテレワークが増えている様子がうかがえる。

    【図表9】テレワークしたことのあるタイミング(前回比較、複数回答)

    PICK UP

    ワーカー属性別にみるテレワークの場所の違い

    職種や子どもの有無といったワーカーの属性により、テレワークする場所に特徴がみられた。

    まず、職種別で比べてみると、「営業・販売」は比較的「自宅」の利用率が低く、「喫茶店」や「移動中」は高い傾向がみられた【図表10】。また、一般的に外出の多い「営業・販売」職だけでなく、デスクワーク中心と思われる「技術系専門職」や「総務・人事・経理・企画等」といった職種でも「会社専用施設(*1)」の利用率は20%前後に上り、職種問わず一定の割合で利用されている状況がみてとれた。

    *1 会社専用施設……通常勤務しているオフィス以外の自社オフィスや、会社が契約している民間施設等。

    【図表10】<職種別>テレワークする場所(複数回答、主要職種のみ抜粋)

    (営業・販売:n=42、技術系専門職(研究開発・設計・SE等):n=40、総務・人事・経理・企画等:n=31)


    子どもの有無別でみると、「小学校低学年以下の子どもあり」グループは「会社専用施設」や「民間施設(*2)」を利用している割合が他グループよりも高く、逆に「自宅」の利用率は比較的低い【図表11】。このことから、低年齢の子どもがいる家庭では自宅で仕事をしづらく、テレワークの場をサードプレイスオフィスに求めていると考えることもできるかもしれない。

    【図表6】で見た通り、テレワークの実施率は「小学校低学年以下の子どもあり」グループが最も高く(13.0%)、テレワークに対する意向が強いことも後述している(【図表21】)。そうしたニーズがありながら、自宅でのテレワークが難しい状況なのであれば、今後サードプレイスオフィスの整備が進んでいくことで、育児世代のテレワークは今以上に拡大していく可能性があるといえるだろう。

    *2 民間施設……ワーカーが自費負担で利用するレンタルオフィス等。

    【図表11】<子どもの有無別>テレワークする場所(複数回答)

    (小学校低学年以下の子どもあり:n=40、小学校高学年以上の子どものみあり:n=34、子どもなし:n=69)




  • テレワークに対して、テレワークをしていない人が持つ期待や不安と、実際にテレワークをしている人が感じているメリット・デメリットの間にはギャップがある。

  • テレワークに対して、テレワークをしていない人が持つ期待や不安と、実際にテレワークをしている人(テレワーカー)が感じているメリット・デメリットを比較したところ、興味深い傾向がみえた。

    まず、期待とメリットの関係を表したのが【図表12】だ。テレワークをしていない人には期待すること(横軸)を、テレワーカーには実際に感じたメリット(縦軸)を同じ選択肢の中から選んでもらった。

    横軸・縦軸ともにそれぞれの平均値に中心線を引いたところ、右上(第1象限)には「ストレスが減った」「移動時間・通勤時間が減った」「家族との時間が増えた」「残業時間が減った」「自分の趣味や余暇などの時間が増えた」といった項目が入った。これらについては、期待された通りのメリットが感じられているといえるだろう。

    注目したいのは左上(第2象限)付近だ。「集中して仕事ができた」「仕事の成果が向上した」「いいアイディアが出せた」といった項目について、期待以上のメリットが感じられていると捉えることができるだろう。一方で、右下(第4象限)の「育児・介護などに充てる時間が増えた」については、期待ほどにはメリットが感じられていない傾向にあるようだ。

    【図表12】テレワークしていない人の期待×テレワークしている人の感想(メリット)(期待の平均:31.9%、感想の平均:42.7%、複数回答)

    (テレワークしていない人:n=1,683、テレワークしている人:n=148)


    不安とデメリットの関係については、テレワークをしていない人の不安の平均スコアが38.6%であるのに対して、テレワークをしている人の感想(デメリット)の平均が22.7%であり、全ての項目において、不安(横軸のスコア)を感想(デメリット、縦軸のスコア)が下回ったことに着目したい【図表13】。つまり、イメージされている不安ほど、テレワーカーが実際にはデメリットを感じていないといえるだろう。

    特に右下(第4象限)付近、「仕事上のコミュニケーション量が減った」「ホウレンソウがしづらいと感じた」「情報セキュリティに不安があった」など、テレワークをしていない人から特に不安視されている項目について、どれも実際にデメリットを感じている人は多くないようだ。それよりも、テレワーカーの多くは「仕事のON/OFFの切り替えがしづらかった」という労働負荷に関するデメリットを強く感じていることがわかった。この課題については、テレワークするための場所の整備や、運用方法の確立、ワーカーの意識改革などが進むことで、今後解消されていく可能性があるだろう。

    【図表13】テレワークしていない人の不安×テレワークしている人の感想(デメリット)(不安の平均:38.6%、感想の平均:22.7%、複数回答)

    (テレワークしていない人:n=1,683、テレワークしている人:n=148)

    2.働く場所と満足度

  • テレワーカーは、ワークプレイス環境に対する満足度が非テレワーカーよりも高い。

  • ワークプレイス環境に関する一定の条件(特にソフト面の条件)が、ワーカーの満足度に影響を与えている可能性がある。

  • 現在利用しているワークプレイス環境(*)に対する満足度として、「満足している」「やや満足している」と回答した割合は、テレワークをしていないグループ(31.2%)よりもしているグループ(59.4%)の方が2倍近く高かった【図表14】。テレワークによって、働く場所を自身の裁量でコントロールできていることが、満足度の高さにつながっている可能性があるかもしれない。

    *ここでは会社のオフィスや自宅、サードプレイスオフィス等、普段仕事をしている場所全体を指す。

    【図表14】<テレワーク実施有無別>ワークプレイス環境に対する満足度


    では、具体的にどのような条件を満たしたワークプレイス環境で、ワーカーの満足度が高まるのだろうか。現在利用しているワークプレイス環境について、ハード面(設備やビルスペックなど)とソフト面(働き方と一体になった運用など)に関するそれぞれ複数の条件を提示し、どの程度あてはまるかを回答してもらった。

    【図表15】はその結果について、満足者(現在のワークプレイス環境に対して「満足している」「やや満足している」と回答)と非満足者(「満足していない」「あまり満足していない」と回答)それぞれの「あてはまる」「ややあてはまる」の回答割合を比較した表および散布図であり、非満足者に対する満足者の倍率によって両者のかい離を表している。散布図の縦軸・横軸の中心線はそれぞれの平均値となっている。

    満足者と非満足者の回答割合を比較した結果、全ての条件において、満足者は非満足者よりも「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した割合が高いことがわかった。つまり、ここで提示した各条件が、ワークプレイス環境に対するワーカーの満足度に影響を与えている可能性があるといえるだろう。

    特に、「快適に働ける」「生産性の向上につながる」「モチベーション向上につながる」「組織へのエンゲージメントが高まる」といったソフト面の条件(赤丸)において、満足者と非満足者のかい離が大きく、散布図でみても上方に偏っている。このことから、これらソフト面の条件は、設備やビルスペックといったハード面の条件以上に、ワーカーの満足度に対する影響が大きいとみることができるかもしれない。

    【図表15】<満足度別>現在利用しているワークプレイス環境の評価(複数回答)

    (●:ハード面の条件 :ソフト面の条件)



    (満足者の平均:38.7%、倍率の平均:2.8)(満足者:n=612、非満足者:n=354)

    3.テレワークに対するニーズ

    3-1.テレワークの実施意向

  • 回答者の44.6%が、テレワーク活用に対して前向きな意向を持っている。属性別にみると、男性では20-24歳と40-44歳、女性では25-29歳と30-34歳で意向が高い人の割合が特に多く、子どもの有無別では「小学校低学年以下の子どもあり」グループが最も多い。

  • 今後テレワークしたい場所としては自宅が最多で、前回調査と比べるとどの場所も利用意向が微増している。

  • 今後テレワークを推進する上での阻害要因として、54.6%が「テレワークを認める制度がない」と回答。中でもテレワーカーは、「自宅以外にテレワークできる場所(サードプレイスオフィス)の整備がない・少ない」「民間施設サービス利用時の費用の自己負担」といった、テレワークする場所に関する阻害要因を感じている。

  • 現在、テレワークを実施していると回答した人は8.1%であったが、意向はどうなのだろうか。

    テレワークをしていない人も含む回答者全員に対し、今の仕事に縛られない理想の働き方として、テレワークに対する意向を選んでもらったところ、「原則、テレワーク中心に仕事をする」「可能なかぎりテレワークで仕事をする」「必要に応じテレワークで仕事をする」と前向きな意向を持っている人は合計で44.6%に上った【図表16】。現状の実施率と比べて、潜在的なニーズを持つ人は決して少なくないといえるだろう。

    一方で、41.5%は「テレワークで仕事をしない」という意向を持っていることもわかった。今後、今以上にテレワーク活用が進展しても、従来通り集まって働く場所としてのオフィスの需要はなくならず、時代に合わせた形で求められ続けると考えられるかもしれない。

    【図表16】テレワークに対する意向(n=1,831)


    属性別では、どんな人がテレワークに対して前向きな意向を持っているのだろうか。例えば男性では20-24歳と40-44歳、女性では25-29歳と30-34歳でテレワークの意向が高い人が比較的多く、それぞれ5割を超えている【図表17】。また、業種別では、テレワーク実施率も上位であった「情報通信業」と「製造業」が意向についても上位となった【図表18】。職種別でも同じく、テレワーク実施率の高かった「研究開発・設計・SEなどの技術系専門職」や「営業・販売」が上位に並んだ【図表19】。

    【図表17】<性年代別>テレワークに対する意向

    【図表18】<業種別>テレワークに対する意向(主要業種のみ抜粋)

    【図表19】<職種別>テレワークに対する意向


    雇用形態別でも、テレワーク実施率の高い「管理職」が比較的意向も高い結果となった【図表20】。子どもの有無別では「小学校低学年以下の子どもあり」グループが最も多く、やはり育児の負荷の大きさが、テレワークのニーズに関係するとみることもできるかもしれない【図表21】。

    【図表20】<雇用形態別>テレワークに対する意向

    【図表21】<子どもの有無別>テレワークに対する意向


    また、テレワークに前向きな意向を持っている人に対して、テレワークで仕事を実施したい場所を選んでもらったところ、前回調査と比べて「その他」以外の全項目でスコアが微増していた【図表22】。「会社専用施設(*1)」(16.9%)や「民間施設(*2)」(9.6%)といったサードプレイスオフィスも横ばい~微増傾向にあり、今後も働く場所を多様化させる動きが加速していくとみることもできるかもしれない。

    *1 会社専用施設……通常勤務しているオフィス以外の自社オフィスや、会社が契約している民間施設等
    *2 民間施設……ワーカーが自費負担で利用するレンタルオフィス等。

    【図表22】テレワークを実施したい場所(前回比較、複数回答)


    全回答者に対し、テレワークを活用した働き方を推進するにあたって阻害要因になっていることを聞くと、「テレワークを認める制度がない」(54.6%)、「在宅勤務制度がない」(35.1%)という制度の不備に関する要因が上位に並んだ【図表23】。また、「自宅の環境ではテレワークしづらい」という、働く場所に関する意見もみられた。

    【図表23】テレワーク推進にあたっての阻害要因(複数回答、n=1,831)


    この阻害要因について、テレワークしている人としていない人を比較したのが【図表24】である。

    まず、前述した制度関連の2項目については、どちらもテレワークしていない人の方が大幅に高い割合となっており、勤務先に制度がないために現状テレワークをできていないという人が一定数いることがうかがえる。

    これに対して、テレワークしている人の方が高い割合となったのが赤で囲った項目だ。「自宅以外にテレワークできる場所(サードプレイスオフィス)の整備がない・少ない」は、テレワークしていない人(11.5%)に対してしている人(22.3%)が1.9倍、「民間施設サービス利用時の費用の自己負担」は2.6倍のスコアとなった。テレワークする場所に関するこれらの阻害要因が解消されることで、現在テレワークしている人の活用の幅がさらに広がり、より効果的なテレワークが期待できる可能性もあるだろう。

    【図表24】<テレワーク実施有無別>テレワーク推進にあたっての阻害要因(複数回答)

    (テレワークしている人:n=148、テレワークしていない人:n=1,683)


    3-2.働く場所に対するニーズ

  • サードプレイスオフィスを利用するときに重視することとしては「自宅から近い」が1位。

  • 5つのタイプ別のサードプレイスオフィスに対する利用関心度を聞いたところ、「子育て支援機能付き」については、男女ともに25-29歳と30-34歳の層が高くなっており、特に女性は他タイプと比べても利用関心度が高い。その他の4タイプについては比較的若年層ほど高い傾向にある。

  • 近年、レンタルオフィスやシェアオフィスといったサードプレイスオフィスは、会社のオフィスや自宅に次ぐ第3のワークプレイスとして存在感を増している。事業者が法人向けに提供し、契約法人の従業員が利用するタイプのサービスも増えているが、実際の利用者であるワーカーは、サードプレイスオフィスに対してどのようなニーズを持っているのだろうか。今回のアンケートで探ってみた。

    まず、サードプレイスオフィスを利用するときに重視することを聞いたところ、「自宅から近い」が1位(「重視する」「やや重視する」の合計71.7%)となった【図表25】。2位以降には「静かさ」(同63.9%)、「セキュリティ」(同63.6%)、「無料Wi-Fi」(同60.9%)など、働く環境としての快適性に関わる項目が並んだ。

    【図表25】サードプレイスオフィスを利用するときに重視すること(複数回答、n=1,831)


    次に、代表的な以下5つのタイプのサードプレイスオフィスについて、それぞれの利用関心度を聞いてみた。

    <代表的なサードプレイスオフィス5つのタイプ>

    • (1)タッチダウン型(主に個人単位で利用)
    • 【エリア・期間】都心の主要オフィスエリア。不定期・単発利用。
    • 【利用イメージ】
    • ・主に営業担当者などが外出中や直行直帰の際に立ち寄り、オフィス同様に働ける。
    • ・1人で集中して事務作業などを行う。
    • ・都合に合わせて場所を都度選び、すぐ利用できる。


    • (2)プロジェクトルーム型(チーム単位で利用)
    • 【エリア・期間】都心の主要オフィスエリア。数ヶ月~年単位の利用契約。
    • 【利用イメージ】
    • ・システム開発やプロジェクトなどのため期間限定で利用。
    • ・社内だけでなく、社外の人材と協業する際に利用。


    • (3)「シェア型サテライト」オフィス(企業単位で利用)
    • 【エリア・期間】郊外の住宅エリア。数ヶ月~年単位の利用契約。
    • 【利用イメージ】
    • ・複数の企業がサテライトオフィス的に共同利用。
    • ・専用回線なども使える企業専用区画と共用スペースがある。
    • ・近隣に住む従業員が集まって働ける。


    • (4)「子育て支援機能付き」オフィス
    • 【エリア・期間】郊外の住宅エリア。不定期・単発利用。
    • 【利用イメージ】
    • ・託児スペースが併設されており、主に育児中の社員が必要に応じ、個人単位で単発利用できる。


    • (5)「コワーキング型」オフィス
    • 【エリア・期間】都心の主要オフィスエリア。
    • 【利用イメージ】
    • ・様々な業種・職種の人が共同利用し、コラボレーションやイノベーションの創発が期待できる。
    • ・法人契約だけでなく、個人契約も可能な場合が多い。


    • 各タイプに対する利用関心度を、性年代別にみたのが【図表26】である。

      まず、全てのタイプについて、比較的若年層ほど利用関心度が高い傾向にある。特に、全体的にスコアが高い「1. タッチダウン型」に対する男性20-24歳の利用関心度は60.7%(「利用してみたい」「やや利用してみたい」の合計)と非常に高い。また、「4. 『子育て支援機能付き』オフィス」については、男女ともに25-29歳と30-34歳の層が高くなっており、特に女性は他タイプと比べても利用関心度が高いことがわかる。このことは、子育て世代およびその予備軍と重なる世代であることが関係していると考えられる。

      【図表26】<性年代別>サードプレイスオフィスの利用関心度

      1. タッチダウン型(主に個人単位で利用)

      2. プロジェクトルーム型(チーム単位で利用)

      3. 「シェア型サテライト」オフィス(企業単位で利用)

      4. 「子育て支援機能付き」オフィス

      5. 「コワーキング型」オフィス


      4.まとめ

      本レポートでは、テレワークの現状と今後を見通すことを目的に、特に働く場所の在り方に焦点を当てて、オフィスワーカーの行動とニーズを探ってきた。その結果、テレワークの内容が少しずつ変化しつつある状況がみてとれた。

      まず、テレワークに利用する場所の選択肢が増え、テレワーカーの過半数が2か所以上の場所でテレワークを実施していることがわかった。その選択肢には自宅だけでなくサードプレイスオフィスも含まれ、前回調査と比べても利用率の伸びがみられる。利用者を職種別にみてみると、一般的に外出の多い「営業・販売」職だけでなく、デスクワーク中心の「技術系専門職」や「総務・人事・経理・企画等」においても「会社専用施設」の利用率が2割前後に上り、幅広い職種で、在宅勤務だけに留まらない多様な場所でのテレワーク活用が広がっている様子がうかがえた。また、計画的なタイミングでのテレワークが大幅に増えていたことから、企業がワーカーに対するテレワーク支援を推し進めているとみることもできるかもしれない。

      ワーカーのニーズからも、今後のテレワーク拡大の方向性を読み取ることができる。テレワークに対して前向きな意向を持つ人は全体の44.6%に上り、現状の実施率(8.1%)を大きく上回った。また、テレワーク推進にあたっての阻害要因として、テレワーカーは「自宅以外にテレワークできる場所(サードプレイスオフィス)の整備がない・少ない」や「民間施設サービス利用時の費用の自己負担」など、場所に関する不足・不満を非テレワーカーよりも強く感じていることがわかった。

      本調査では、テレワーカーは自身の働く環境に対する満足度が高い傾向も確認された。さらに、働く環境に対する満足度が高い人は低い人に比べ、その環境について「快適に働ける」「生産性の向上につながる」「モチベーション向上につながる」「組織へのエンゲージメントが高まる」といった主観的な条件についても「あてはまる」と評価しており、実際にモチベーション高く、組織へのエンゲージメントを感じながら働いている可能性を示唆している。だとすると、こうした条件を満たす、つまり働く人の精神面に影響を与えるようなワークプレイス環境を設計・用意することが、組織の生産性向上につながる可能性もあるといえるかもしれない。

      一方で、働く人の多様化も進んでいる。若者、女性、シニア、外国人など、多様なワーカーそれぞれが快適で、生産性やモチベーション高く働ける場所の条件もまた、必然的に多様になっていくだろう。

      例えば、育児中のワーカーはテレワーク需要が高く、自宅以外の場所を必要とする傾向がみられた。女性やシニアのオフィスワークへの参加が今後も増えるとすると、郊外型や育児支援型といったサードプレイスオフィスのニーズが高まるかもしれない。また、テレワーカーといえば若年層や育児世代のイメージが根強いが、雇用形態別でみるとテレワーク実施率が高いのは管理職層であり、彼らミドル層の求めるワークプレイスの条件はまた異なるだろう。他方、「テレワークしない」という意向を持つ人も41.5%に上り、従来通り集まって働く場所としてのオフィスは求められ続ける可能性がある。

      こうした状況に対応するため、今後は働く場所や働き方について、多様な選択肢を用意する必要性が高まると考えられる。そして、その選択肢をワーカーが柔軟かつ自律的に選択できる環境を用意することは、生産性向上や人材確保の観点からも、組織にとって重要な経営戦略となっていくのではないだろうか。ザイマックス総研では今後も、企業調査とともにワーカー調査を継続的に行うことで、働く場所の変化を捉えていきたい。


      5.(参考)回答者の働き方実態

      本レポートでは、主にテレワークという働き方に焦点を当てて調査結果を紹介してきた。最後に参考として、今回のアンケート回答者の、普段の働き方がわかる情報を紹介する。

      まず、平均的な週の総労働時間(残業時間を含む。休憩時間、通勤時間は除く)を聞いたところ、40時間以上45時間未満の人が34.3%で最も多く、中央値は40時間であった【図表27】。週5日、1日8時間勤務のワーカーが中心的であるとみられる。40時間未満の人も28.1%いた。

      【図表27】平均的な週の総労働時間


      また、現在の仕事環境について聞いたところ、「原則、固定席(自席)で仕事をしている」を選んだ人は44.1%に留まった【図表28】。このことから、回答者の半数以上がオフィス内外を問わず、多様な場所で働いていると考えられるだろう。

      そのほかの項目では「オフィス内にオープンなミーティングスペースがある」(23.8%)、「TV会議やWeb会議を利用している」(20.9%)、「リフレッシュスペースがオフィス内にある」(20.5%)などが上位となった。また、「フレックスタイム制が適用されている」(19.3%)、「短時間勤務制が適用されている」(14.3%)など、柔軟な時間の使い方も広がりつつあることがわかった。

      【図表28】現在の仕事環境(複数回答、n=1,831)

      *BYOD……Bring your own deviceの略。企業等で従業員が私物の情報端末等を持ち込んで業務で利用すること。


      平均的な週の総労働時間のうち、テレワークで仕事をしている時間の中央値は週6時間であった【図表29】。また、週の総労働時間に対するテレワークの割合をみると5%未満の人が最も多く、中央値は16%に留まったが、一方で総労働時間の90%以上をテレワークに充てている人も4.7%いることがわかった【図表30】。

      【図表29】平均的な週のテレワーク実施時間の分布(n=148)

      【図表30】週の総労働時間に対するテレワーク時間の割合の分布(n=148)

      調査概要


      回答者属性

      レポート内のグラフに関して
      ・構成比(%)は、小数点第2位を四捨五入しているため内訳の合計が100%にならない場合がある。
      ※当レポート記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。
      ※当社の事前の了承なく、複製、引用、転送、配布、転載等を行わないようにお願いします。

      参考:働き方×オフィス 特設サイト

      英語版:Greater Tokyo Office Worker Survey 2018

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