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2017.12.07

大都市圏オフィス需要調査2017秋

拡大する働き方改革とオフィス需要の変化

労働力人口の減少などを背景に、人材確保と生産性向上を目指して場所や時間に捉われない働き方を導入する企業が増えてきた。この潮流はオフィス需要に影響を与えるものと思われる。

そこで、ザイマックス不動産総合研究所では2016年秋より、半年ごとにオフィス利用の実態や働き方に関して定期調査を行い、オフィス需要との関係について継続的に分析を行っている。本レポートはその第3回調査の結果を公表するものである。

(関連調査)
2017年1月12日公開「大都市圏オフィス需要調査2016 <需要動向編>」…2016年秋調査
2017年1月30日公開「大都市圏オフィス需要調査2016 <働き方の変化とオフィス編>」…2016年秋調査
2017年8月2日公開「大都市圏オフィス需要調査2017 <需要動向編>」…2017年春調査
主な調査結果
  • 1.オフィス需要の変化(2016年10月~2017年9月)
  • ・過去1年間でオフィスの利用人数が「増えた」企業は37.5%で、「減った」企業(12.3%)を上回った【図表1】。また、オフィス面積を「拡張した」企業は8.6%で、「縮小した」企業(2.2%)を上回り(【図表2】)、オフィス需要は堅調であった。
  • ・賃料単価(共益費込)が「上昇した」企業(15.9%)も、「下落した」企業(1.9%)を上回った【図表3】。
  • ・32.6%の企業が依然、現在入居中のオフィスを手狭だと感じている【図表4】。

  • 2.働き方改革の推進
  • ・「現在、働き方改革に取り組み中」であると回答した企業は29.1%で、「すでに実施済み」と合わせると37.9%が働き方改革に着手している【図表6】。
  • ・働き方改革に取り組むきっかけとしては「経営層の判断」が77.9%(【図表7】)、取り組みの目的としては「生産性の向上」が67.1%でそれぞれ1位【図表8】。
  • ・働き方改革の効果を「非常に感じている」「やや感じている」と回答した企業は約7割【図表9】。

  • 3.働く場所の多様化(テレワークの推進)
  • ・26.2%の企業が、テレワークするための場所や制度の整備に取り組んでいると回答【図表18】。「在宅勤務制度」(19.2%)や「専門事業者等が提供するレンタルオフィス、シェアオフィス等の利用」(6.7%)が前回調査から伸びているなど、働く場所の多様化が進みつつある【図表19】。
  • ・企業規模別では、大企業ほど在宅勤務やサードプレイスオフィスの導入率が高い【図表20】。
  • ・テレワーク導入済みの企業は、未導入企業よりも1人あたり面積が小さい【図表22】。

  • 4.オフィスに求める要素
  • ・ビルスペックなどのハード面では「利便性の高い立地」が88.6%で1位。次いで「清掃衛生・維持管理状態が良い」(82.8%)、「セキュリティ性能が高い」(82.0%)などが上位に並んだ【図表23】。
  • ・ソフト面では、「従業員が快適に働ける」(89.6%)や「従業員のモチベーション向上につながる」(85.5%)が上位に並び、従業員満足度に対する意識がみてとれた【図表24】。

  • 5.トピックス:サードプレイスオフィスに対する利用関心度
  • ・代表的な5つのタイプのサードプレイスオフィスについて、2~3割の企業が「非常に関心がある」「やや関心がある」と回答【図表26】。特に「子育て支援機能付き」が35.7%と最も高い。

1.オフィス需要の変化(2016年10月~2017年9月)

1-1.過去1年間における利用人数、面積、賃料単価(共益費込)の変化

  • オフィスの利用人数が「増えた」企業の割合は37.5%で、「減った」企業(12.3%)を上回った。
  • オフィス面積を「拡張した」(「拡張を決めた」を含む)企業の割合は8.6%で、「縮小した」(「縮小を決めた」を含む)企業(2.2%)を上回った。
  • 賃料単価(共益費込)が「上昇した」企業(15.9%)も、「下落した」企業(1.9%)を上回った。

  • 過去1年間(2016年10月~2017年9月)におけるオフィスの利用人数、オフィス面積および賃料単価(共益費込。以下同様)の変化は以下の通りであった。

    まず、オフィス需要に大きな影響を与える利用人数は、「増えた」と答えた企業の割合が「減った」と答えた企業の割合を25.2ポイントと大きく上回った【図表1(下段)】。オフィス面積が「拡張した」(「拡張を決めた」を含む。以下同様)と答えた企業の割合は「縮小した」(「縮小を決めた」を含む。以下同様)と答えた企業の割合を6.4ポイント上回り(【図表2(下段)】)、賃料単価が「上昇した」と答えた企業の割合も「下落した」と答えた企業の割合を14.0ポイント上回った【図表3(下段)】。過去2回の調査(*2016年秋調査及び2017年春調査)と比べてもこの傾向に大きな変化はなく、需要は引き続き堅調であったといえるだろう。

    【図表1】オフィスの利用人数の変化


    【図表2】オフィス面積の変化


    【図表3】賃料単価の変化


    こうした企業の継続的なオフィス需要の強さが、大都市圏におけるオフィス需給のひっ迫につながっていると考えられる。また、オフィスの利用人数が増えた企業に比べ、オフィス面積を拡張した企業が少ないことから、面積を拡張することなく増員している企業が一定数存在していることがうかがえる。こうした状況が、後述の「手狭感」(【図表4】)の結果にもつながっていると思われる。


    1-2.手狭感

  • 3割超の企業が、入居中のオフィスを「かなり狭い」「やや狭い」と感じている。

  • 入居中のオフィスの面積についてどのように感じているかを聞いたところ、合計で32.6%の企業が「かなり狭い」「やや狭い」と回答した【図表4(下段)】。これは「かなり広い」「やや広い」と答えた企業の割合(16.0%)を上回っており、本調査の当初(【図表4(上・中段)】)から引き続き、潜在的な拡張ニーズがあるとみることもできる。

    【図表4】手狭感


    <PICK UP>企業属性別にみるオフィス面積・賃料単価の変化

    企業規模や業種、オフィスの所在地別では、オフィス面積の増減と賃料単価の上下幅に差がみられた。

    過去1年間(2016年10月~2017年9月)におけるオフィス面積の変化「オフィス面積DI」(「拡張した」割合から「縮小した」割合を引いた値)と賃料単価の変化「賃料単価DI」(「上昇した」割合から「下落した」割合を引いた値)の結果が【図表5】である。

    【図表5】オフィス面積DIと賃料単価DI

    <▲企業規模(従業員数)別>
    オフィス面積は従業員数1,000人以上の大企業、賃料単価は100人以上1,000人未満の中間層が比較的伸びている。

    <◆業種別>
    情報通信業は、オフィス面積と賃料単価ともに増加した割合が他の業種に比べて高かった。建設業や不動産業,物品賃貸業はオフィス面積の伸びに対して賃料単価上昇は比較的抑えられていることがわかる。また、2017年春調査(【参考】)では最も保守的であった製造業が、今回大きくプラスに動いた。

    <●オフィスの所在地別>
    東京23区は他エリアに比べ、オフィス面積を拡張した割合と賃料単価が上昇した割合がともに高かった一方、名古屋市は面積・賃料ともにプラスではあるものの比較的低調であった。2017年春調査から比べると、大阪市が賃料単価で伸びを示した。

    【参考】オフィス面積DIと賃料単価DI(2017年春調査結果より)


    2.働き方改革の推進

    2-1.働き方改革の推進

  • 37.9%の企業が、「現在、働き方改革に取り組み中」もしくは「すでに実施済み」と回答。
  • 働き方改革のきっかけは「経営層の判断」(77.9%)が最多。取り組みの目的としては「生産性の向上」(67.1%)が1位で、次に「従業員のワークライフバランス」(59.5%)、「従業員のモチベーション向上」(58.4%)など、従業員満足度に関わる項目が上位を占めた。
  • 約7割の企業が、働き方改革の効果について「非常に感じている」「やや感じている」と回答。

  • 「現在、働き方改革に取り組み中」であると回答した企業は29.1%に上り、「すでに実施済み」と合わせると37.9%の企業が働き方改革に着手していることがわかった【図表6】。また、「これから取り組む予定・検討中」と回答した企業は13.5%で、今後も働き方改革が加速していくことが予想される。

    【図表6】働き方改革への取り組み実態(n=1,294)


    働き方改革を「実施済み・取り組み中・実施予定・検討中」と回答した企業に対し、取り組みのきっかけを聞くと「経営層の判断」が77.9%で最も多くなった【図表7】。また、取り組みの目的としては「生産性の向上」(67.1%)が1位で、次に「従業員のワークライフバランス」(59.5%)、「従業員のモチベーション向上」(58.4%)が続く。そのほか「従業員の満足度向上」(47.3%)、「従業員のリフレッシュ・健康促進」(32.7%)などが上位に並ぶ一方、「オフィスコストの削減」(9.5%)、「オフィススペースの削減・効率化」(8.9%)といったコスト関連の項目は下位に留まり、従業員満足度に対する企業の意識の高まりがみられた【図表8】。

    【図表7】働き方改革のきっかけ(複数回答、n=666)


    【図表8】働き方改革の目的(複数回答、n=666)

    働き方改革を「実施済み・取り組み中」と回答した企業に対し、働き方改革の効果について聞くと、「非常に感じている」「やや感じている」と回答した企業が合計で7割に上った【図表9】。具体的な効果としては「従業員のワークライフバランス」(47.7%)(【図表10】)を筆頭に、前項「働き方改革の目的」(【図表8】)の上位項目が並んでおり、目的意識をもって改革に取り組んだ企業が手応えを感じていると考えられる。

    【図表9】働き方改革の効果実感(n=491)

    【図表10】働き方改革の具体的な効果(複数回答、n=491)

    さらに、働き方改革に未着手の企業も含めた全回答者に対し、「従業員がよりよく働けるために取り組んでいること」を「ICT活用」「経営層のコミットメント」「人事・労務」「ワーカーの教育・啓発」という4分野に分けてそれぞれ聞いた。

    まず、ICT活用に関しては「TV・WEB会議システムの導入」(46.8%)や「社内資料のペーパーレス化」(33.7%)といった取り組みが比較的進んでいた【図表11】。

    また、経営層のコミットメントに関する取り組みでは、34.5%の企業が「経営トップによる働き方に関するメッセージ表明」を実施しており、前述した「働き方改革のきっかけ」(【図表7】)と併せて、経営層が企業の働き方に与える影響力の大きさがみてとれる【図表12】。

    人事・労務面では約3割の企業が「労働時間ではなく成果による評価」や「フレックスタイム制度」を導入【図表13】。ワーカーの教育・啓発に関する取り組みでは、「メンバー教育」よりも「管理職教育」の方がわずかに実施率が高いことがわかった【図表14】。

    【図表11】働き方の取り組み:ICT活用(複数回答、n=1,294)

    ※RPA(Robotic Process Automation) … 機械学習や認知技術を活用した業務自動化の取り組み。

    【図表12】働き方の取り組み:経営層のコミットメント(複数回答、n=1,294)

    【図表13】働き方の取り組み:人事・労務(複数回答、n=1,294)

    【図表14】働き方の取り組み:ワーカーの教育・啓発(複数回答、n=1,294)


    3.働く場所の多様化(テレワークの推進)

    3-1.オフィスレイアウトの実態

  • 1年前の調査と比べて大きな変化は見られないものの、「オープンミーティングスペース」や「リフレッシュスペース」といった柔軟な使い方のできるスペースが微増傾向にある。

  • 入居中のオフィスについて、何があるかを聞いた結果が【図表15(下段)】である。

    2016年秋調査(【図表15(上段)】)と比較して大きな変化は見られないものの、「オープンミーティングスペース」や「リフレッシュスペース」など、ユーザーのニーズに合わせて柔軟な使い方のできるスペースが微増傾向にあるといえる。

    【図表15】入居中オフィスのレイアウト(複数回答)


    ※ABW(Activity Based Working)… 集中するためのブース、チームで作業するためのスペースなど、オフィス内に多様なワークエリアを設けるレイアウト。

    3-2.テレワーク推進の取り組み

  • 66.2%の企業が、従業員のテレワークを支援する目的で何らかのICT投資を行っている。

  • 26.2%の企業が、テレワークするための場所や制度の整備に取り組んでいると回答。「在宅勤務制度」(19.2%)や「専門事業者等が提供するレンタルオフィス、シェアオフィス等の利用」(6.7%)が伸びているほか、「自社が所有・賃借するサテライトオフィス等の設置」(5.4%)をしている企業も一定数みられ、働く場所の多様化・分散化が進みつつある。

  • 企業規模別では従業員1,000人以上の大企業が、業種別では情報通信業が、それぞれテレワークするための場所や制度の整備に積極的に取り組んでいる。

  • 全体の66.2%の企業が、従業員のテレワークを支援する目的で「オフィス以外の場所でメールやスケジュールがチェックできるIT環境・仕組み」や「外出時でもオフィス同様のネットワーク環境で仕事ができる仕組み」の活用、「ノートパソコンやタブレットなどのIT端末を支給」のうち少なくとも1つは取り組んでいると回答(【図表16・17】)しており、すでに過半数の企業が効率的な働き方を実現するため、何らかのICT投資を行っていることがわかった。

    【図表16】テレワーク支援のためのICT投資(n=1,294)

    【図表17】ICT投資の内容(複数回答、n=1,294)

    また、全体の26.2%の企業は、テレワークするための場所や制度の整備に取り組んでいると回答した【図表18】。

    内容としては、「在宅勤務制度」(19.2%)が2017年春の調査から6.6ポイント、「専門事業者等が提供するレンタルオフィス、シェアオフィス等の利用」(6.7%)が同1.1ポイント伸びているほか、「自社が所有・賃借するサテライトオフィス等の設置」(5.4%)をしている企業も一定数みられ、働く場所の多様化・分散化が少しずつ進んでいる様子がうかがえる【図表19】。

    【図表18】テレワークする場所や制度の整備(n=1,294)

    【図表19】テレワークする場所や制度の内容(複数回答)

    こうした取り組みの状況には、企業規模などの属性による偏りがみられた。

    企業規模別にみると、大企業ほど在宅勤務制度やサードプレイスオフィスの導入率が高い傾向にあった【図表20】。例えば、「自社が所有・賃借するサテライトオフィス等の設置」をしていると回答した企業は全体では5.4%(【図表19】)だが、従業員1,000人以上の大企業に限ると17.3%。「専門事業者等が提供するレンタルオフィス、シェアオフィス等の利用」(全体では6.7%)も15.2%に上る。資力のある大企業から、働く場所を多様化・柔軟化し始めている状況が見受けられる。

    【図表20】従業員がテレワークする場所や制度の整備状況<企業規模別>(複数回答)


    業種別では情報通信業の取り組みが比較的進んでいるものの、企業規模別ほどの特色は見られず、幅広い業種でテレワークが推し進められつつあることがわかった【図表21】。


    【図表21】従業員がテレワークする場所や制度の整備状況<業種別>(複数回答、主要業種のみ抜粋)

    <PICK UP>テレワークする場所の整備状況別にみる、オフィスの1人あたり面積

    テレワークの取り組み別にオフィスの1人あたり面積(中央値)を算出すると、どの取り組みについても導入済みの企業の方が、未導入の企業よりも1人あたり面積が小さいことがわかった【図表22】。

    特に、在宅勤務制度を導入している企業は1人あたり3.00坪(未導入企業は3.86坪)、レンタルオフィス・シェアオフィスの利用企業は2.50坪(同3.75坪)となり、働く場所の分散が、従来のオフィススペースの効率化に寄与している可能性が考えられる。今後もテレワークの導入が進めば、本社などの固定的なオフィススペースから、多様な立地の多様なワークプレイスへと働く人が分散していくかもしれず、オフィス需要への影響にも注視する必要があるだろう。

    【図表22】テレワークする場所の整備状況別にみる、オフィスの1人あたり面積(中央値、単位:坪)


    4.オフィスに求める要素

    4-1.オフィスに求める要素

  • ハード面では「利便性の高い立地」(88.6%)が1位。次いで「清掃衛生・維持管理状態が良い」(82.8%)、「セキュリティ性能が高い」(82.0%)、「耐震性能が高い」(80.8%)が上位に並んだ。
  • ソフト面では、「従業員が快適に働ける」(89.6%)や「従業員のモチベーション向上につながる」(85.5%)が上位に並び、従業員満足度に対する意識がみてとれた。

  • オフィスに求める要素について、ハード面(ビルスペックなど)とソフト面(働き方と一体になった運用など)に分けて代表的な項目に対する重視度を聞いた。

    まずハード面については、「利便性の高い立地にある」を「非常に重視する」「重視する」と回答した企業が合計88.6%で1位【図表23】。次いで「清掃衛生・維持管理状態が良い」(82.8%)、「セキュリティ性能が高い」(82.0%)、「耐震性能が高い」(80.8%)が上位に並び、オフィス選びにおいてこれらはすでに必須条件になっていると考えられる。また、「BCP(災害時などの事業継続計画)に適応する」も65.4%と過半数を超え、東日本大震災以降の安全性に対する意識の高さがみてとれる。

    【図表23】オフィスに求める要素(ハード面)(複数回答、n=1,294)



    ソフト面で求める要素としては、「従業員が快適に働ける」(89.6%)と「従業員のモチベーション向上につながる」(85.5%)が1位・2位に並んだほか、「従業員がリフレッシュできる」(70.0%)や「従業員のワークライフバランス向上につながる」(69.2%)など、従業員満足度に関わる項目を多くの企業が重視していることがわかった【図表24】。「働く人にフォーカスしたオフィスが、結果的に企業の生産性や業務効率を高める」という認識の表れとみることもできるだろう。一方で「イノベーションの促進・新規事業の創出」(37.9%)や「コラボレーションを誘発する」(30.5%)といった要素を求める層は比較的少ないことがわかった。

    【図表24】オフィスに求める要素(ソフト面)(複数回答、n=1,294)



    4-2.オフィス施策を実施する上での懸念事項/阻害要因

  • 「コスト負担が重い」(44.7%)、「費用対効果が不明瞭」(40.4%)など、費用に関する項目が上位を占めた。

  • 「オフィス施策を実施する上での懸念事項/阻害要因」を聞いたところ、4割以上の企業が「コスト負担が重い」を選び、2017年春調査(41.8%)と同じく最多となった【図表25】。そのほか「社内で横断的に推進する部署・担当者がいない」(20.3%)、「情報システム部門との調整(セキュリティ対策等)」(20.0%)など、組織に関する課題が上位となった。

    【図表25】オフィス施策を実施する上での懸念事項/阻害要因(複数回答、n=1,294)


    5.トピックス:サードプレイスオフィスに対する利用関心度

    働き方の多様化に伴い、会社のオフィスや自宅に次ぐ第3のワークプレイス(「サードプレイスオフィス」)の存在感が増している。中でも注目を集めているのが、事業者が企業向けに提供し、契約企業の従業員が利用するタイプのレンタルオフィスやシェアオフィスだ。こうしたサービスは月単位や時間単位で利用できる場合が多く、所有や賃借を前提とする従来の固定的なオフィスに比べ、フレキシブルな利用が可能となる。

    市場の盛り上がりとともに特色あるサービスも生まれているが、実際に企業のオフィス担当者は、どんなワークプレイスなら自社の従業員に利用させたいと考えているのだろうか。代表的な以下5つのタイプのサードプレイスオフィスについて、それぞれの利用関心度を聞いてみた。

    <代表的なサードプレイスオフィス5つのタイプ>

    • (1)タッチダウン型(主に個人単位で利用)
    • 【エリア・期間】都心の主要オフィスエリア。不定期・単発利用。
    • 【利用イメージ】
    • ・主に営業担当者などが外出中や直行直帰の際に立ち寄り、オフィス同様に働ける。
    • ・1人で集中して事務作業などを行う。
    • ・都合に合わせて場所を都度選び、すぐ利用できる。


    • (2)プロジェクトルーム型(チーム単位で利用)
    • 【エリア・期間】都心の主要オフィスエリア。数ヶ月~年単位の利用契約。
    • 【利用イメージ】
    • ・システム開発やプロジェクトなどのため期間限定で利用。
    • ・社内だけでなく、社外の人材と協業する際に利用。


    • (3)「シェア型サテライト」オフィス(企業単位で利用)
    • 【エリア・期間】郊外の住宅エリア。数ヶ月~年単位の利用契約。
    • 【利用イメージ】
    • ・複数の企業がサテライトオフィス的に共同利用。
    • ・専用回線なども使える企業専用区画と共用スペースがある。
    • ・近隣に住む従業員が集まって働ける。


    • (4)「子育て支援機能付き」オフィス
    • 【エリア・期間】郊外の住宅エリア。不定期・単発利用。
    • 【利用イメージ】
    • ・託児スペースが併設されており、主に育児中の社員が必要に応じ、個人単位で単発利用できる。


    • (5)「コワーキング型」オフィス
    • 【エリア・期間】都心の主要オフィスエリア。
    • 【利用イメージ】
    • ・様々な業種・職種の人が共同利用し、コラボレーションやイノベーションの創発が期待できる。
    • ・法人契約だけでなく、個人契約も可能な場合が多い。

  • 5つのタイプすべてについて、2~3割の企業が「非常に関心がある」「やや関心がある」と回答。
  • 特に「子育て支援機能付き」の利用関心度が35.7%と最も高く、従業員の育児支援に対する企業のニーズの高さがうかがえる。

  • 5つのタイプの利用関心度を5段階で聞いたところ、すべてのタイプについて2~3割の企業が「非常に関心がある」「やや関心がある」と回答した【図表26】。

    中でも「子育て支援機能付き」が35.7%と比較的高く、従業員の育児支援に対する企業のニーズの高さがうかがえる。労働力不足や待機児童問題などを背景に、託児スペース付きのシェアオフィスなどが注目されており、今後も需要の伸びに伴い市場が拡大していく可能性があるだろう。一方、利用者同士の交流や共創を目的とする「コワーキング型」の利用関心度は21.4%で、5つの中では最も低い結果となった。

    【図表26】5つのタイプのサードプレイスオフィスに対する利用関心度(各タイプについて単一回答、すべてn=1,294)

    6.まとめ

    【図表19】でもみてきた通り、企業によるテレワークの場所や在宅勤務制度の整備は少しずつ進んでおり、固定的なオフィスに縛られない柔軟な働き方への移行は今後も加速していくと予想される。また、【図表22】では、働く場所の多様化に伴ってメインオフィスの1人あたり面積が縮小する傾向がみてとれた。「5.トピックス」で紹介したような多様なサービスも登場し、オフィスワーカーが働く場所の選択肢はますます増加している。

    今後も働き方の多様化が進めば、本社など従来のオフィススペースが縮小し、働く場所が分散することでオフィス需要に変化を与える可能性があるだろう。人口動態などの量的側面に加え、働き方改革といった社会的要因によるオフィス需要の質的変化についても、引き続き注視していきたい。


    調査概要

    調査時期

    2017年10月

    調査対象

    ・ザイマックスグループの管理運営物件のオフィスビルに入居中のテナント企業
    ・ザイマックスインフォニスタの取引先企業
    上記合計 4,234社

    有効回答数

    1,294社  回答率:31%

    調査地域

    全国(東京都、大阪府、愛知県、福岡県、神奈川県、埼玉県、千葉県、その他)

    調査方法

    メール配信およびアンケート用紙配布による

    調査内容

    • 入居中オフィスについて
      ・ 所在地/契約面積/利用人数/固定席割合/手狭感/坪あたり賃料

    • オフィス利用の実態
      ・ 居室内レイアウトについて
      ・ テレワーク推進の取り組みについて

    • オフィス需要の変化(2016年10月~2017年9月)
      ・ 利用人数の変化(増加・減少・変化なし)
      ・ 面積の変化(拡張・縮小・変化なし)
      ・ 賃料単価の変化(上昇・下落・変化なし)

    • 働き方改革の取り組み状況
      ・ 取り組みの有無
      ・ きっかけ/目的/効果
      ・ 働き方に関する取り組み/オフィス施策

    • オフィスに求める要素
      ・ 重視項目(ハード面/ソフト面)
      ・ オフィス施策を実施する上での懸念事項・阻害要因

    • サードプレイスオフィスのタイプ別利用関心度

    • 会社属性
      ・ 業種/本社所在地/従業員数/設立年

    • 回答者属性
      ・ 部署/役職/年代



    回答企業属性(上段:%、下段:n)



    レポート内のグラフに関して
    ・構成比(%)は、小数点第2位を四捨五入しているため内訳の合計が100%にならない場合がある。

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