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2017.01.30

大都市圏オフィス需要調査2016 <働き方の変化とオフィス編>

働き方の変化に伴い、多様な場所で働く動きがみられ始めている

 高齢化の進展や生産年齢人口の減少による労働力不足の懸念などを背景に、企業では人材確保と生産性の向上が求められ、昨今、場所や時間に捉われない多様な働き方を導入する企業が増えてきた。この取組みが進むと、オフィス面積だけでなく、立地や利用のスタイル、そして今後のオフィス需要に影響を与えることになると思われる。

 そこで、ザイマックス不動産総合研究所では、企業のオフィス利用の実態や働き方に関して定期的に調査を実施することにした。本レポートはその調査結果のうち、働き方の変化への取組みと働く場所の多様化について公表する。なお、オフィス需要動向の結果については、2017年1月12日の総研レポートを参照されたい。

主な調査結果:働き方の変化とオフィス
    • 1. 働き方の変化への取組み状況

従業員数が多い大企業の方が働き方の変化への取組みに積極的。また、業種により取組みに特徴がある。【図表2・3】

    • ・半数以上の企業がモバイルワークを活用した働き方に取組んでいる。
    • ・従業員規模が大きい企業ほど様々な働き方に対する施策に取組んでいる。
    • ・製造業ではモバイルワーク、情報通信業ではフリーアドレス席や在宅勤務制度の導入率が高い。
    • ・働き方の変化に取組むきっかけは、「経営層の判断」(62%)がトップ。
    • ・働き方の変化に取組む目的は、「生産性の向上」(65%)が最多であげられた。
 
    • 2. 働く場所の変化

 過去1年で最も整備が進んだのは「在宅勤務制度」(7.0%)。オフィスでも自宅でもない「モバイルワークオフィスの利用」(4.4%)は、過去1年で導入・取組みが始まったことがわかった。 働く場所を多様化させる動きがみられ始めている。【図表6】

 
    • 3. オフィス施策への意向と重視項目

 従来の「固定席」で働くだけでなく、「リフレッシュスペース」や「フリーアドレス席」といったオフィス内に様々なスペースを設ける施策や、「在宅勤務制度」や「モバイルワークオフィスの利用」など、 オフィス以外の場所でも働けるような施策への意向がみられた。【図表9】

 
    • 4. オフィス施策に対する懸念事項

 オフィス施策に対する懸念事項は、「コスト負担が重い」「費用対効果が不明瞭」といったコストコントロールに関する項目が上位を占めた。【図表11】

1. 働き方の変化への取組み状況

✓半数以上の企業がモバイルワークを活用した働き方に取組んでいる。
✓従業員規模が大きい企業ほど様々な施策に取組んでいる。
✓製造業ではモバイルワーク、情報通信業ではフリーアドレス席や在宅勤務制度の導入率が高い。

 「働き方改革」は政府が掲げる重要事項であり、その内容としては、長時間労働の是正、賃金格差是正をはじめとして幅広い内容を含むものである。今回の調査では、働く場所を多様化させるオフィス利用への取組みや人事制度に関する以下の「働き方の変化」について、企業の入居中のオフィスにおける導入・整備状況を聞いた【図表1】。

 ITツールを利用して外出時など社外で仕事をするモバイルワークやTV・WEB会議システムは、半数以上の企業がすでに導入済み(「全体導入済」「一部導入済」の合計割合、以下同様)と答えた。次いで、働き方改革における重要課題として取り上げられることの多い「ノー残業デー/長時間労働の是正」は、導入済みと答えた企業が48%と半数近くにのぼった。また、「在宅勤務制度の導入/活用促進」を導入済みと答えた企業は15%で、「検討している/今後検討したい」までを合わせると31%になった。

【図表1】働き方の変化への取組み状況(単一回答、n=1,124)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig1 (*1)グループアドレス席 … 部署やチーム等の決められたエリアの中で、個人が自由に選ぶことができるスタイルのデスク

PICK UP

働き方の変化への取組みが進んでいる企業の特徴

 働き方の変化への取組み状況において、取組みが進んでいる企業にはいくつかの特徴がみられた。

 一つ目の特徴は従業員数である。従業員数が大きくなるほど、「副業を認める」以外の施策において、総じて導入率が高くなる傾向がみられた【図表2】。

 二つ目の特徴は業種である。業種間の特徴を比較すると、製造業においては、モバイルワークの導入率が高かった。情報通信業においては、どの施策についても取組んでいる割合が比較的高いが、特にフリーアドレス席や在宅勤務制度の導入率が高い傾向がみられた【図表3】。

【図表2】<従業員数別>導入・整備状況(「全体導入済」「一部導入済」の合計割合)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig2

【図表3】<業種別>導入・整備状況(「全体導入済」「一部導入済」の合計割合)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig3

✓働き方の変化に取組むきっかけは、「経営層の判断」(62%)がトップ。

 【図表1】でみた働き方の変化における様々な取組みについて、導入のきっかけは何だったのかを聞いたところ、「経営層の判断」(62%)が半数以上と最も多く、続いて「時代の変化に伴い」(34%)となった。一方、ボトムアップによる導入「従業員など現場からの提案・要望」(26%)は、3割弱であった【図表4】。

【図表4】働き方の変化への取組みのきっかけ(複数回答、n=1,062)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig4

✓働き方の変化に取組む目的は、「生産性の向上」(65%)が最多となった。上位には働く環境の向上に関する項目が続き、コスト意識の項目を上回った。

 働き方の変化に取組む目的を聞いたところ、「生産性の向上」(65%)が最多となった。次いで「従業員のモチベーション向上」(51%)と「業務の効率化(作業の効率化)」(51%)が並び、「長時間労働(残業、休日勤務)の是正」(40%)と続く【図表5】。

 以降、「従業員のワークライフバランス」(34%)、「社内のコミュニケーション活性化」(30%)、「従業員のリフレッシュ・健康促進」(25%)と従業員が働く環境の向上に関する項目が続き、「従業員の移動コスト(時間・交通費)の削減」(17%)や「オフィスコストの削減」(16%)といったコストの項目を上回った。

【図表5】働き方の変化に取組む目的(複数回答、n=1,062)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig5

2. 働く場所の変化

✓過去1年において、オフィス以外の働く場所として整備・導入が進んだのは、「在宅勤務制度」(7.0%)、「自社の支社・支店で主たるオフィス同様の環境で働けるようにする」(5.7%)のほか、オフィスでも自宅でもない「モバイルワークオフィス*4の利用」(4.4%)であった。働く場所を多様化させる動きがみられ始めているといえる。

 現在、入居中のオフィス以外に、従業員が働く場所として整備・用意しているスペースと、過去1年における変化をまとめたものが【図表6】である(各棒グラフの全体が現状整備・用意済みの割合を示し、そのうち薄い青が過去1年で新設/拡張された割合を示す)。現状では「自社の支社・支店等*2」を整備・用意している割合が23.8%と最も高い。過去1年で最も整備が進んだのは、「従業員が自宅で働けるよう在宅勤務を整備」であった。また、「モバイルワークオフィス*4 の利用」は、過去1年において新設/拡張されており、企業における導入・取組みが始まったことが窺える。

【図表6】オフィス以外の働く場所として整備・用意しているスペースと過去1年における変化(複数回答、n=1,124)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig6 (*2)自社の支社・支店等 … 従業員が、自社の支社・支店で主たるオフィス同様の環境で働けるようにすること。
(*3)他社オフィス拠点 … 従業員が、関連会社/取引先/協力会社など他社のオフィス拠点を利用できるようにすること。
(*4)モバイルワークオフィス … 従業員が、都心のターミナル駅周辺等で、主たるオフィスと同様な環境で働ける短時間の利用をイメージしたオフィス。サービスオフィス・レンタルオフィスなど、他社がサービスとして提供するオフィスの利用も含む。
(*5)サテライトオフィス … 従業員が、郊外や地方で、主たるオフィスと同様な環境で働ける長時間の利用をイメージしたオフィス。自社で設置する他、他社がサービスとして提供するオフィスの利用も含む。

 また、【図表6】を従業員数別にみると、「自社の支社・支店等で主たるオフィスと同様な環境で働く」「サテライトオフィスを設置・利用している」割合は、大企業が高い【図表7】。過去1年における変化をみると、「モバイルワークオフィスの利用」が、いずれの企業規模においても同程度新設・拡張されていた。過去1年における「従業員が自宅で働けるよう在宅勤務を整備」が変化した割合は、従業員数が100人未満の企業で8.7%と最も高かった。

 業種別では、情報通信業が「従業員が自宅で働けるよう在宅勤務を整備」「モバイルワークオフィスの利用」「他社のオフィス拠点利用」について整備している割合が高くなる傾向がみられた【図表8】。

【図表7】<従業員数別>オフィス以外の働く場所として整備・用意しているスペースと過去1年における変化(複数回答、n=1,124)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig7-2

【図表8】<業種別>オフィス以外の働く場所として整備・用意しているスペースと過去1年における変化(複数回答、n=1,124)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig8 ※2017年2月8日に、【図表7】の数字の一部について誤りがあったため更新している。

3. オフィス施策の意向と重視項目

3-1.オフィス施策の意向

✓従来の「固定席」で働くだけでなく、「リフレッシュスペース」や「フリーアドレス席」といったオフィス内に様々なスペースを設ける施策や、在宅勤務制度やモバイルワークオフィス等を利用し、オフィスの外でも働けるような施策にも導入・整備する意向がみられた。

 今後の理想的な働き方を支えるオフィスのあり方として、考えに近いものを聞いた【図表9】。「各自が決まった座席をもち、同じ席で仕事する」(28%)といった従来どおりのオフィスのあり方だけでなく、働く場を多様化させる以下のような様々な施策を導入・整備する意向がみられた。

 具体的には、「オープンなミーティングスペースを設ける」(27%)、「リフレッシュスペースを設ける」(27%)、「フリーアドレス席を活用する」(19%)といったオフィス内に様々なスペースを設ける施策や、「在宅勤務制度の促進」(13%)、「モバイルワークオフィスの利用」(9%)、「託児スペースがあり、子供を預けて働ける」(8%)、「サテライトオフィスを設置する」(6%)などオフィス以外の多様な場所を利用する施策があげられた。

【図表9】理想的な働き方を支えるオフィスのあり方に対する意向(複数回答、n=1,124)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig9-2 (*6)ABW(Activity Based Working) … 集中するためのブース、チームで作業するためのスペースなど、オフィス内の多様なワークエリア

3-2.オフィス施策の重視項目

✓オフィス施策における重視項目は、「生産性の向上」(53%)、「従業員のモチベーション向上」(49%)、「業務の効率化(作業の効率化)」(39%)といった項目が「オフィスコストの削減」(29%)を上回った。この結果は「働き方の変化に取組む目的」と同じ傾向である。

 今後のオフィス施策に取組むにあたり、重視することを聞いた【図表10】。1位が「生産性の向上」、2位「従業員のモチベーション向上」、3位「業務の効率化(作業の効率化)」となり、「働き方の変化に取組む目的」【図表5】と同順位であった。

 一方、「オフィスコストの削減」(29%)は6位にとどまった。従来、オフィスコストの管理は外せない課題であるが、近年では、働き方改革の一部として、オフィス施策においても「従業員のモチベーション向上」や「社内のコミュニケーション活性化」といった働く人に関する課題をより重視する傾向になってきているともいえる。

【図表10】オフィス施策の重視項目(複数回答、n=1,124)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig10

4. オフィス施策に対する懸念事項

✓オフィス施策に対する懸念事項としては、「コスト負担が重い」「費用対効果が不明瞭」といったコストに関する項目が上位を占めた。

 オフィス施策に対する懸念事項や阻害要因を聞くと、「コスト負担が重い」(32%)、「費用対効果が不明瞭」(31%)といったコストに関する項目があげられた【図表11】。この傾向は、ザイマックス総研が2015年に行った「働き方とオフィス利用についてのアンケート調査」においても同様な傾向であり、オフィスでの生産性向上や従業員の働く環境などが重視される傾向がある一方で、固定経費となるコストが課題として感じられているといえる。

【図表11】オフィス施策に対する懸念事項(複数回答、n=1,124)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig11

PICK UP(参考)

 働く場所の多様化に関する取組みは、主たるオフィススペースの効率化に影響を与えているのであろうか。以下の【図表12】では、各取組みを導入済みと答えた企業と未導入の企業における従業員1人あたりのオフィス面積を比較してみた。

 その結果、どの取組みにおいても、導入済みの企業の方が未導入の企業に比べて1人あたりのオフィス面積が小さかった。ただし、一人あたりオフィス面積に影響を与える要素は、人数の増減に加え、オフィスレイアウトや使い方の変化など多岐にわたるため、必ずしも下記の取組みだけがスペースの効率化に影響を与えているとは言い切れない。

 今後も継続的な調査を実施することで、働き方とオフィス利用実態の関係について考察を深めていく予定である。

【図表12】変化する働き方とオフィスへの取組み状況別にみるオフィスの1人あたり面積(単位:坪)

(オフィスの契約面積と利用人数が判明したもの)

1701-office_demand_survey_2016_2_fig12
導入済み・・・各取組みに対し、「全体導入済み」「一部導入済」もしくは各スペースを「整備・用意している」と回答した企業を対象としている。
未導入・・・各取組みに対し、「1年程度で導入予定」「検討している/今後検討したい」「ない/興味ない」と回答した企業(「わからない」と回答した企業は含まれない)ならびに、「整備・用意している」スペースとして回答がなかった企業を対象としている。
調査概要

調査期間

2016年10月

調査対象

  • ・ザイマックスグループの管理運営物件のオフィスビルに入居中のテナント企業
  • ・ザイマックスエステートデザインの取引先企業
  • 上記合計 3,252社

有効回答数

1,124社  回答率:35%

調査地域

全国(東京都、大阪府、愛知県、福岡県、神奈川県、埼玉県、千葉県、その他)

調査方法

メール配信およびアンケート用紙配布による

調査内容

<働き方の変化とオフィス編>


  • 働く時間や場所を多様化させる取組みについて
  • ・働き方改革への取組み状況
  • ・各施策への取組み状況
  • ・各施策へ取組むきっかけ
  • ・各施策へ取組む目的

  • オフィス利用の実態と変化
  • ・オフィスのレイアウトと変化(新設/拡張・縮小/廃止)
  • ・オフィス以外の働く場所の利用と変化(新設/拡張・縮小/廃止)

  • 働き方の取組に伴うオフィス施策
  • ・オフィス施策の意向
  • ・オフィス施策における重視項目
  • ・オフィス施策に対する懸念事項/阻害要因

  • 会社属性
  • ・業種/本社所在地/従業員数/設立年

  • オフィスについて
  • ・所在地と最寄り駅/契約面積/利用人数/坪あたり賃料

回答企業属性 (上段:% 下段:n)

【業種】

1701-Survey_of_office_needs_in_Metropolitan_area_fig20

1701-Survey_of_office_needs_in_Metropolitan_area_fig21

【従業員数】

1701-Survey_of_office_needs_in_Metropolitan_area_fig22-2

【オフィスの種類】

1701-Survey_of_office_needs_in_Metropolitan_area_fig23

【オフィスの所在地】

1701-Survey_of_office_needs_in_Metropolitan_area_fig24

【オフィスの契約面積】

da レポート内のグラフに関して
・構成比(%)は、小数点第1位を四捨五入しているため内訳の合計が100%にならない場合がある。 また、複数回答項目の構成比は、
 内訳の合計が100%にならない。
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