【名古屋市】オフィスピラミッドを深掘りする

平均築年数から読み解くストック形成の違い

ザイマックス総研は、毎年「オフィスピラミッド」(*1)を公表している。本資料では、同日公開の「オフィスピラミッド・新規供給量 2026 名古屋市」(*2)をもとに、東京23区版(*3)、大阪市版(*4)に続き、名古屋市の都心3区(中区、中村区、東区)における平均築年数について、棟数ベース、賃貸面積ベースのそれぞれで2000年~2026年まで26年間の経年変化をみた。名古屋市全体のオフィスストックの概観に加え、区単位でのオフィスストックの深掘りを通して、各エリア固有のストックの形成過程と変化の違いが明らかになった。

本ページは<概要版>として一部を抜粋したものである。

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主な調査結果

  • 名古屋市の平均築年数の推移を、従来の「棟数ベース」に加え「賃貸面積ベース(加重平均)」で分析した結果、近年の大規模供給によるストック更新(築年数上昇の抑制効果)の構造が鮮明になった【図表1】。
  • オフィス立地の都心3区を比較すると、エリアごとにオフィス市場の形成過程やストックの変化に違いがあることが明らかになった【図表2-1】【図表2-2】。
<調査概要>
調査時点

オフィスピラミッド:2026年5月、平均築年数:2026年5月

調査地域

愛知県名古屋市

対象物件

2026年末時点において、延床面積300坪以上、1946年以降に竣工(予定含む)した
主な用途が事務所のオフィスビル(原則、自社ビルを除く)
<大規模ビル>延床面積5,000坪以上
<中小規模ビル>延床面積300坪以上5,000坪未満のオフィスビルの棟数および
オフィス賃貸面積(坪)

調査方法

新聞記事など一般的に公開されている情報を基に、一部現地調査ならびに事業者に
ヒアリングを実施して集計

topic 1 「棟数」と「賃貸面積」でみる平均築年数の違い

本レポートでは、平均築年数の推移(2000年〜2026年)を「棟数ベース」(単純平均)と「賃貸面積ベース」(加重平均)の2つの視点で分析している。

名古屋市の平均築年数をみると、棟数ベースでは2000年の15.1年から2026年の34.0年まで18.9年増加している。これに対し、賃貸面積ベース(加重平均、以下省略)では2000年の17.4年から2026年の31.2年と、上昇幅は13.8年となり、棟数ベースに比べて上昇幅は5.1年少ない【図表1】。賃貸面積ベースの平均築年数は、単に建物の数(棟数ベース)から算出した平均築年数と異なり、賃貸オフィス市場において、テナントが利用可能なオフィススペース全体で見る「体感の築年数」を示している。

この背景には、大規模ビルの新規供給があることで、面積ベースでは棟数ベースで見るよりもストックの変化があり、平均築年数の上昇が抑制されているという構造を示している。

【図表1】平均築年数の推移(棟数ベース、賃貸面積ベース)

topic 2 都心3区の平均築年数の推移

オフィス中心の都心3区(中区、中村区、東区)とその他の区における、棟数ベースの推移をみると、すべてのエリアにおいて右肩上がりで推移しており、ストック全体の経年化が着実に進行している【図表2-1】。一方、賃貸面積ベースをみると、棟数ベースに比べて区ごとの差異が大きく、右肩上がりのペースは緩やかで、大規模ビルの新規供給の影響で平均築年数が一時的に低下する局面もみられる【図表2-2】。中区は、継続的な大規模ビルの供給はあるものの、大規模・中小規模ともに既存ストックの規模が大きいため、全体としては高経年化が進んでいる。中村区は、2000年時点では両ベースともに最も平均築年数が高かったが、2015年頃に名古屋駅周辺で大規模ビルの供給が行われたこともあり、その後の平均築年数の増加は緩やかである。東区はオフィス街としての規模が比較的小さく、2000年時点では平均築年数は浅かったが、その後の新規供給が限定的であるため3区のなかで平均築年数の増加ペースは最も早くなっている。

【図表2-1】平均築年数の推移:棟数ベース

【図表2-2】平均築年数の推移:賃貸面積ベース

今回の分析から、名古屋市は異なる形成過程と構造を持つ複数のエリアで構成されていることが示された。今後は、再開発などによるまちづくりに加え、経年化が進むビルの再生や活用が、エリア間の競争力や賃料形成にも影響を与えていく可能性がある。