【東京 23 区】オフィスピラミッドを深掘りする

平均築年数から読み解くストック形成の違い

株式会社ザイマックス総研では、毎年「オフィスピラミッド」を公表している(*1)。本資料では、継続的に作成してきた「東京23区オフィスピラミッド」をもとに、都心5区(千代田、中央、港、渋谷、新宿)とその他4区(品川、豊島、中野、江東)における平均築年数について、棟数ベース、賃貸面積ベースのそれぞれで2000年~2026年まで26年間の経年変化をみた。東京23区全体を俯瞰するだけでは見えてこない、各区固有のストックの形成過程と変化の違いが明らかになった。

本ページは<概要版>として一部を抜粋したものである。

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主な調査結果

  • 東京23区の平均築年数の推移を、従来の「棟数ベース」に加え「賃貸面積ベース(加重平均)」で分析した結果、近年の大規模供給によるストック更新(築年数上昇の抑制効果)の構造が鮮明になった【図表1】。
  • オフィス立地の都心5区とその他4区を比較すると、エリアごとにオフィス市場の形成過程や変化に違いがあることが明らかになった【図表2-1】【図表2-2】。
  • オフィスストックの形成過程と変化の違いから、以下の3つのエリアに分類できた。
    1. ストック更新エリア(千代田、中央、港、渋谷): 継続する新陳代謝
    2. 経年化進行エリア(新宿、品川、豊島): 成熟と経年化の同時進行
    3. 新興から経年移行化エリア(中野、江東):大規模供給と一斉経年化
<調査概要>
調査期間

オフィスピラミッド:2025年12月、平均築年数:2026年3月

調査対象

東京23区

対象物件

2026年末時点において、延床面積300坪以上、1946年以降に竣工(予定含む)した主な用途が事務所のオフィスビル(原則、自社ビルを除く)
<大規模ビル>延床面積5,000坪以上
<中小規模ビル>延床面積300坪以上5,000坪未満のオフィスビルの棟数およびオフィス賃貸面積(坪)

調査方法

新聞記事など一般的に公開されている情報を基に、一部現地調査ならびに事業者にヒアリングを実施して集計

topic 1 「棟数」と「賃貸面積」でみる平均築年数の違い

本レポートでは、平均築年数の推移(2000年〜2026年)を「棟数ベース」(単純平均)と「賃貸面積ベース」(加重平均)の2つの視点で分析している。

棟数ベースでは2000年の16.7年から2026年の35.2年まで18.5年増加している。これに対し、賃貸面積ベース(加重平均、以下省略)では2000年の17.0年から2026年の29.0年と上昇幅は12.0年にとどまり、棟数ベースに比べて6.5年少ない。さらに、2000年から2026年にかけて、その差は徐々に開いている【図表1】。この背景には、大規模ビルの新規供給が継続することで、賃貸面積ベースでは棟数ベースでみるよりもストックの変化が進んでおり、平均築年数の上昇が抑制されているという構造がある。

【図表1】東京23区 平均築年数の推移(棟数ベース、賃貸面積ベース)

topic 2 都心5区とその他4区の平均築年数の推移

オフィス立地の都心5区(千代田、中央、港、渋谷、新宿)とその他4区(品川、豊島、中野、江東)における、棟数ベースの推移をみると、集計対象としたすべての区において右肩上がりで推移しており、ストック全体の経年化が着実に進行している【図表2-1】。一方、賃貸面積ベースをみると、棟数ベースに比べて区ごとの差異が大きく、右肩上がりのペースは緩やかで、大規模ビルの新規供給の影響により平均築年数が一時的に低下する局面もみられる【図表2-2】。

【図表2-1】平均築年数の推移:棟数ベース

【図表2-2】平均築年数の推移:賃貸面積ベース

分析の結果、東京オフィス市場ではエリアごとにストック形成過程に違いがあることが明らかになり、以下の3つのエリアに分類された。

  1. ストック更新エリア(千代田、中央、港、渋谷):大規模再開発が継続的に行われ、新規供給が平均築年数の上昇を抑制している。
  2. 経年化進行エリア(新宿、品川、豊島):新規供給が限定的であり、オフィス街の成熟とともにストック全体の経年化が進行している。
  3. 新興から経年移行化エリア(中野、江東):比較的新しいオフィスエリアとして形成され、近年も大規模ビルの供給がみられるものの、既存ストックの経年化も進みつつある。

エリアごとのストック形成過程の違いから、今後はビルの建て替えなどによる「更新ポテンシャル」の差が、各エリアの競争力や価値を左右する重要な要因となっていくことが示唆された。また、築古化したビルの設備更新や再生による「有効活用のあり方」の差も、エリアの価値を左右する重要な要因になると考えられる。

*各区の個別ピラミッドや平均築年数の推移については、「詳細版」をご覧ください。

*今後、大阪市、名古屋市に関しても公表を予定しています。