マーケット指標

PDF版ダウンロード

2014.05.22

1人あたりオフィス面積調査(2013年)

~1人あたりオフィス面積は約4坪で横ばい、女性が多い会社はゆったり~

ザイマックス不動産総合研究所は、企業のオフィス利用実態を把握するため、オフィスビルに入居するテナント企業を対象に、賃借面積と利用人数について継続した調査を行っている。 本調査で得られたデータを用い、一般的なオフィスにおける利用者1人あたりの賃借面積(以下「1人あたりオフィス面積」)について分析した。今回は2013年の1人あたり面積、およびエリア別と業種別の比較や女性比率による1人あたり面積の変化や特徴をまとめた。

※前回調査は2013年9月19日公表「東京23 区 1人あたりオフィス面積調査(2012 年)」参照

調査結果
  • ・2013年東京23区の1人あたりオフィス面積は3.93坪、ここ数年横ばい
  • ・オフィスビルの所在エリア、テナントの業種により、1人あたりオフィス面積は異なる
  • ・女性比率の高い企業は1人あたりオフィス面積が広い
調査の概要

調査期間

2009年から2013年(年に1度)

調査対象

首都圏のオフィスビルに入居する一般事務所用途テナント

有効データ数

東京都23区 4,490テナント(調査期間延べ) 2009年:829 2010年:871 2011年:894 2012年:909 2013年:987 首都圏(23区除く) 309テナント(2013年)

計算方法

調査対象テナントの賃借面積をそれぞれの利用人数で割った値の中央値

備考

面積は賃借面積(実効面積ベース)。執務室の他、エントランス(受付)、会議室、休憩室、書庫、倉庫、専用部内廊下などが含まれている。 人数はテナントから「利用人数」として回答のあった数字

1人あたりオフィス面積の分布と推移

図表1は、2013年の東京23区における1人あたりオフィス面積の分布で、中央値は3.93坪であった(半数のテナントは3.93坪より小さく、残りの半数のテナントは3.93坪より大きい)。

[図表1] 1人あたりオフィス面積の分布(2013年)

[図表1] 1人あたりオフィス面積の分布(2013年)

1人あたりオフィス面積の年別推移を示したものが図表2である。2009年から2013年にかけて、4坪程度で推移しており大きな変化は見られない。

[図表2] 1人あたりオフィス面積の推移(2009~2013年、東京23区)

[図表2] 1人あたりオフィス面積の推移(2009~2013年、東京23区)

立地による1人あたりオフィス面積の違い

前述のとおり、東京都23区の一人あたりオフィス面積は4坪程度で横ばいだが、エリア別で見るとそれぞれの特徴がある(図表3)。前回の調査結果と同様、主要3区(千代田区、中央区、港区)は金融保険業に加え、幅広い業種のテナントが入居するオフィスビルが集積するエリアのため、全体の4坪/人を中心に動いている。一方、新宿区、渋谷区には1人当たりオフィス面積が比較的小さい人材派遣業や情報通信業が多いため、全体水準より下回っている。 なお、今回の調査では東京都23区を除いた首都圏(東京都下、神奈川県、千葉県、埼玉県)についても分析した。1人あたり面積は4.16坪となり、東京23区よりやや大きくなった(図表3)。都心部より賃借コストが低く、郊外にいるテナントの方が広くオフィススペースを使っているためと考えられる。

[図表3] オフィスビルの立地別の1人あたりオフィス面積の比較(2013年)

[図表3] オフィスビルの立地別の1人あたりオフィス面積の比較(2013年)
千代田区 中央区 港区 新宿区 渋谷区 東京23区全体 首都圏(23区除く)
2009 4.25 3.95 3.93 3.77 3.53 3.91
2010 4.25 4.14 4.02 3.42 3.45 3.95
2011 4.00 4.28 4.04 3.20 3.85 4.00
2012 4.39 4.00 4.02 3.40 3.52 3.96
2013 3.99 4.25 3.82 3.62 3.62 3.93 4.16

業種による1人あたりオフィス面積の違い

日本標準産業分類(大分類)に基づいて2013年業種別の1人当たりオフィス面積を比較した(図表4)。 「金融・保険業(4.35坪)」「学術研究、専門・技術サービス業(4.11坪)」「製造業(4.24坪)」が東京23区全体と比較して大きく、「情報通信業(3.54坪)」「サービス業(他に分類されないもの)(3.54坪)」は小さい傾向は昨年と変わらない。 今回の調査から追加した「卸売業・小売業(4.48坪)」は東京23区全体と比較して大きくなった。「製造業」と同じく、商談用の会議室や製品関連のスペースなどが必要なためと考えられる。

[図表4] 業種別の1人あたりオフィス面積の比較(2013年、東京23区)

[図表4] 業種別の1人あたりオフィス面積の比較(2013年、東京23区)

※1 学術研究、専門・技術サービス業 ・・・ 弁護士事務所、会計事務所、広告代理業、経営コンサルタント業など ※2 サービス業(他に分類されないもの) ・・・ 職業紹介・労働者派遣業、政治・経済・文化団体、警備業・ビルメンテナンス業など

金融業 保険業 学術研究、 専門・技術サービス業 製造業 卸売業 小売業 情報通信業 サービス業 (他に分類されないもの) 東京23区 全体
2009 4.11 3.96 4.30 3.29 3.99 3.91
2010 4.52 4.16 4.23 3.10 3.66 3.95
2011 4.38 4.41 4.13 3.20 3.51 4.00
2012 4.36 4.41 4.16 3.36 3.48 3.96
2013 4.35 4.11 4.24 4.48 3.54 3.54 3.93
次に、代表的な3業種(製造業、金融業、情報通信業)における1人あたりオフィス面積を構成する賃借面積と利用人数それぞれの変動を見てみた。 図表5は「面積変動DI」と「人数変動DI」(※)を年ごとにプロットしたものである。前年度と比べて賃借面積、利用人数ともに変わらない場合を中心点にして、前年からの変動状況を「人数増・面積増」「人数減・面積増」「人数減・面積減」「人数増・面積減」の4象限に配置している。 2013年の状況を見ると、情報通信業は人数減・面積増を示す左上の象限にあり、金融保険業、製造業は人数・面積ともに増加を示す右上の象限にある。特に人数増が多い金融保険業の中では、メガバンクや外資生命保険会社が人員を大きく増やしているケースが目立った。

※「面積変動DI」「人数変動DI」は賃借面積と利用人数を集計し、それぞれ前年度と比べて「増加」「変化なし」「減少」したテナント数の割合を求めた上で、増加割合から減少割合を引いた数字である。また、面積より人数を増減するテナント数が多いため、グラフのスケールは横軸の方が大きくなっていることに留意されたい。

[図表5] 業種別の面積と人数変動(2009~2013、東京23区)

[図表5] 業種別の面積と人数変動(2009~2013、東京23区)
年度 減少割合 不変割合 増加割合 DI
製造業 2009 4% 91% 5% 1.4
2010 5% 91% 4% -1.5
2011 5% 94% 1% -4.6
2012 3% 95% 2% -0.7
2013 4% 90% 7% 2.8
金融業 保険業 2009 7% 93% 0% -6.7
2010 0% 97% 3% 2.9
2011 0% 97% 3% 2.8
2012 3% 94% 3% 0.0
2013 0% 96% 4% 4.3
情報 通信業 2009 5% 87% 8% 2.6
2010 8% 86% 5% -3.2
2011 4% 92% 4% 0.6
2012 1% 94% 5% 4.1
2013 3% 91% 6% 2.9
年度 減少割合 不変割合 増加割合 DI
製造業 2009 32% 25% 43% 10.7
2010 37% 23% 40% 2.2
2011 34% 23% 44% 9.9
2012 33% 23% 44% 10.8
2013 42% 15% 43% 1.9
金融業 保険業 2009 47% 16% 37% -10.5
2010 46% 23% 31% -14.3
2011 46% 23% 31% -14.3
2012 43% 27% 30% -13.3
2013 30% 17% 52% 21.7
情報 通信業 2009 37% 19% 44% 6.8
2010 36% 23% 42% 5.8
2011 42% 20% 38% -4.1
2012 37% 20% 44% 6.7
2013 43% 15% 42% -0.7

女性比率による1人あたりオフィス面積の違い

利用人数のうち女性が占める割合(以下、女性比率)別に、1人当たりオフィス面積を比較した(図表6)。 女性比率が高くなるほど、1人あたりオフィス面積が広くなる傾向が見られた。女性比率が高い企業では、女性がより働きやすい環境を作るため、女性用のロッカールーム、ランチタイムに食事ができるスペース、休憩スペースなどを設けるケースが多いためと考えられる。

[図表6] 従業員の女性比率による1人当り面積の比較(2013年、東京23区)

[図表6] 従業員の女性比率による1人当り面積の比較(2013年、東京23区)

※女性比率が10%未満と50%超の場合は特殊な使い方(電算室、コールセンターなど)が多いため除いている

ザイマックスグループホームページへ
レポートの一覧へ