2019.10.02
1人あたりオフィス面積調査(2019年)
~1人あたりオフィス面積は3.71坪~
ザイマックス不動産総合研究所は、企業におけるオフィスの利用実態を把握するため、オフィスビルに入居するテナント企業を対象に継続した調査を行っている。本調査は、一般的な事務所に入居している企業における利用者1人あたりの賃借面積(以下「1人あたりオフィス面積」)についてみたものである。
- ・ 2019年東京23区の1人あたりオフィス面積は3.71坪。
- ・ 新規テナントの1人あたりオフィス面積は3.34坪と、継続テナントの3.76坪を下回る。
1.1人あたりオフィス面積の推移
2019年4月時点における各企業テナントの賃借面積と利用人数を集計し、1人あたりオフィス面積を計算した結果、中央値は3.71坪であった。
【図表1】は、1人あたりオフィス面積の年別推移を示したものである。2011年以降、1人あたりオフィス面積は減少を続けていたが、2016年から2018年にかけては増加した。今年は3.71坪と昨年度から大きく減少し、これまでで最小となった。
【図表1】1人あたりオフィス面積の推移(2008~2019、東京23区)
2.考察
【図表2】は1人あたりオフィス面積について、新規に入居したテナントと、それ以前から継続して入居しているテナントに分けて集計したものである。なお、新規は調査時点で契約一年以内のテナントとし、全体に占める割合は約一割であった。
【図表2】新規テナントと継続テナントの1人あたりオフィス面積の推移(2008~2019)
リーマンショック後の不況を背景としたオフィスの縮小移転の流れを受け、新規テナントの1人あたりオフィス面積が2009年に縮小して3.66坪になった一方で、継続テナントは人員削減の影響を受け2010年には4坪台となり、新規テナントとの差は大きく開いていた。
2013年に入り、新規テナントの1人あたりオフィス面積は拡大に転じ、2014年には4.25坪/人と余裕を持った結果になった。この背景としては、2012年のオフィス大量供給をうけ、企業が景気回復を背景に将来の事業拡大・人員増に向けてオフィスを広めに確保しようとした動きがあったことが考えられる。
2015年からは、空室率・空室面積の減少や市場賃料上昇によるコスト意識の高まりなどから、新規が継続を下回っていた。
2017年には新規が継続を上回ったものの、2018年は再び新規が下回り、さらに今年は新規が大きく下回った。背景には、空室率が1%を切るなど需給がひっ迫しているなか、移転先が限定されることに加え、フリーアドレスやテレワークの導入など、働き方改革を推進するテナントの増加により、利用人数に対してこれまでより小さい面積のオフィスに入居するケースが多くなっていることが考えられる。また、継続テナントに関しても、館内増床や増床移転が難しいことから、面積を維持したまま利用人数の増加に対応するケースが増加したため、1人あたりオフィス面積が縮小していると考えられる。
【図表3】は今回調査対象となった企業のうち、2年連続データがとれ、比較可能な企業(2年連続で入居しているテナント)における利用人数の変化の分布を示している。
【図表3】企業の人数変化の分布(2018~2019)
昨年同様、人数を増やした企業の割合の方が、人数を減らした企業の割合よりも多い。また、人員を5割以上増やした企業の割合も目立つ。ザイマックス総研が行った、「大都市圏オフィス需要調査2019春(*1)」では、今後のオフィスの利用人数について、4割以上の企業が「増える」と回答したことから、今後も増員傾向が続くと考えられる。
調査期間
2008年から2019年(年に1度)
調査対象
東京23区のオフィスビルに入居する一般事務所用途テナント
有効データ数
8,386テナント(調査期間延べ)
2008年:397 2009年:790 2010年:852 2011年:894 2012年:909
2013年:987 2014年:872 2015年:637 2016年:524 2017年:523
2018年:518 2019年:483
計算方法
調査対象テナントの賃借面積を利用人数で割った値の中央値
備考
- ・ 面積は契約上の賃借面積。執務室の他、エントランス(受付)、会議室、休憩室、書庫、倉庫、専用部内廊下などが含まれている。
- ・ 人数はテナントから「利用人数」として回答のあった数字。
英語版:Office Space per Person 2019
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