ビルオーナー

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2024.11.25

ビルオーナーの実態調査2024(複数棟・大規模ビルオーナー編)

~短期的には楽観派が多いものの、将来のビル経営には悲観派が圧倒~

ザイマックス不動産総合研究所(以下、ザイマックス総研)は、2015年から早稲田大学建築学科石田航星研究室と共同で、全国の中小規模ビルを保有し賃貸ビル事業を行うビルオーナーを対象に定期的にアンケート調査(*1)を行い、賃貸ビル事業の業況や今後の見通し、ビルを取り巻く環境変化への対応や課題などについて継続的に分析を行ってきた。

本年度は、売上高30億円以上の賃貸事務所業を「主」または「従」とする企業に対して同様のアンケートを実施し、その調査結果をまとめたレポートを公表した。本ページはその<概要版>として一部を抜粋したものである。


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主な調査結果
  • ・ ビルオーナーの63%は2棟以上オフィスビルを保有し、36%が大規模ビルを保有していた。
  • ・ オフィスビル事業の収入は「変わらない」が48%と約半数であった。一方で支出は「増加した」が66%と過半数を占めた。
  • ・ ビルの管理委託先から「値上げ要請があった」と回答したビルオーナーは57%となっており、支出の内訳としての「管理委託費」も「増加した」が52%であった。
  • ・ 修繕費や資本的支出の動向は「価格の高騰」を感じているビルオーナーが93%と最も多かった。
  • ・ 今後のオフィスビル事業の見通しについては、短期的には楽観派が悲観派を上回っているが、中長期的には悲観派が楽観派を上回った。
  • ・ 今後のオフィスビル事業については、「ビルの老朽化」を不安視しているオーナーが84%と最も多かった。

<調査概要>

調査期間:2024年8月~10月

調査対象:東京商工リサーチ(TSR)データより抽出した計1,985社

      【売上】30 億円以上

      【業種】賃貸事務所業を「主」または「従」(1位、2位に登記)とする企業

有効回答数:98 件(回答率 4.9%)

調査地域:全国(東京都および全国政令指定都市)

調査方法:郵送およびヒアリングによる

topic 1 「回答企業の属性」

回答企業のうち、オフィスビルを複数棟所有している割合は63%、延床面積5,000坪以上の大規模ビルを保有している割合は36%であった【図表1-1,1-2】。

【図表1-1】所有棟数(n=98)

【図表1-2】大規模ビルの有無(n=98)

topic 2 「ビル事業の収支」

直近1年間の賃貸ビル事業の収入は「増加した」が37%、「変わらない」が48%、「減少した」が14%であった。一方で、支出は「増加した」が66%であった【図表2-1】。

ビルの管理委託先からの動向では「値上げ要請があった」が57%と半数以上の回答となった。そのほか、「ロボットやDXの導入要望があった」、「業務内容の変更提案(仕様発注から性能発注など)があった」、「作業時間の見直し要請があった」が10%前後あった。なお、「特になし」は39%であった【図表2-2】。

【図表2-1】直近1年間の賃貸ビル事業の収支(n=98)

【図表2-2】管理委託先の動向(n=98)

修繕や資本的支出の動向では、「価格の高騰」を感じると答えた割合(「非常に感じる」「感じる」の合計)は93%で、「納期の遅れ」や「工期の延び」を感じている割合も60%以上となった【図表2-3】。また、その対策として、工事の先送りや前倒し、修繕計画年数の見直しを行っているオーナーが多かった。

【図表2-3】修繕や資本的支出の動向(n=98)

topic 3 「今後の見通し」

今後のオフィスビル事業の見通しについて、短期見通し(2~3年後)では「楽観派」(32%)が「悲観派」(17%)を上回っていた。中長期見通し(5~10年後)では「楽観派」(11%)を「悲観派」(33%)が上回った【図表3】。
※楽観派:「楽観している」と「やや楽観している」の合計
 悲観派:「悲観している」と「やや悲観している」の合計

中長期見通しで悲観派が増えた要因としては、オフィスビルの築古化に伴う修繕やリノベーションの実施、働き方や周辺地域の変化への対応、水光熱費や修繕費の高騰といった支出を増加させる要素が多い一方で、賃料の上昇への期待が薄いことがあげられる。ヒアリングでは、先が見通せないため、築古化したビルの建替えが難しいといった声が多く聞かれた。

【図表3】今後の見通し(n=98)

レポート内のグラフに関して
・構成比(%)は、小数点第1位を四捨五入しているため内訳の合計が100%にならない場合がある。
※当レポート記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。
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