供給・ストック

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2014.04.18

オフィスピラミッド2014

~東京23区オフィス、中小規模ビルで高齢化が進む~

ザイマックス不動産総合研究所は、今般、東京23区の「オフィスピラミッド」を作成した【図表1】。これは、男女別に年齢ごとの人口を表した「人口ピラミッド」に倣い、オフィスビルを大規模と中小規模に分け、築年ごとにストック量(賃貸面積、棟数)を比較したもので、大規模と中小規模ビルのバランスやそれらの築年構成などをみることができる。

主な調査結果
  • ・東京23区オフィスピラミッド(2014年)の大規模ビルと中小規模ビルの内訳は、
棟数割合 大規模ビル 10%  中小規模ビル 90%
賃貸面積割合 大規模ビル 54%  中小規模ビル 46%
  • ・大規模ビルは、バブル期以降も供給が続き、平均築年数16.8年(2000年)→20.0年(2014年)
  • ・中小規模ビルは、バブル期に大量供給、以降低水準が続き、平均築年数16.2年(2000年) →26.3年(2014年)
  • ・大規模ビルに比べ、中小規模ビルの高齢化(築古化)が顕著

*大規模ビル:延床面積5,000坪以上、中小規模ビル:延床面積300~5,000坪未満

[図表1]東京23区オフィスピラミッド2014(賃貸面積ベース、2000年との重ね図)

[図表1]東京23区オフィスピラミッド2014(賃貸面積ベース、2000年との重ね図)

棟数ベースのオフィスピラミッド

棟数による2014年のオフィスピラミッドをみると、大規模ビルは1割、中小規模ビルは9割と中小規模ビルがほとんどの割合を占めている【図表2】。また、中小規模ビルでは、バブル期の棟数が突出していることが分かる。

[図表2]東京23区オフィスピラミッド2014(棟数ベース)

[図表2]東京23区オフィスピラミッド2014(棟数ベース)

2000年と2014年の比較

賃貸面積のオフィスピラミッドで2000年と2014年を比較したのが【図表3】である。 2000年は、中小規模ビルが大規模ビルに比べて賃貸面積でやや上回り、平均築年数で16.2年と0.6年だけ低い。いずれも築20年未満が6割以上を占め、両者の築年構成に大きな差は見られなかった2014年は、賃貸面積では大規模ビルが中小規模ビルを逆転しているが大きな差はない。しかし、平均築年数は大規模ビルが20.0年、中小規模ビルが26.3年と6年の差が出た。

大規模ビルはバブル崩壊後も「1994年」、「2003年」、「2012年」の大量供給だけでなく、毎年一定量の新規供給が続き、築20年未満が328万坪と半数以上を占めている。一方、中小規模ビルはバブル期の大量供給以降低水準が続いており、築20年未満が107万坪と2割に過ぎず、築20年以上のビルが8割を占める「高齢化」が進んでいる。さらに3割弱は築33年以上の旧耐震ビルと想定される。

今後は、大規模ビルは新規供給が続き*1、同規模間の競争が一層激しくなると予想される。また、中小規模ビルは高齢化がさらに進み、適切な機能更新、改修が大きな課題となるだろう。

*1 平成26年1月15日付けニュースリリース「オフィス新規供給量調査2014」を参照

[図表3]東京23区オフィスピラミッド2000→2014(賃貸面積ベース)

[図表3]東京23区オフィスピラミッド2000→2014(賃貸面積ベース)

「東京23区オフィスピラミッド」調査概要(調査時点2014.03)

対象エリア 東京23区
対象物件 延床面積300坪以上、集計年時点で法定耐用年数である築50年未満の主な用途が事務所のオフィスビル
集計対象 <大規模>延床面積5,000坪以上、<中小規模>延床面積300~5,000坪未満の棟数およびオフィス賃貸面積(坪)
  • *収集データは、新聞記事など一般に公開されている情報のほか、賃貸募集(過去を含む)された情報などをもとに築年が判明している物件を対象として集計した。なお、原則自社ビルを除いている。
  • *建替えや滅失したケースは把握できたものは集計に反映しているが、必ずしも全てでは無い。
  • *賃貸面積は、公表されている場合は当該面積を採用し、公表されていない場合は京都大学大学院工学研究科建築学専攻加藤直樹研究室との共同研究で導き出された計算式により、延床面積から推計した面積を採用した。
  • *一般的にバブル期は1985年~1991年とされるが、本稿では、ビルの計画から供給(竣工)までの期間を考慮し、1987年~1993年を「バブル期の大量供給」とした。
  • *旧耐震ビルとは、1981年新耐震設計法が施行される前の設計法に基づき建てられたビル。本稿では1981年以前に竣工のビルを旧耐震ビルとした。
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