2024.01.18
大都市圏オフィス需要調査2023秋
~コロナ禍収束後も7割超の企業がハイブリッドワークを継続、オフィスは拡張トレンドへ~
長きにわたったコロナ禍とその収束は、日本企業の働き方およびオフィス需要にどのような影響を与えているのか。ザイマックス不動産総合研究所(以下、ザイマックス総研)では2016年秋より、企業のオフィス利用の実態や働き方に関して半年に1回アンケート調査を行い、オフィス需要との関係について継続的に分析を行っている。このたび、その第15回調査の結果をまとめたレポートを公表した。本ページはその<概要版>として一部を抜粋したものである。
- ・ 過去1年間におけるオフィス面積の変化について、「拡張(した+する可能性)」の割合が2021春調査を底に増加しており、拡張合計と縮小合計の差であるDIは4.8とプラスで推移している【図表1】。
- ・ 今後(2~3年程度先まで)のオフィス面積について「拡張したい」と回答した企業は16.8%で、「縮小したい」(7.5%)を上回った【図表2】。ただし、コロナ禍以前(2019春調査以前)の水準には戻っていない。
- ・ 出社率「100%(完全出社)」の割合は25.2%で、新型コロナの5類移行直後に実施した2023春調査から横這いとなった【図表3】。今後の意向では「100%(完全出社)」は25.1%で、残りの74.9%は引き続きテレワークを行う意向があることから、コロナ禍収束後もテレワークは恒常的なワークスタイルとして定着していくとみられる。
- ・ 人材確保や人的資本経営の観点でワークプレイス戦略が重要だと思うかを聞いた結果、7割超が「重要だと思う」「やや重要だと思う」と回答した【図表4-1】。
- ・ 地方(現在の本社所在地以外のエリア)でのワークプレイス展開に「興味がある」企業は全体の40.8%であった【図表5-1】。特に回答割合が高かった施策は「リゾート地などで一時的に働けるワーケーション施設を整備・利用する」(50.7%)や「地方のサテライトオフィスをサービス利用する(一時的・定常的)」(47.7%)などであった【図表5-2】。
- ・ 在宅勤務制度の導入率は44.9%で、2021秋調査をピークに減少傾向にある【図表6】。一方、サテライトオフィスの導入率は30.9%と年々増加している。
<調査概要>
調査期間:2023年11月15日~11月26日
調査対象:・ザイマックスグループの管理運営物件のオフィスビルに入居中のテナント
・法人向けサテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」契約先
・ザイマックスインフォニスタの取引先
上記合計 48,049件
有効回答数:1,705件 *事業所単位で集計しているため、同一企業であっても事業所が異なれば別の回答として処理している。
調査地域:全国(東京都、大阪府、愛知県、福岡県、神奈川県、埼玉県、千葉県、その他)
調査方法:メール配信による
topic 1
過去1年間のオフィス面積の変化について、「拡張(した+する可能性)」の割合が2021春調査を底に増加しており、拡張合計と縮小合計の差であるDIは4.8とプラスで推移している【図表1】。コロナ禍以降続いた縮小トレンドは落ち着き、拡張フェーズに入ったといえる。
【図表1】過去1年間のオフィス面積変化の実績+可能性
topic 2
今後(2~3年程度先まで)のオフィス面積について「拡張したい」と回答した企業は16.8%で、「縮小したい」(7.5%)を上回った【図表2】。経年でみても「拡張したい」の割合は2021春調査を底に増加傾向である。ただし、コロナ禍以前(2019春調査以前)の水準には戻っておらず、ハイブリッドワークの定着などが影響していると考えられる。
【図表2】今後のオフィス面積の変化
topic 3
現在の出社率(実態)を時系列でみると、新型コロナの5類移行直後に実施した2023春調査では「100%(完全出社)」の割合が25.7%に増加し、コロナ禍以降最高となったが、今回は25.2%で横這いとなった【図表3】。
今後の意向では「100%(完全出社)」は25.1%で、残りの74.9%は引き続きテレワークを行う意向があることから、コロナ禍収束後もテレワークは恒常的なワークスタイルとして定着していくとみられる。また、平均値をみても実態(70.8%)と意向(71.0%)の差はほぼなくなり、すでに現在は意向に近い状態が実現しているといえる。
【図表3】出社率の実態と意向(経年比較)
topic 4
人材確保や人的資本経営の観点で、ワークプレイス戦略(※)が重要だと思うかを聞いた結果、7割超の企業が「重要だと思う」または「やや重要だと思う」と回答した【図表4-1】。
また、この回答別に、メインオフィスについて関心のある施策を聞いた結果では、「重要だと思う」グループほどいずれの施策に対しても関心が高い傾向がみられた【図表4-2】。逆に、メインオフィスについて「現状維持」とする割合は「重要だと思わない」グループの方が高く、ワークプレイス戦略の重要性を認識している企業ほど、メインオフィスの機能に対して高い関心を持っている様子がうかがえた。
【図表4-1】人材確保や人的資本経営の観点におけるワークプレイス戦略に対する意識
【図表4-2】<ワークプレイス戦略に対する意識別>メインオフィスについて関心のある施策
topic 5
地方(現在の本社所在地以外のエリア)でのワークプレイス展開に「興味がある」企業は全体の40.8%であった【図表5-1】。
特に回答割合が高かった施策は「リゾート地などで一時的に働けるワーケーション施設を整備・利用する」(50.7%)や「地方のサテライトオフィスをサービス利用する(一時的・定常的)」(47.7%)などで、地方でのワークプレイス展開に興味のある企業のうち半数程度が、これらの施策に興味を持っていることがわかった【図表5-2】。
【図表5-1】地方でのワークプレイス展開に関する施策への興味の有無
【図表5-2】地方でのワークプレイス展開に関して興味のある施策
topic 6
在宅勤務制度の導入率は2021秋調査をピークに減少しており、今回の調査では44.9%となった【図表6】。一方、サテライトオフィスの導入率は年々増加しており、今回は30.9%となった。
【図表6】在宅勤務制度とサテライトオフィスの導入率
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