ワークスタイル

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2021.12.01

コロナ禍を経てみえてきた企業のワークプレイス戦略

~首都圏企業をクラスタリングにより5タイプに分類~

コロナ禍で多くの企業が半強制的にテレワークに移行し、それ以前から働き方改革において志向されてきた分散型の働き方がついに日本企業に定着するかにみえた。ところが、コロナ禍発生から2年近くが経過した今、新たなワークスタイルの浸透度は一律ではなく、企業ごとの格差が浮き彫りになりつつある。

そこで、2021年7月に実施した首都圏企業調査(*1)の回答企業について、働き方とワークプレイスに関する9項目の回答データを用いてクラスタリング(*2)を行った結果、すでに分散型の働き方に移行しつつある企業からコロナ禍収束後は元に戻ると予想される企業まで、段階的な5つのクラスタに分かれた。

*2 クラスタリング:データやクラスタ(かたまり)間の類似度、あるいは非類似度に従って、似たものどうしを集めてクラスタをつくる方法。

本レポートでは、今回分類した5つのクラスタについて、働き方とワークプレイスに関する特徴を比較し、さまざまな特徴を持つ企業が混在している現在の状況を整理した。そのうえで、コロナ禍収束後のワークプレイスの方向性を予測し、今後の指針として提示することを目指した。特に、ウィズコロナの現在ではまだ様子見の姿勢に留まっている中間層(③潜在型)が、コロナ禍収束後には以前同様に戻るのではなく、ワークプレイス戦略を進化させようと考える後押しとなれば幸いである。

サマリー:5つの企業タイプの主な特徴

    ①推進型

  • 基本属性:大企業、製造業の割合が高め
  • コロナ禍以前からテレワークを積極的に推進し、働く場所を分散させ、従業員が自律的に働ける環境の提供を目指す企業。在籍1人あたりのオフィス面積が5タイプのなかでもっとも小さく、今後のメインオフィスの縮小意向はもっとも高い。

    ②ウェルネス重視型

  • 基本属性:大企業、情報通信業の割合が高め
  • 従業員満足度やウェルネスへの関心が高く、テレワークは福利厚生の意味合いが強い。在籍1人あたりのオフィス面積は5タイプ中2番目に小さい。テレワーク推進と並行してメインオフィスの環境をよりよくする意向も高く、出社とテレワークを使い分けるハイブリッドな働き方への志向がみられる。

    ③潜在型

  • 基本属性:中小企業、情報通信業の割合が高め
  • 現在はテレワーク活用度が低く、ワークプレイス戦略について動き出しが遅めだが、今後は分散型の働き方を推進する意向のある企業。特に、現在導入率0%のサテライトオフィスについてコロナ禍収束後にはすべての企業が導入を希望しており、今後のメインオフィスの縮小意向が5タイプ中2番目に高い。

    ④慎重型

  • 基本属性:中小企業、卸売・小売業の割合が高め
  • コロナ禍対策として在宅勤務を導入しているが、働く場所の多様化には慎重な企業。コロナ禍収束後は在宅勤務を継続するものの、分散型の働き方よりも都心集約意向が高い。

    ⑤オフィス回帰型

  • 基本属性:建設業の割合が高め
  • テレワークよりも出社に重きを置き、コロナ禍収束後にはオフィス回帰する強い意向を持つ企業。コスト削減に対する意識が高い。在籍1人あたりのオフィス面積が5タイプ中もっとも大きく、今後のメインオフィスの拡張意向ももっとも高い。

1.  クラスタリングの詳細

第1章では、クラスタリングに使用した9項目についての各クラスタの結果を確認する。まず、分析の概要は以下のとおりである。

分類された5つのクラスタについて、その特徴からそれぞれを「①推進型」「②ウェルネス重視型」「③潜在型」「④慎重型」「⑤オフィス回帰型」と名付けた。各タイプの割合は【図表1】のとおりである。

【図表1】各タイプの割合


【図表2】にクラスタリングに使用した9項目の結果をまとめた。これを読み解くと、①推進型に近いタイプほど分散型ワークスタイル導入に積極的な傾向があり、大別すると①推進型~③潜在型は分散・ハイブリッド(出社とテレワークを使い分ける)志向、④慎重型と⑤オフィス回帰型は集約・オフィス回帰志向であるといえる。また、分散・ハイブリッド志向型という点で共通する①と②においても、もっとも注力していきたいテーマはそれぞれ「DX推進」「従業員満足度、ウェルビーイング」と異なるなど、取り組みの背景となる価値観や考え方にも特徴があることがうかがえる。

【図表2】各タイプのクラスタリング使用項目の結果
(詳細は項目名下の【図表番号】にて記載)

なお、今回分析対象とした調査データには、法人向けサテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」の会員企業が含まれているため、母集団(日本企業全体)と比べてテレワーク導入が進んでいる可能性がある点に留意が必要である。また、コロナ禍が収束に向かいつつある現状では企業の方針も刻一刻と変化しているため、この割合は今後も変わっていくと考えられる。

2.  5つの企業タイプの特徴

第2章からは、統計的に分類された5つの企業タイプについて、基本属性や、クラスタリングに使用しなかった働き方に関連する項目の回答傾向についても確認するとともに、必要に応じて【図表2】の9項目の結果もより詳細に確認し、各タイプの特徴を明らかにしていく。

2.1.   基本属性および働き方とワークプレイスの実態

まず、各タイプの基本属性は【図表3】のとおりである。①推進型と②ウェルネス重視型は大企業、③潜在型は中小企業の割合が比較的高く、④慎重型は卸売・小売業、⑤オフィス回帰型は建設業の割合が比較的高い傾向にあるなど、タイプごとに企業属性に特徴がみられた。また、在籍1人あたりのオフィス面積も、分散型ワークスタイル導入に積極的なタイプほど小さい傾向がみられた。

【図表3】各タイプの基本属性

続いて、コロナ禍の働き方とワークプレイスの実態を確認していく。以下はタイプごとに、現在の出社率【図表4】、在宅勤務の導入率および利用者率(全従業員のうち実際に在宅勤務を利用している人数割合)【図表5】、サテライトオフィスの導入率および利用者率(全従業員のうち実際にサテライトオフィスを利用している人数割合)【図表6】を示したものである。

現在の出社率は、①推進型がもっとも低く39.5%、②ウェルネス重視型~④慎重型も5~6割程度に抑えている【図表4】。対して⑤オフィス回帰型は79.2%ともっとも高い。

【図表4】現在の出社率

①~④タイプが出社率を低く抑えられている背景には、【図表2】で確認したとおり、在宅勤務の高い導入率があると考えられる。①推進型は導入率100%かつ、導入時期を確認すると、すべての企業がコロナ禍以前から導入しており、さらにそのうち8割超はコロナ禍を機に強化・拡大している【図表5】。②ウェルネス重視型~④慎重型はコロナ禍を機に在宅勤務を導入した企業が多く、現在は9割前後と高い導入率である。

また、利用者率も①~④タイプとも約6~7割に上り、在宅勤務の制度を導入しただけでなく実際の利用も伴っていることがわかる。一方、⑤オフィス回帰型は導入率57.6%、利用者率は39.9%に留まり、他タイプと比べて在宅勤務があまり活用されていないことが、出社率の高さにつながっていると考えられる。

【図表5】在宅勤務の導入率(※再掲)および利用者率


サテライトオフィスについても、現在100%の導入率である①推進型で8割、②ウェルネス重視型で5割超が、コロナ禍以前から導入している【図表6】。対して③潜在型の導入率は0%、④慎重型と⑤オフィス回帰型は10%弱と、在宅勤務導入率に比べるとサテライトオフィス導入率にはタイプごとに大きな差がみられた。また、利用者率は①推進型および②ウェルネス重視型でも2~3割程度と低く、企業におけるサテライトオフィスの本格的な活用には今後の伸びしろがあるといえる。

【図表6】サテライトオフィスの導入率(※再掲)および利用者率

次に、上記のテレワーク導入なども含む総合的なワークプレイス戦略の見直しについて、着手時期を聞いた結果が【図表7】である。 分散・ハイブリッド志向の強いタイプほど早期から着手しており、①推進型は64.0%が「すでに着手している」と回答した。一方で、⑤オフィス回帰型は「着手していないし、する予定もない」の割合が69.2%ともっとも高い。また、③潜在型は「時期は未定だが、いずれ着手する」が30.1%と比較的高く、コロナ禍収束の見通しが立てば動き出す可能性が高いと考えられる。

【図表7】ワークプレイス戦略見直しの着手時期

こうした取り組みは企業の生産性にも影響しているようだ。コロナ禍以前と比較した従業員のパフォーマンスは、分散・ハイブリッド志向の強いタイプほど「(非常に/やや)上がった」と回答した割合が高い傾向がみられた【図表8】。ただし、「(非常に/やや)下がった」も全タイプで一定割合みられ、コロナ禍以降の急激な変化のなかで、各社いまだに効果的な働き方を模索中であることがうかがえる。

【図表8】コロナ禍以前と比較した従業員のパフォーマンス

テレワーク運用に関して感じている課題・困りごとにも、各タイプの特徴が表れた【図表9】。

全体では「コミュニケーションが難しい」や「マネジメント(業務、勤怠、評価等)が難しい」などの回答割合が高い結果となった。①推進型や②ウェルネス重視型と比べるとテレワーク活用度が低い③潜在型は、「ペーパーレス対応が不十分」(46.2%)が目立って高く、今後の改善余地が大きいことがうかがえる。また、⑤オフィス回帰型は「従業員の生産性・業務効率の低下」(46.2%)が5タイプのなかでもっとも高く、この課題感がテレワーク導入率の低さにつながっていると考えられる。

【図表9】テレワーク運用に関する課題・困りごと(複数回答)

2.2.   考え方・価値観

各タイプの現在の取り組みの差には、考え方や価値観の差が影響していると考えられる。

たとえば、【図表2】で確認した「コロナ禍収束後に向けて注力していきたいテーマ」について、2位以下の項目も詳しくみると、 分散・ハイブリッド志向型の①推進型~③潜在型は「DX推進」や「イノベーション促進・新規事業の創出」、「人材戦略の強化(ダイバーシティ等)」などを選択した割合が高く、長期的な企業競争力向上に対する意識がうかがえる【図表10】。また、②ウェルネス重視型は「従業員満足度、ウェルビーイング」(49.3%)が5タイプのなかでもっとも高く、その意識がテレワーク活用や、後に出てくるオフィス出社も重視する意向につながっている可能性がある。一方で、⑤オフィス回帰型は「財務基盤の強化(コスト削減等)」(35.6%)が突出して高く、コスト意識が働き方を変革させることへの消極姿勢につながっているのかもしれない。

【図表10】コロナ禍収束後に向けて注力していきたいテーマ(複数回答)※再掲

また、テレワークに対する考えを聞いた結果では、①推進型~④慎重型は「従業員満足度向上に有効だと思う」や「人材獲得面で有利だと思う」が高く、企業としてテレワーク活用に一定のメリットを感じていることがうかがえる。他方「感染リスクがなくなればテレワークする必要がないと思う」の割合は1割を切った【図表11】。特に①推進型は「ダイバーシティ推進に有効だと思う」(47.1%)や「生産性高く働ける」(40.4%)などの割合が高く、テレワーク活用に福利厚生以上の価値を見出していることがわかる。

一方、④慎重型は「世の中の流れに合わせるために必要だと思う」(44.3%)が従業員満足度向上と並んで高い。また、⑤オフィス回帰型は46.2%が「感染リスクがなくなればテレワークする必要がないと思う」と考えている。これには、「従業員満足度向上に有効だと思う」(21.2%)や「生産性高く働ける」(5.8%)などの価値を他タイプと比べて低く評価していることが影響している可能性がある。

【図表11】テレワークに対する考え(複数回答)

出社に対する考えを聞いた結果でも、⑤オフィス回帰型は他タイプと比べて出社に前向きな姿勢を持っており、「生産性高く働ける」(47.1%)や「従業員を管理しやすい」(48.1%)といった点を評価していることがわかる【図表12】。一方で、分散・ハイブリッド志向の強い①推進型~③潜在型も「コミュニケーションがとりやすい」や「従業員の一体感が生まれる」といったオフィスならではの価値を評価していることがうかがえる。また、【図表11】のとおりテレワークのメリットを高く評価している①推進型ですら、51.5%が「出社しないとできない業務がある」と回答しており、オフィスの必要性は今後もあり続けると考えられる。

【図表12】出社に対する考え(複数回答)

3.  コロナ禍収束後の方向性

第2章では、コロナ禍にある現在の取り組みや考え方について各タイプの特徴を明らかにした。第3章では、今後の意向をタイプごとに比較することで、コロナ禍収束後の日本企業の働き方とワークプレイスにどのような方向性がありうるのか、予測する材料としたい。

3.1.   ハイブリッドワークに対する意向

まず、働き方とワークプレイスの方向性を示す指標として、今後の出社率の意向と、第2章で確認した現在の出社率とを比較する。【図表13】のとおり、各タイプとも現在の出社率から大きく変える予定はなく、①推進型~④慎重型はコロナ禍収束後も40~60%程度に抑える意向であることがわかる。一方で、⑤オフィス回帰型は90.8%と、出社中心の働き方に戻す予定である。

【図表13】出社率(現在/今後の意向)

①推進型~④慎重型が出社率を低く抑える意向であるということは、コロナ禍収束後もテレワークを継続する意向があるということに等しい。ここで、【図表2】で確認した、在宅勤務およびサテライトオフィスの今後の導入意向についてもあらためて確認する。

在宅勤務およびサテライトオフィスの今後の導入意向は、「(どちらかといえば)導入/継続したい」「(どちらかといえば)導入/継続したくない」を選択してもらい、「(どちらかといえば)導入/継続したい」の割合を導入希望率とした。

在宅勤務については、⑤オフィス回帰型は現在は57.6%が導入しているものの、今後も導入を希望する割合は1.0%と廃止する意向の企業が多い【図表14】。一方で、①推進型は導入率・導入希望率ともに100%、②ウェルネス重視型~④慎重型も導入希望率は100%であり、在宅勤務はコロナ禍収束後も広く定着すると予想される。

【図表14】在宅勤務の導入(希望)率 ※再掲

サテライトオフィスの導入希望率については、タイプごとに差がみられる【図表15】。①推進型~③潜在型では今後の導入希望率が100%であり、なかでも③潜在型は現在の導入率0%から、コロナ禍収束後の導入希望率100%へと大きな転換がみられる。この③潜在型に属するのは、従業員規模やオフィス面積が比較的小規模な企業であることから(【図表3】)、サテライトオフィス活用は一部の大企業だけでなく、日本企業の大半を占める中小企業にも今後拡大していくと考えられる。一方で、④慎重型は導入希望率0%、⑤オフィス回帰型も15.4%と低い割合に留まり、ハイブリッドな働き方への志向の差が顕著に表れた。

【図表15】サテライトオフィスの導入(希望)率 ※再掲

また、①推進型~③潜在型は、ワークプレイスの機能を従来の集まるためのオフィス(メインオフィス)から自宅やサテライトオフィスなどへ分散させるのと並行して、立地面でも都心から郊外へと分散させる意向が高い【図表16】。従来、オフィスワークの場所は都心に一極集中していたが、コロナ禍を機に加速した郊外分散のトレンドが今後定着するのであれば、通勤ラッシュや郊外住宅地の空洞化といった社会課題の解消につながるほか、地震やパンデミックなどの自然災害時におけるBCP(事業継続計画)の観点でもメリットが大きい。一方で、④慎重型と⑤オフィス回帰型はどちらも「本社のみに集約する」意向が高いなど、前述の出社率などと対応する意識がみられる。

【図表16】本社機能以外の働く場所の立地に関する意向(複数回答)※再掲

3.2.   メインオフィスの意向

テレワークをはじめとする分散型の働き方が浸透すれば、従来の集まるためのオフィス(メインオフィス)も変化を迫られることになるだろう。メインオフィスについて関心のある施策を聞いた結果では、①推進型~③潜在型は「コミュニケーションや集まるための機能を重視する」や「リモート会議用に個室やブースを増やす」といった、テレワークとオフィス出社を使い分けるハイブリッド戦略を想定した施策に対する関心が高い【図表17】。特に②ウェルネス重視型は多様な施策に関心が高く、テレワーク推進と並行してオフィス環境も拡充する意向がうかがえる。一方で④慎重型と⑤オフィス回帰型は「現状維持」の意向が高い。

【図表17】関心のあるメインオフィス施策(複数回答)※再掲

メインオフィスの使い方の変化は、面積にも影響を及ぼすと考えられる。今後のオフィス面積について意向を聞いた結果では、①推進型は縮小意向がもっとも高く(41.9%)、②ウェルネス重視型~④慎重型も縮小意向のある企業が一定割合みられ、テレワーク活用と並行してオフィス面積の効率化を検討している様子がうかがえた【図表18】。対して、集約意向の強い⑤オフィス回帰型は拡張意向が比較的高く(10.6%)、今後の景況によってはオフィス需要を担保する存在となるかもしれない。

【図表18】オフィス面積 ※再掲

4.  おわりに

今回、働き方とワークプレイスの取り組みなどを示す項目を用いて企業を5タイプに分類し、それぞれを比較することで、同じように在宅勤務を導入していても、取り組みの中身やその背景となる考え方、将来の意向は画一的なものではないということを確認した。特に、現在の取り組みではまだ大きな変革がみられない中間層(③潜在型)も、今後はサテライトオフィスを導入するなどハイブリッドな働き方を推し進める意志があり、現状維持志向の強い④慎重型および⑤オフィス回帰型とは異なっていることがわかった。

コロナ禍におけるテレワークの急激な広がりは、オフィスの存在意義を再考する契機となり、結果的に多くの企業がワークプレイス戦略の重要性を経営課題として認識することとなった。ポストコロナのワークプレイス戦略は、大局的には働く場所を分散・多様化させ、オフィス出社とテレワークを使い分けるハイブリッドな方向性に移行すると考えて間違いないだろう。今回のクラスタリングで使用した2021年7月の調査でも、回答企業の70.9%はコロナ禍収束後にも出社率を100%に戻さない意向であった(*1)。全従業員が毎日必ず同じオフィスに集まる働き方が見直されていくなか、旧態依然としたオフィスがポストコロナの働き方に対応できない可能性は高く、ワークプレイス戦略の再考は企業にとって喫緊の経営課題となっている。

もちろん、個別にみれば、すべての企業が必ずしも出社とテレワークの両方を採用するわけではない。ウィズコロナにおける日本の状況を振り返ってもわかるとおり、完全出社に戻る企業からオフィスを廃止する企業まで、各企業の属性や特色(企業規模、業種、カルチャー、経営トップの意向など)によってワークプレイスに対する考え方は個別性が高い。感染防止という共通の目的がなくなるポストコロナの世界では、その個別性が一層顕著になり、ワークプレイス戦略は企業の特色が色濃く反映されるものとなるだろう。

すべての企業にとっての絶対的な正解があるわけではないからこそ、各企業が自社の経営戦略を踏まえてよりよいワークプレイスのあり方を模索し続けなければならない。今回の5タイプでいえば、分散型2タイプ(①②)は出社とテレワークの最適なバランスを見極め、テレワークのさらなる活用(例:まだ低いサテライトオフィス利用者率を高めるためのガイドライン策定等)を目指すとともに、長期的な生産性やイノベーションといった観点からメインオフィスの役割を再定義することが求められる。コロナ禍収束後にオフィスに回帰する意向の強い2タイプ(④⑤)は、メインオフィスの機能や位置付けを見直し、今以上に拡充する必要があるかもしれない。中間層の③潜在型は、これから分散型の働き方を推進していく過程で、テレワーク拠点配置の最適化や従業員への啓蒙などに一から取り組み、トライアンドエラーを重ねることになるだろう。

いずれにせよ、ただ単にコロナ禍以前のオフィスの使い方に戻るだけでは通用しなくなるという点は、あらゆる企業が認識すべき共通の事実であろう。コロナ禍で新しい働き方を経験した多くのワーカーにとって、無策ゆえの回帰は組織への不信感や求心力低下につながり、人材確保の面ではもちろん、労働生産性やイノベーション創出にもマイナスの影響を与える。それらは企業競争力の低下に直結するだろう。すべての企業が一律にハイブリッドワークを導入する必要はないが、オフィスに人を集める選択をするならば、集まって働くことで価値を生み出すという意志に基づく選択であることを、企業がメッセージとして従業員に伝える姿勢が不可欠となるだろう。

ようやく収束の兆しがみえてきたとはいえ、まだコロナ禍の先行きは読みづらい。今回の5タイプも現時点を反映した一時的なものでしかないが、企業がビジネス環境の急速な変化に対するアジリティ(機敏性)を求められるこの時代においては、戦略策定の一材料となるだろう。ワークプレイス戦略は、企業の持続可能性のために考え続けるべき経営課題として重要性を増している。その指針となる材料を、ザイマックス不動産総合研究所では引き続き提供していく。

調査概要

調査名

働き方とワークプレイスに関する首都圏企業調査 2021年7月

調査結果詳細

調査期間

2021年7月6日~7月18日

調査対象

・ザイマックスインフォニスタの取引先企業

・法人向けサテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」会員企業

上記合計 40,688社

有効回答数

926社(回答率:2.3%)

調査地域

首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)

調査方法

メール配信による

《クラスタリング使用項目および選択肢》
  • 在宅勤務導入の有無
  • コロナ危機発生以前から導入していた

    コロナ危機発生以前から導入しており、コロナを機に強化拡大

    コロナを機に導入し、現在も継続中(一時休止したが再開した場合も含む)

    コロナを機に導入し、現在は廃止

    導入したことはない


  • サテライトオフィス導入の有無
  • コロナ危機発生以前から導入していた

    コロナ危機発生以前から導入しており、コロナを機に強化拡大

    コロナを機に導入し、現在も継続中(一時休止したが再開した場合や、一時的に利用制限している場合を含む)

    コロナを機に導入し、現在は廃止

    導入したことはない


  • 在宅勤務導入の今後の意向
  • サテライトオフィス導入の今後の意向
  • 導入したい/継続したい

    どちらかといえば導入したい/継続したい

    どちらかといえば導入したくない/継続したくない

    導入したくない/継続したくない

    わからない


  • (コロナ禍収束後の意向)注力していきたいテーマ(複数回答)
  • イノベーションの促進新規事業の創出/従業員満足度、ウェルビーイング/国際競争力強化/人材戦略の強化(人事制度ダイバーシティなど)/DX推進/財務基盤の強化(コスト削減など)/SDGs対応/BCP対策(感染症や災害時などの事業継続計画)/その他/特になしわからない


  • (コロナ禍収束後の意向)本社機能の立地
  • 都心に置く

    郊外や地方に置く

    オフィスを持たない

    わからない


  • (コロナ禍収束後の意向)本社機能以外の働く場所の立地(複数回答)
  • 都心で働けるようにする(サテライトオフィス等)/郊外で働けるようにする(サテライトオフィス、在宅勤務等)/地方やリゾート地などでも働けるようにする(ワーケーション等)/本社のみに集約する/わからない


  • (コロナ禍収束後の意向)関心のあるメインオフィス施策(複数回答)
  • コミュニケーションのための場づくり、集まるための機能を重視する/リモート会議用に個室やブースを増やす/オフィスをフレキシブルなレイアウト(フリーアドレス等)に変える/座席数を見直す/健康や感染症対策に配慮したオフィス運用に見直す(衛生管理等)/現状維持/オフィスのデジタル化IoT化(顔認証システム、トラッキング等)/従業員の出社状況を把握する(座席を予約制にする等)/大会議室を減らす、なくす/わからない


  • (コロナ禍収束後の意向)オフィス面積
  • 拡張したい

    変わらない

    縮小したい

    わからない

    レポート内のグラフに関して
    ・構成比(%)は、小数点第2位を四捨五入しているため内訳の合計が100%にならない場合がある。
    ※当レポート記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。
    ※当社の事前の了承なく、複製、引用、転送、配布、転載等を行わないようにお願いします。

    参考:働き方×オフィス 特設サイト

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