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2025.11.21

大都市圏オフィスワーカー調査2025

~ワーカーの働き方と価値観の変化を捉える~

ザイマックス総研では、企業とオフィスワーカーそれぞれの視点から働き方と働く場所の変化を捉えるため、2016年から定期的に調査を行ってきた。このたび、2025年9月に実施した10回目のオフィスワーカー調査の結果をまとめたレポートを公表した。本ページは、その<概要版>である。

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主な調査結果
  • ・ オフィス出社とテレワークの状況を聞いたところ、「完全出社」の割合は首都圏で46.9%、地方都市では6割前後となった。過去調査と比較しても大きな変化はみられなかった【図表1】。
  • ・ 首都圏は「在宅勤務」を実施している割合が5割以上であり、地方都市と比べて10ポイント以上高い【図表2-1】。一方、「サテライトオフィス勤務」を実施している割合は、地域による差は少ない。
  • ・ 理想の働き方を聞いた結果、「20代」と「30代」では「完全出社」の割合が現在の働き方と比べて15ポイント以上低く、若年層は柔軟な働き方を志向する傾向がみられる【図表3】。
  • ・ 働き方に対する満足度では、約半数のワーカーは現在の働き方に満足していないことがわかった【図表4-1】。年代別でみると「30代」の満足度が総合的に最も低い【図表4-2】。
  • ・ 年代別に現在の働き方に対する不満・課題を比較すると、「30代」は「テレワークでできる仕事でも出社を要求される」などの項目が不満である割合がほかの年代に比べて高かった【図表5】。
  • ・ テレワークの選択肢があるうえで、どのようなオフィスなら出社したいと思うか条件を聞いたところ、「業務に集中しやすい」、「コミュニケーションがとりやすい(雑談等)」、「業務上のコミュニケーションがとりやすい(交渉等)」などの項目は「30代」がほかの年代よりも高い【図表6】。

<調査概要>

調査期間 :2025年9月

調査対象 :①スクリーニング調査…職業が「経営者・役員、会社員、自営業、自由業」の調査対象地域に住む20~69歳の男女を対象に実施

      ②本調査…スクリーニング調査で職業が「会社・団体の役員、会社員・団体職員、自営業主(商店主以外)」、職種が「管理的職業、専門的・技術的職業、事務的職業、営業職業」、在籍するオフィスが「首都圏(1都3県)、大阪市、名古屋市、福岡市」、住まいが「首都圏(1都3県)、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、福岡県、佐賀県」、現在の主に働いている場所が「オフィス(事務所)、自宅」と回答した人

有効回答数:4,120人※在籍するオフィスの所在地により割付している(首都圏:2,060人、大阪市:1,030人、名古屋市:515人、福岡市:515人)

調査地域 :首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、福岡県、佐賀県

調査方法 :インターネット調査


topic 1

調査対象者の働き方を「完全出社」「ハイブリッドワーク」「完全テレワーク」の3つに分類し、オフィス所在地別の経年変化をみた【図表1】。2025年調査では、「完全出社」の割合は首都圏で46.9%、地方都市では6割前後であった。

世の中では出社回帰の方針を打ち出す企業の動きもみられるなか、いずれの地域でも働き方に関して大きな変化はみられなかった。

【図表1】<オフィス所在地別>オフィス出社とテレワークの状況

topic 2

テレワーク施策として「在宅勤務」と「サテライトオフィス勤務」の実施状況をみてみると、首都圏は地方都市と比べて「在宅勤務」を実施している割合(51.8%)が10ポイント以上高いことがわかった【図表2-1】。一方、「サテライトオフィス勤務」を実施している割合は、首都圏8.8%、大阪市8.9%、名古屋市6.2%、福岡市7.4%と地域による差は少ない。

【図表2-1】<オフィス所在地別>在宅勤務制度とサテライトオフィスの実施率

さらに、現在の働き方について、「在籍するオフィス」「自宅(在宅勤務)」「サテライトオフィス」「その他の場所」といった働く場所ごとの時間配分を聞き、オフィス所在地別に平均を示した【図表2-2】。

2025年調査では、「在籍するオフィス」で働く時間割合は、首都圏で74.5%、そのほかの地域では8割超となった。また、いずれの地域でも在籍するオフィスで働く以外の時間、つまりテレワークする時間の大部分を在宅勤務が占めていることがわかる。

経年でみると、働く場所ごとの時間配分はほぼ横ばいで推移しており、2023年調査以降ワーカーの働き方に大きな変化はなかった。

【図表2-2】<オフィス所在地別>働く場所ごとの時間配分

topic 3

「完全出社」、「ハイブリッドワーク」、「完全テレワーク」の3種類のうち、理想に最も近い働き方を聞き、年代別に現在の働き方と比較した【図表3】。

すべての年代で、「ハイブリッドワーク」や「完全テレワーク」を理想とする人の割合が、現在そうした働き方をしている人の割合を上回っており、テレワークへのニーズの強さがうかがえる。特に「20代」「30代」の「完全出社」の割合は、理想が現実より15ポイント以上低く、毎日同じオフィスに出社する固定的な働き方でなく、ハイブリッドワーク、テレワークといった柔軟な働き方を志向する傾向がみられる。

【図表3】<年代別>現在の働き方と理想の働き方

topic 4

現在の働き方に対する満足度を聞いた結果、「満足」と回答した割合(「非常に満足」と「やや満足」の合計)は50.1%であり、約半数は満足していないことがわかった【図表4-1】。

この結果を年代別に比較すると、「20代」「60代以上」は「満足」しているワーカーが過半数である一方、「30代」~「50代」の中間層では「満足」の割合が落ち込んでいる【図表4-2】。中間層のなかでも「30代」は「不満」(「非常に不満」と「やや不満」の合計)の割合が24.2%と比較的高くなっており、総合的に満足度が最も低いと考えられる。

【図表4-1】働き方に対する満足度

【図表4-2】<年代別>働き方に対する満足度

topic 5

現在の働き方に対し「(やや・非常に)不満」と回答したワーカーが感じている具体的な不満・課題を年代別にみた【図表5】。「30代」はほかの年代に比べて「テレワークでできる仕事でも出社を要求される」(54.3%)、「通勤が苦痛に感じる」(55.0%)、「在宅勤務が禁止になった・制限されるようになった」(23.2%)に関して不満・課題と感じている割合が高かった。

30代は、仕事上の期待が高まってくる一方で、子育てや家庭の事情との調整が必要となることも増え、テレワークができないことへの不満や課題が顕在化しやすいのかもしれない。

【図表5】<年代別>現在の働き方で感じている不満・課題

topic 6

テレワークの選択肢があるうえで、どのようなオフィスなら出社したいと思うかを聞き、年代別に比較した。その結果、全体で最も多かった「働きやすい環境が整っている(通信、什器、執務スペース等)」について、「20代」「30代」は特に高いことがわかった【図表6】。

また、「業務に集中しやすい」、「コミュニケーションがとりやすい(雑談等)」、「業務上のコミュニケーションがとりやすい(交渉等)」など、いくつかの項目で「30代」のニーズがほかの年代よりも高い。業務上の責任や役割が増し、チームや上司・部下との多様なコミュニケーションが求められることから、業務に合わせて最適な環境や機能を求める意識が強いのかもしれない。

【図表6】<年代別>出社したいオフィスの条件

レポート内のグラフに関して
・構成比(%)は、小数点第2位を四捨五入しているため内訳の合計が100%にならない場合がある。
※当レポート記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。
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