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2025.02.12

ホテルの人手不足に関する実態調査(ホテルタイプ別)

~人手不足問題の解決に向けて(第7回)~

ザイマックス不動産総合研究所では、早稲田大学建築学科石田航星研究室と共同で、2024年11月に全国のホテルを対象に人手不足に関するアンケートを実施し、2025年1月に全体集計と回答者のフリーコメントを紹介するレポートを公表した(*1)。

本資料はその続編として、ホテルのタイプを4つ(都心ビジネスホテル、郊外ビジネスホテル、シティ・フルサービスホテル、リゾートホテル)に分けて回答を集計し、その結果を<概要版>として一部を抜粋したものである。

*1:2025 年1月24日公表「ホテルの人手不足に関する実態調査

※<概要版>PDFはこちら

※<詳細版>PDFはこちら

主な調査結果
  • ・ 都心ビジネスホテルは特に景況感がよく、8割以上が「良い・やや良い」と回答した。一方、シティ・フルサービスホテルやリゾートホテルでは5割程度にとどまった【図表1】。
  • ・ 宿泊客対応はリゾートホテルで、宴会・料飲対応はシティ・フルサービスホテルとリゾートホテルで人手不足度合いが高い【図表2-1】【図表2‐2】。
  • ・ 人手不足対策としては賃金水準を含む労働条件の改善のほか、都心ビジネスホテルでは福利厚生、郊外ビジネスホテルではDXの推進、シティ・フルサービスホテルでは多様な人材の活用、リゾートホテルではマルチタスクの取り組みを挙げているホテルが多かった【図表3】。
  • ・ 「従業員の採用・教育の難しさ」は全てのホテルタイプで共通する不安として挙げられた。シティ・フルサービスホテルとリゾートホテルでは、「外部委託コストの上昇」が5割を超えており、大きな懸念事項の一つであることがうかがえる。【図表4】。

<調査概要>

調査期間:2024年11月20日~12月15日

調査対象:ザイマックス不動産総合研究所が保有するリストに基づく全国のホテル
6,446施設

有効回答数:528件(回答率:8.2%)

調査地域:全国

調査方法:郵送・web回答による


topic 1

ホテルの景況感についてたずねたところ、すべてのホテルタイプで「良い・やや良い」が「悪い・やや悪い」を上回った【図表1】。最も景況感が良いのは都心ビジネスホテルで、86%が「良い・やや良い」と回答した。一方でシティ・フルサービスホテルやリゾートホテルでは、「良い・やや良い」は5割程度にとどまった。

【図表1】景況感

topic 2

宿泊客対応を「自社のみ」「自社と業務委託」で行っていると回答したホテルに対し、人手不足状況をたずねた【図表2-1】。

人手不足と回答した割合が最も高いのはリゾートホテルで、「とても・やや不足」の割合が87%と9割近くにのぼった。

【図表2-1】宿泊客対応スタッフの人手不足感

宴会・料飲対応を「自社のみ」「自社と業務委託」で行っていると回答したホテルに対し、人手不足状況をたずねた【図表2-2】。

リゾートホテル、シティ・フルサービスホテルでは約8割が「とても・やや不足」と回答した。特にリゾートホテルでは、半数近くが「とても不足」と回答しており、人手不足は深刻であるといえる。

都心ビジネスホテル、郊外ビジネスホテルにおいては、「とても・やや不足」の割合は6割以上と低くはないものの、「とても不足」はシティ・フルサービスホテルやリゾートホテルと比較すると低い状況にある。

【図表2-2】宴会・料飲スタッフの人手不足感

topic 3

ホテル全体の人手不足の対策についてたずねたところ、全てのホテルタイプにおいて1位が「賃金水準のアップ」、2位が「賃金以外の労働条件(勤務時間・休日など)の改善」となった【図表3】。3位はホテルタイプによって異なり、都心ビジネスホテルでは「福利厚生の充実」、郊外ビジネスホテルでは「DXの推進(機械化・自動化・IT・AIの活用など)」、シティ・フルサービスホテルでは「シニア人材・外国人材など多様な人材の採用」、リゾートホテルでは「マルチタスクの取り組み(複数部署の兼務やスキル取得、ヘルプ体制の強化など)」となった。

【図表3】人手不足の対策

topic 4

今後のホテル運営における不安・懸念事項についてたずねたところ、全てのホテルタイプにおいて1位となったのは「従業員の採用・教育の難しさ」だった【図表4】。そのほか、郊外ビジネスホテル、リゾートホテルでは「従業員の賃金上昇(最低賃金、アルバイトの社会保障負担など)」が高い。また、シティ・フルサービスホテル、リゾートホテルでは「建物や設備の老朽化」「建物維持管理のコストの上昇」「高い宿泊単価に見合ったサービス(接客・料飲など)を提供できる人材の不足」「外部委託のコストの上昇」がビジネスホテルよりも高くなっており、大きな懸念事項であることがうかがえる。

【図表4】今後のホテル運営における不安・懸念


レポート内のグラフに関して
・構成比(%)は、小数点第1位を四捨五入しているため内訳の合計が100%にならない場合がある。
※当レポート記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。
※当社の事前の了承なく、複製、引用、転送、配布、転載等を行わないようにお願いします。

参考:働き方×オフィス 特設サイト

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