2024.03.14
首都圏就活生の企業選びに関する意識調査2024
~8割超が「従業員のためにサテライトオフィスなどを用意している企業で働くことは魅力的」と回答~
少子高齢社会の日本において、企業が若い労働力を獲得することの重要性と難易度は増している。若年層に選ばれるための第一歩はその価値観や志向を知ることだが、コロナ禍による社会変革を目の当たりにし、自らも大学のリモート講義などを経験した現代の就活生は、就職先企業を選ぶ際の行動や価値観が旧世代とは異なるのではないだろうか。具体的には、待遇や仕事内容といった従来の価値基準に加え、「働く場所と時間の柔軟さ」を強く意識している可能性がある。
そこで今回、ザイマックス不動産総合研究所では初めて「就活生」を対象にした調査を実施し、その結果をレポートとして公表した。本ページはその<概要版>として一部を抜粋したものである。
- ・ 理想に最も近い働き方を聞いた結果、「ハイブリッドワーク(オフィス出社とテレワークの両方を使い分けて働く)」を選択した人が67.0%と最多であった。
- ・ 81.6%が、従業員のためにサテライトオフィスなどのテレワークする場所を用意している企業で働くことは魅力的だと思う(または「ややそう思う」)と回答した。
- ・ オフィスの条件では、「交通利便性が高い都心のオフィス街に立地している」と「自宅から近く通勤時間が短いエリア(郊外・住宅地など)に立地している」の2項目を「重視する(やや重視する)」と回答した人が多かった。
- ・ 就職先の企業で導入していてほしい働き方の施策では、「フレックスタイム制度」(47.3%)や「在宅勤務手当(備品や光熱費等)」(40.7%)が上位となった。
- ・ 企業選びにあたって不安に感じていることでは「配属先や上司によって働き方の柔軟性に差があるのではないか(配属ガチャ)」が46.2%でトップとなった。また、2位は「入社直後からテレワークさせられて教育機会が不十分にならないか、放置されないか」(35.2%)で、「テレワークでできる仕事でも毎日出社を求められないか」(24.5%)を上回った。
- ・ 働くことに対する意識や価値観について、「仕事よりもプライベートを重視する」を選択した人は53.1%に上り、相対する「プライベートよりも仕事を重視する」(24.2%)の2倍以上となった。また、「ジョブ型雇用の企業で働きたい」(37.1%)も「メンバーシップ型雇用の企業で働きたい」(23.9%)よりも高い結果となった。
<調査概要>
調査期間:2023年12月25日~12月27日、2024年1月24日~2月4日
調査対象:就活の状況が「就職先が決定して、就職活動を終了した」か「現在、就職活動中」または「これから就職活動を始める予定」である、首都圏在住の大学3年生から大学院生
※対象大学:首都圏所在の大学(慶應義塾大学、上智大学、東京大学、東京外国語大学、東京工業大学、筑波大学、一橋大学、横浜国立大学、早稲田大学、その他)計51校と、首都圏所在の大学院
有効回答数:364件
調査方法:インターネット調査
topic 1
「完全出社(毎日決まったオフィスに出社する)」、「ハイブリッドワーク(オフィス出社とテレワークの両方を使い分けて働く)」、「完全テレワーク(毎日テレワークで基本的には出社しない)」という3種類の働き方から理想に最も近いものを聞いた結果、「ハイブリッドワーク」を選択した人が67.0%と最多であった【図表1】。
これに対し、「完全出社」(14.3%)と「完全テレワーク」(7.4%)は少数派であることがわかった。
【図表1】理想の働き方
topic 2
テレワークを導入するにあたり、法人向けサテライトオフィスサービスなどを契約する企業は増加傾向にある。そこで、サテライトオフィスやシェアオフィスといったテレワーク拠点サービスの説明をしたうえで、従業員のためにサテライトオフィスなどのテレワークする場所を用意している企業で働くことは魅力的だと思うかどうかを聞いた結果、81.6%が「そう思う」または「ややそう思う」と回答した【図表2】。
【図表2】従業員のためにサテライトオフィスなどのテレワークする場所を用意している企業で働くことを魅力的だと思う割合
【参考】調査時に提示した「サテライトオフィス」や「シェアオフィス」のイメージ
topic 3
企業選びにおいてオフィスのさまざまな条件をどの程度重視するかを聞いた結果、「重視する(やや重視する)」の割合が高かったのは「交通利便性が高い都心のオフィス街に立地している」(68.4%)と「自宅から近く通勤時間が短いエリア(郊外・住宅地など)に立地している」(68.4%)の2項目であった【図表3】。
このことから、オフィス立地の「交通利便性の高さ」と「自宅からの近さ」は就活生にとって、ともに魅力的な条件となっていることがうかがえる。同様に、「メインオフィスのほかに、自宅近くや地方などでも働ける場所(サテライトオフィス)を企業が整備している」(54.4%)も過半数が支持しており、ハイブリッドなオフィス戦略に対するニーズが若年層にも広がっているのかもしれない。
また、「室内のレイアウトや機能が充実した快適なオフィスである(カフェやリフレッシュスペースが整備されている等)」(59.9%)を重視する割合も比較的高く、「大規模ビルや、グレード感の高いビルである(ビル内に商業施設や飲食店が充実している等)」(42.3%)を上回った。
【図表3】オフィスの条件で重視すること
topic 4
テレワークなどの新しい働き方が広がるなか、企業選びにあたって不安に感じていることでは「配属先や上司によって働き方の柔軟性に差があるのではないか(配属ガチャ)」が46.2%でトップとなった【図表4】。
また、2位は「入社直後からテレワークさせられて教育機会が不十分にならないか、放置されないか」(35.2%)で、「テレワークでできる仕事でも毎日出社を求められないか」(24.5%)を上回った。若者はテレワーク(ハイブリッドワーク)の利用意向が高いものの、出社したくないわけではなく、必要に応じて適切に出社とテレワークを使い分けられる環境を求めているといえるだろう。
【図表4】企業選びにあたって不安に感じていること
- ザイマックス不動産総合研究所
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