供給・ストック

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2019.01.23

【東京23区】オフィスピラミッド2019

ザイマックス不動産総合研究所は、今般、東京23区の「オフィスピラミッド2019」を発表する。オフィスピラミッドは、延床面積300坪以上の主な用途がオフィスであるビルを対象に、築年ごとのオフィス賃貸面積、棟数を規模別に表したものである。なお、同日に大阪市版(*1)も発表している。

(*1) 2019年1月23日公表「【大阪市】オフィスピラミッド2019
主な調査結果

    1. 中小規模と大規模の比較

  • ・ 2019年末時点のオフィスストックは賃貸面積ベースで1,281万坪、うち、中小規模ビルが605万坪(47%)、大規模ビルが676万坪(53%)と、中小規模と大規模がほぼ同量となっている。
  • ・ 棟数ベースでは9,206棟、うち中小規模ビルが8,459棟と92%を占める。 
  • ・ 平均築年数はストック全体で30.9年、中小規模ビルが31.6年、大規模ビルが23.3年と、中小規模ビルにおいて特にストックが高齢化している。
  • 2. 都心5区と周辺18区の比較

  • ・ 都心5区(中央区、千代田区、港区、渋谷区、新宿区)のオフィスストックは賃貸面積ベースで965万坪、棟数ベースで6,782棟、周辺18区は賃貸面積ベースで316万坪、棟数ベースで2,424棟と、都心5区が全体の約3/4を占める。
  • ・ 都心5区の規模別でみると、賃貸面積は中小規模ビルが448万坪(46%)、大規模ビルが517万坪(54%)、棟数は中小規模ビルが6,227棟(92%)、大規模ビルが555棟(8%)となっている。
  • ・ 周辺18区の規模別でみると、賃貸面積は中小規模ビルが157万坪(50%)、大規模ビルが159万坪(50%)、棟数は中小規模ビルが2,232棟(92%)、大規模ビルが192棟(8%)となっている。
  • ・ 平均築年数は、都心5区で31.2年、周辺18区で30.0年となっており、都心5区と周辺18区で大きな差はない。
  • 3. 2000年との比較

  • ・ 2000年末時点のストック量と比較すると、賃貸面積では約300万坪(約30%)、棟数では約420棟(約5%)増加した。

1.中小規模と大規模の比較

2019年末時点の東京23区オフィスストックは賃貸面積ベースで1,281万坪である。うち、延床面積5,000坪未満の中小規模ビルのストックは605万坪であり、全体の47%にあたる。延床面積5,000坪以上の大規模ビルは676万坪と全体の53%を占め、大規模ビルと中小規模ビルがほぼ同じ面積となっている【図表1】。

オフィスストック全体の平均築年数は30.9年となった。規模別では、中小規模ビルが31.6年、大規模ビルが23.3年と、中小規模ビルにおいてストックが高齢化している。

【図表1】東京23区オフィスピラミッド2019(賃貸面積ベース)

一方で、棟数ベースでは東京23区全体で9,206棟、うち中小規模ビルが8,459棟(92%)、大規模ビルは747棟(8%)であり、ストックの大部分は中小規模ビルである【図表2】。

【図表2】東京23区オフィスピラミッド2019(棟数ベース)

中小規模ビルはバブル期に竣工した物件(1986~1997年竣工。築22~33年)が多く、築20年以上が498万坪と中小規模ビルの82%を占める。バブル期以降は供給量が少なく、築20年未満は107万坪となった。棟数でみても、築20年以上が7,380棟、築20年未満が1,079棟と、築20年以上のオフィスビルが多数を占めている。

大規模ビルは築20年以上が339万坪、築20年未満が337万坪とほぼ同量である。棟数でみても、築20年以上が411棟と、築20年未満の336棟をやや上回っているものの、その差は小さく、バブル期以降も供給が続いてきたことがわかる。

2.都心5区と周辺18区の比較 

さらに、都心5区(中央区、千代田区、港区、渋谷区、新宿区)と周辺18区に分けてストックをみてみる。

2019年末時点の東京都心5区オフィスストックは賃貸面積ベースで965万坪と、東京23区全体のストックの75%を占める。うち、中小規模ビルは448万坪(46%)、大規模ビルは517万坪(54%)であった【図表3】。また、都心5区のストック全体の平均築年数は31.2年となった。うち、中小規模ビルの平均築年数は31.9年となり、大規模ビルの平均築年数24.2年に比べ築古化が進んでいる。

【図表3】東京都心5区オフィスピラミッド2019(賃貸面積ベース)

棟数ベースでは6,782棟、うち中小規模ビルが6,227棟(92%)、大規模ビルが555棟(8%)であった【図表4】。

【図表4】東京都心5区オフィスピラミッド(棟数ベース)

一方で、2019年末時点の東京周辺18区オフィスストックは賃貸面積ベースで316万坪と東京23区全体のストックの25%にあたる。うち、中小規模ビルは157万坪と周辺18区全体のストックの50%、大規模ビルは159万坪で50%である【図表5】。また、周辺18区のストック全体の平均築年数は30.0年で、都心5区の31.2年と大きな差はない。規模別にみると、中小規模ビルの平均築年数は30.8年、大規模ビルの平均築年数は20.6年となった。

【図表5】東京周辺18区オフィスピラミッド2019(賃貸面積ベース)

棟数ベースでは2,424棟、うち中小規模ビルが2,232棟(92%)、大規模ビルが192棟(8%)であった【図表6】。

【図表6】東京周辺18区オフィスピラミッド2019(棟数ベース)

3.2000年との比較

2000年末時点の東京23区のオフィスストックは賃貸面積ベースで983万坪、うち中小規模ビルが574万坪、大規模ビルが409万坪と、やや中小規模ビルの方が多かった【図表7】。

築年別でみると、中小規模ビル、大規模ビルともに築20年未満が約60%を占めていた。平均築年数は全体で16.8年、中小規模ビルが16.7年、大規模ビルが17.0年と、大規模ビルと中小規模ビルに大きな差はない。

【図表7】東京23区オフィスピラミッド2000(賃貸面積ベース)

棟数ベースでは2000年末時点で8,790棟、うち中小規模ビルが8,289棟、大規模ビルが501棟であった【図表8】。

【図表8】東京23区オフィスピラミッド2000(棟数ベース)

2000年と2019年を比較したものが【図表9】である。東京23区全体では、2000年から2019年にかけて賃貸面積ベースで約300万坪(約30%)、棟数ベースで約420棟(約5%)の増加となった。

規模別でみると、大規模ビルはバブル崩壊後も毎年一定量の供給があり、賃貸面積ベースで約270万坪(約66%)、棟数ベースで約250棟(約49%)増加し、築20年以上と築20年未満がほぼ半々となっている。

一方、中小規模ビルはバブル期の大量供給以降、低水準の供給が続いており、賃貸面積で約30万坪(約5%)、棟数で170棟(約2%)の増加となった。その結果、2000年には賃貸面積・棟数ともに築20年未満が60%を超えていたが、2019年末には20%を切った。

平均築年数は、2000年から2019年にかけて、中小規模ビルで16.7年から31.6年と高齢化が進んだのに対し、大規模ビルでは17.0年から23.3年と、約6年の延びにとどまった。

【図表9】東京23区オフィスピラミッド2000と2019(賃貸面積ベース)

今後も大規模ビルは新規供給が続き、同規模間の競争が一層激しくなると予想される。また、中小規模ビルは高齢化がさらに進み、適切な機能更新、改修などの良質なストック形成への取り組みが必要となるだろう。

調査概要

調査時点

2018年12月

調査エリア

東京23区

対象物件

オフィスピラミッド2019:2019年末時点において、延床面積300坪以上、1946年以降に竣工した(予定含む)主な用途が事務所のオフィスビル

オフィスピラミッド2000:2000年末時点において、延床面積300坪以上、1946年以降に竣工した主な用途が事務所のオフィスビル(2001年~2018年に滅失した物件を含む)

集計対象

<大規模>延床面積5,000坪以上、<中小規模>延床面積300坪以上5,000坪未満のオフィスビルの棟数およびオフィス賃貸面積(坪)


* 収集データは、新聞記事など一般に公開されている情報のほか、賃貸募集(過去を含む)された情報などをもとに築年が判明している物件を対象として集計した。なお、原則自社ビルを除いた。
* 建替えや滅失したケースは把握できたものを集計に反映した。
* 端数処理のため、合計が一致しない場合がある。
* 本調査は調査時点での集計値であり、日々情報が追加、更新される。したがって、昨年度公表数値との差異は必ずしも新規竣工または滅失によるものではない。
* 2019年に関しては、2018年12月時点で竣工予定日が判明しているものを対象とした。
* 賃貸面積は、公表されている場合は当該面積を採用し、公表されていない場合は京都大学大学院工学研究科建築学専攻加藤直樹研究室との共同研究で導き出された計算式により、延床面積から推計した面積を採用した。
* 旧耐震ビルとは、1981年新耐震設計法が施行される前の設計法に基づき建てられたビル。本稿では1981年以前に竣工のビルを旧耐震ビルとした。
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