マーケット指標

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2018.05.02

オフィスマーケットレポート 東京 2018Q1

まとめ
  • ・ 今期(2018年1~3月期)の東京23区オフィスマーケットは、大型ビルの新規供給に対してテナントが順調に決まり、空室率は引き続き低下している。新規成約賃料の上昇傾向も継続している。
  • ・ 空室率は前期と比べ0.45ポイント下降して2.51%となった。空室増減量は減少が25.6万坪、増加が20.5万坪と空室の減少が増加を上回った。四半期ごとの空室在庫に対してどれだけ空室が減少したかを割合で示す空室消化率は引き続き右肩上がりの傾向で推移している。
  • ・ 新規賃料の水準を示す新規成約賃料インデックスは前期から3 ポイント上昇して109となった。新規賃料が上昇した物件の割合から下落した物件の割合を引いた成約賃料DIは+15、12期連続でプラスを保った。
  • ・ 新規賃料と継続賃料の両方を含む支払賃料インデックスは前期から1ポイント上昇して90となった。
  • ・ フリーレントあり契約の平均月数は3.9ヶ月と前期から0.3ヶ月増加した。6ヶ月以上のフレーレント割合は低い水準となっているが、フリーレントの付与が定着化している。

空室

図表1は、2011年から東京23区の空室率の推移である。2018年第1四半期の空室率は前期から0.45ポイント下降して2.51%となった。2012年第3四半期以降、空室率は一貫して下降し続けている。
昨今は企業の増員に伴う拡張や立地改善のニーズが多く、全エリアにおいて需要がある。また、大型ビルが新規に供給されても竣工までにほぼ埋まるケースや、新規ビルへの移転により発生した二次空室が、館内のテナントの増床で消化されるケースが多くみられる。

【図表1】空室率



図表2は、四半期ごとの空室の増加面積と減少面積(空室増減量)の推移である。今期の空室増加は20.5万坪、空室減少は25.6万坪と2015年第1四半期以降13期連続して空室減少が増加を上回り、空室率の継続した低下につながっている。
今期は大型物件の竣工により空室の増加量が増えたが、ほぼ満室で竣工を迎えた物件が多く、空室の減少量はそれ以上のボリュームとなった。

【図表2】空室増減量



図表3は、四半期ごとの空室在庫(期初の空室在庫+期間中に発生した空室の総量)に対して、期間中に空室がどれだけ減少したかを割合で示す空室消化率(4四半期移動平均)である。
今期の空室消化率は前期からさらに上昇し40.3%になった。右肩上がりの推移が継続しており、今期は40%を初めて超え、市場にある空室在庫の消化は依然順調であることがわかる。

【図表3】空室消化率(4四半期移動平均)


新規成約賃料

図表4は、新規賃料の水準を示す新規成約賃料インデックスの推移である。2018年第1四半期は109と前期の106から3ポイント上昇した。足元では横ばいの推移にみえるが、2012年第2四半期以降の緩やかな上昇傾向は変わっていない。

【図表4】新規成約賃料インデックス



図表5は、規模別の新規成約賃料インデックスの推移である。延床面積5,000坪未満の中小規模ビルは112、延床面積5,000坪以上の大規模ビルは117と、どちらも上昇した。規模に関わらず、順調に上昇している模様である。

【図表5】規模別の新規成約賃料インデックス



図表6は、新規成約賃料の変化の方向性を示す成約賃料DIの推移である。今期は「+15」と、前期から2ポイント下落したが、新規賃料が上昇した物件が下落した物件より多い状態である成約賃料DIのプラス圏は12期連続となった。

【図表6】成約賃料DI


東京23区において全般的に需要は強く、一時期苦戦していたエリアでも空室が次々と消化されている。移転希望があるもののニーズに合う物件が見当たらない企業が増えている。こういった状況の中、賃料上昇の動きは緩やかである。 2018年から2021年までの年平均供給量は18.0万坪となり、過去10年の16.4万坪を上回る 。2018年に竣工するビルは順調にテナントが決まってきており、今後発生する二次空室の引き合い状況が注目される。

支払賃料

図表7は、新規賃料と継続賃料の両方を含む支払賃料インデックスの推移である。

【図表7】支払賃料インデックス

2018年第1四半期は90となり、前期と比べ1ポイント上昇した。2013年第3四半期以降、緩やかな上昇傾向が続いている。


フリーレント

図表8は、新規契約のうちフリーレントを付与した割合(付与率)と、フリーレント期間の平均値(平均フリーレント月数)の推移である。

【図表8】フリーレント

2018年第1四半期は、「全契約の平均フリーレント平均月数」が2.9ヶ月と前期から0.3ヶ月増加、「フリーレントあり契約の平均月数」が3.9ヶ月と0.3ヶ月増加した。
今期はフリーレントを長めに付与して賃料単価を確保する動きの影響などもあり、フリーレント付与率・月数ともに増加したものの、市場の全体感では短期化が進んでいる。また、6ヶ月以上のフリーレント割合は低い水準である一方で、入居工事期間中相当のフリーレントを付与するなど、ある程度フリーレントの付与がマーケットに定着している。

マーケット循環

図表9は、横軸に空室率、縦軸に新規成約賃料インデックスをとって四半期ごとにプロットしたものである。

【図表9】マーケット循環

2001年以降右下方向(空室率上昇・賃料下落)に移動し、2003年から2004年の停滞期を経て、2005年以降左上方向(空室率低下・賃料上昇)へ移動し、2008年以降再び右下方向へ移動、とマーケットが循環しながら推移する様子が観察できる。
2013年以降オフィス賃貸マーケットは回復期に移行し、2018年時点でもその傾向は継続している。今期は空室率が低下、賃料が上昇し、左上方向に移動した。





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