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2016.09.21

1人あたりオフィス面積調査(2016年)

1人あたりオフィス面積は3.80坪と過去最小、1人あたりオフィス賃料も下落

ザイマックス不動産総合研究所は、企業におけるオフィスの利用実態を把握するため、オフィスビルに入居するテナント企業を対象に継続した調査を行っている。 本調査は、一般的な事務所に入居している企業における利用者1人あたりの賃借面積(以下「1人あたりオフィス面積」)について毎年分析しているものである。今回は2016年の1人あたりオフィス面積、1人あたりオフィス賃料をまとめた。

※前回調査は2015年10月20日付けレポート「1人あたりオフィス面積調査(2015年)」を参照
調査結果
  • ・ 2016年東京23区の1人あたりオフィス面積は3.80坪、調査開始以来の最小値となった。
  • ・2016年東京23区の1人あたりオフィス賃料(共益費込み)は月額64,697円となった。
  • ・ 企業業績の回復による企業の人員増の影響が大きいと考えられる。

1.1人あたりオフィス面積の推移

2016年4月時点における各企業テナントの賃借面積と利用人数を集計し、1人あたりオフィス面積を計算した結果、中央値は3.80坪であった(半数のテナントは3.80坪より小さく、残りの半数のテナントは3.80坪より大きい)。

図表1は、1人あたりオフィス面積の年別推移を示したものである。2011年以降、1人あたりオフィス面積は減少を続けており、2016年は昨年に比べて0.07坪減少の3.80坪と、過去最小を記録した。

【図表1】1人あたりオフィス面積の推移(2008~2016年、東京23区)

1609-office_space_per_person_2016_fig-1

2. 1人あたりオフィス賃料の推移

2016年4月時点における各テナント企業の支払う月額賃料総額をそれぞれの利用人数で割り、1人あたりオフィス賃料を計算した結果、中央値は64,697円であった(半数のテナントは従業員1人あたり64,697円より少なく、残りの半数のテナントは64,697円より多い)。

図表2は1人あたりオフィス賃料の年別推移を示したものである。2011年以降、1人あたりオフィス賃料は減少を続けていたが、2015年にマーケットの回復を受けて増加した。2016年は昨年より約0.76%(495円)減と再び減少に転じた。

【図表2】1人あたりオフィス賃料の推移(2009年~2016年、東京23区)

1609-office_space_per_person_2016_fig-2

3. 考察

《企業の人数変化の分布》

1人あたりオフィス面積および1人あたりオフィス賃料の減少の背景には、企業業績の回復による企業の人員増があると考えられる。総務省と厚生労働省の調査(※)によると、今年4月の完全失業率は3.2%、有効求人倍率は1.34倍と、雇用情勢は確実に改善している。また、東京都では有効求人倍率が2.02倍と、1974年6月以来の高い水準となった。

図表3は今回調査対象となった企業のうち、2年連続データがとれ、比較可能な企業(2年連続で入居しているテナント)における利用人数の変化の分布を示している。

昨年よりオフィスの利用人数が増えた企業の割合と減った企業の割合を比較すると、増えた企業の割合(46%)の方が減った企業(32%)より多い。さらに、増員・減員した企業の割合は昨年と変わらないものの、人数を大きく増やした企業の割合が増える一方で、人数を大きく減らした企業の割合が減少した。

テナント個別に分析しても、前述の1人あたりオフィス面積および1人あたり賃料の減少には企業の人員増が背景にあることがわかる。

※総務省統計局:労働力調査 http://www.stat.go.jp/data/roudou/index.htm
 厚生労働省:一般職業紹介状況(職業安定業務統計) http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1.html

【図表3】 企業の人数変化の分布(2015~2016)

1609-office_space_per_person_2016_fig-3

《新規テナントと継続テナントの1人あたりオフィス面積の比較》

図表4は新規に入居したテナントと、前年度から継続して入居しているテナントに分けて集計した1人あたりオフィス面積を示している。

リーマンショック後の不況を背景としたオフィスの縮小移転の流れを受け、新規テナントの1人あたりオフィス面積は2009年以降縮小し、2010年には3.56坪/人と継続テナントに比べ狭い水準となった。

2013年に入り、新規テナントの1人あたりオフィス面積は拡大に転じ、2014年には4.25坪/人と余裕を持った結果になった。2012年に大量にオフィスの新規供給があったこと、景気回復を背景に企業が将来の事業拡大・人員増に向けてオフィスを広めに確保しようとした動きがあったことが背景にあると考えられる。

その後、2015年からは新規の方が若干狭いが、継続とほぼ同水準の結果となっている。これは、空室率・空室面積の減少、市場賃料上昇によるコスト意識の高まり、フリーアドレスの導入、人員採用の一服感などの影響が考えられる。

【図表4】 新規テナントと継続テナントの1人あたりオフィス面積の推移
(2008~2016)

1609-office_space_per_person_2016_fig-4

調査概要

調査期間

2008年から2016年(年に1度)

調査対象

東京23区のオフィスビルに入居する一般事務所用途テナント

有効データ数

6,862テナント(調査期間延べ) 2008年:397 2009年:790 2010年:852 2011年:894 2012年:909 2013年:987 2014年:872 2015年:637 2016年:524

計算方法

調査対象テナントの賃借面積及び月額賃料をそれぞれの利用人数で割った値の中央値

備考

  • ・面積は契約上の賃借面積。執務室の他、エントランス(受付)、会議室、休憩室、書庫、倉庫、専用部内廊下などが含まれている。
  • ・賃料は共益費を含める。
  • ・人数はテナントから「利用人数」として回答のあった数字
  • ・一部データを見直した結果、前回発表値より2009年および2010年の数値を修正している。
※当レポート記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。
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