マーケット指標

PDF版ダウンロード

2013.06.03

東京23区 オフィスビル 成約賃料変動率、フリーレントともに改善

~中小規模も含めた成約賃料DI・フリーレント指数を公表~

今般、ザイマックス不動産総合研究所では、ザイマックスグループが独自に入手・蓄積してきた成約データを利用した「成約賃料DI(ディフュージョンインデックス)」を作成し、成約場面におけるマーケットの変動や募集賃料に基づいたデータと比較した分析を行った。また、成約条件の実態把握の一環として、フリーレントの調査を併せて行った。
主な調査結果
  • ・東京23区のオフィスビルにおいて、同一ビルで2年連続成約した賃料を分析してみると、依然成約賃料単価が前年度と比較して下落したビルが多いものの、その割合は減少し、成約賃料DIは改善方向にある
  • ・成約賃料の変動率を分析すると、前年度と比較して、上昇した物件の平均変動率はより高くなる一方、下落した物件の下落幅が縮小したことにより、平均変動率も改善し、平均「プラス0.5%」に
  • ・成約賃料の変動はタイムリーであり、一般に公開されている募集賃料に先行して変化が表れていた
  • ・フリーレントは、発生割合、平均月数ともに2009年度以降急激に増加したが、2012年度に入り減少しており、市況が改善方向にある

現在、オフィス分野で公表されている賃料水準に関するデータの多くは「募集」ベースのものであり、現実のマーケットの状況を示す「成約」賃料データ、あるいは成約時のフリーレントについて公表されたものは極めて限定的である。とりわけ、大規模に加えて中規模のオフィスビルまでも含めて調査分析されたものはほとんどない。ザイマックス不動産総合研究所では、今後も独自データを利用した調査分析を継続して実施し、賃貸オフィス市場の動向に関する情報発信を行っていく予定である。

成約賃料DI・平均変動率

成約賃料DIは、ザイマックス不動産総合研究所において、成約事例に表れる不動産市況の傾向を測定するために作成した指標である。

ザイマックスグループが独自に収集した成約データを用い、実際に成約した賃料単価を、前年同じビルで成約した際の賃料単価と比較。「上昇」「据置」「下落」についてそれぞれ棟数をカウントし、その割合を求めた上で上昇パーセンテージから下落パーセンテージを引いた数字を「成約賃料DI」とした(右図参照)。分析の対象は、東京23区で、採用したデータ数は、毎年度約60~200件である。

2012年度の東京23区のオフィスビルの成約賃料DIは「-21」。依然として、前年度と比較して成約賃料単価が下落している物件が多いことを示している(図表1)。しかし、その内容を見てみると、「上昇」あるいは「据置」だった割合が増加した一方、「下落」した物件は減少し、反転期に向かって市況が回復の兆しを見せていることが伺える。

[図表1] 成約賃料DI(東京23区)

[図表] 成約賃料 DI(東京23区)

また、上昇した物件、下落した物件別にその変動率を分析すると、それぞれ上昇率は拡大、下落率は縮小しており、その結果、成約賃料単価の平均変動率は「0.5%」と、5年ぶりにプラスに転じている(図表2)。

[図表2] 平均成約賃料変動率(前年度比)(東京23区)

[図表2] 平均成約賃料変動率(前年度比)(東京23区)

募集賃料との比較

上記の平均成約賃料の動きを、2000年度を100として当てはめ、一般に公開されている募集賃料の推移を変動率に変換した上で指数化したデータとの比較を行った結果(図表3)、成約賃料変動指数は募集賃料変動指数に比べ先行性があり、マーケットの状況をタイムリーに表していることが認められた。

[図表3] 賃料変動指数 募集賃料/成約賃料比較

[図表3] 賃料変動指数 募集賃料/成約賃料比較

フリーレント付与率・指数

ザイマックスグループが独自に収集した成約データ(館内拡張などを除く、新規入居契約)のうち、2か月以上のフリーレントが設定された契約の割合を「フリーレント付与率」として算出した*。併せて、すべての契約におけるフリーレント期間(フリーレント無しも含む)の平均を、2003年度を100とした場合の「フリーレント指数」としてその推移も見た。 2012年度のフリーレント付与率は「61%」と、2011年度と比較し17ポイント下落し、減少傾向にあることが分かった(図表4)。また、フリーレント指数は「143」と2011年度と比較し、45ポイント下落。リーマンショック後、中規模ビルにおいてフリーレントによる実質的な値下げ対応を行うことでテナントを確保してきた状況は改善していると言える。但し、水準は依然として高く、今後マーケットの改善に伴ってさらにフリーレントが減少することが期待される。

[図表4] 新規契約におけるフリーレントの推移(東京23区)

[図表4] 新規契約におけるフリーレントの推移(東京23区)

*フリーレントは賃貸借契約の締結期間中でありながら、ある一定期間の賃料支払を免除することであり、もともとは新事務所へ移転する際に二重に発生してしまう賃料を、新事務所のほうで免除する意味合いが強い。但し、「賃料の二重払い」期間は概ね2か月であり、それを超えるフリーレントは実質的な賃料の「値下げ」と捉えることができる。本調査における「フリーレント付与率」では、この「値下げ」の実態を捉えるため、「2か月以上のフリーレント」を対象としている。

ザイマックスグループホームページへ
レポートの一覧へ