【大阪市】時代とともに変化するオフィス仕様 2026

大阪市オフィスピラミッドを深堀りする

オフィスビルを取り巻く環境は、働き方の変化や設備需要の高度化、立地選好の変化などを背景に、求められる仕様が更新されつつある。では、大阪市のオフィスビルストックは、竣工年代とともにどのように変化してきたのだろうか。

ザイマックス総研では、大阪市に立地するオフィスビルを対象に、テナント募集資料等で観測できた仕様データをもとに、天井高・床荷重・電気容量などの建物内スペックに加え、耐震性および周辺環境(Walkability Index)の観点から、年代別・規模別の特徴を整理した。本ページは<概要版>として一部を抜粋したものである。

なお、東京23区を対象とした調査結果については、別途公表している東京版(*1)を参照されたい。

※<概要版>PDFはこちら※<詳細版>PDFはこちら

主な調査結果

  • 主要スペックは年代が新しいほど高仕様化している。 中小規模・大規模とも天井高は上昇し、床荷重も増加している。大規模ビルでは高層化も進み、2020年以降は平均27階まで上昇している。
  • 1980~1999年の大規模ビルは、延床面積・基準階面積が他年代より小さく、駅からの徒歩分数が長い傾向がみられ、当時の供給構造の影響が示唆される。
  • 周辺環境(Walkability Index)は、年代とともに単調に改善するのではなく、供給が集中したエリア特性によって分布が左右される。
  • 耐震性は大規模ビルでの表明・整備が相対的に進んでいる。「新耐震」または募集資料等で耐震性の表記がある割合は大規模ビル89%、中小規模ビル78%であり、耐震改修の表記も大規模の方が多い。
<調査概要>
調査時点

2025年12

調査対象

2026年末時点において、延床面積300坪以上、1946年以降に竣工した(予定含む)主な用途が事務所のオフィスビル(原則、自社ビルを除く)

調査地域

大阪市

調査方法

新聞記事など一般的に公開されている情報を基に、一部現地調査ならびに事業者にヒアリングを実施して集計

topic 1

中小規模ビル・大規模ビルとも、竣工年代が新しくなるほど天井高は上昇し、床荷重も増加している。また、大規模ビルでは竣工年代が新しくなるほど高層化が進んでおり、2020年以降は平均27階まで上昇している。

特に大規模ビルをみると1980~1999年竣工のビルは他年代と比べて延床面積および基準階面積が小さく、駅徒歩分数が長い傾向がみられる。この年代に比較的小さいビルの供給や相対的に駅距離のある立地の供給が一定程度増えた可能性を示唆している。背景として、バブル期前後の大量供給期という当時の供給構造により、規模・立地条件の分布が他年代と異なった影響が考えられる。さらに2000年以降になると、御堂筋の高さ制限や容積率の緩和の影響もあり、ビルの大型化が進んだと思われる。

なお、中小規模ビルでは2010年以降、天井高は上昇している一方で、延床面積・基準階面積は2000~2009年より縮小しており、規模の大型化は連続して進行しているわけではない。

【図表1-1】中小規模ビル:各仕様の平均値

【図表1-2】大規模ビル:各仕様の平均値

topic 2

topic1でも確認できるように、駅徒歩分数は駅近側に分布が集中しているものの、年代によって構成比に違いがみられ、直近の供給が一様に駅近化しているとは限らない。建物内スペックだけでなく周辺都市環境を捉えるために、徒歩圏内の施設集積等をもとに周辺環境をスコア化したWalkability Index(オフィス・住宅の2指標)(*2)を用い、立地環境の分布を可視化した【図表2-1】【図表2-2】。

Walkability Index(オフィス)のスコア分布をみると、就業地としての歩行利便性は年代が新しいほど一様に高まるわけではなく、各年代の供給がどのような立地に分布しているかといった構成の影響を受けやすいことが示唆される【図表2-1】。中小規模ビルは各年代とも80台後半の中位帯を中心に分布しており、分布の山は大きく移動しない。一方、大規模ビルは年代によって分布の形が変化し、中位帯に山を持ちながら高スコア側にも一定の度数がみられるなど、同じ規模でも立地環境の性格が多様であることがうかがえる。

Walkability Index(住宅)のスコア分布をみると、周辺の生活利便性についても、年代とともに単調に改善するのではなく、供給が集中したエリア特性によって分布が左右されることが示唆される【図表2-2】。中小規模ビルは各年代とも中位帯を中心に分布しており、分布の山は大きく移動しない。一方、大規模ビルは年代によって分布の形が変化し、中位帯に山を持ちながら高スコア側にも一定の度数がみられるなど、生活環境としての利便性の水準が多様であることがうかがえる。オフィス指標と住宅指標を併用することで、就業地としての利便性と生活環境としての利便性が必ずしも一致しない点も含め、立地環境の多様性を整理できる。

【図表2-1】Walkability Index(オフィス)の分布

【図表2-2】Walkability Index(住宅)の分布

topic 3

【図表3】は、耐震性の有無について、竣工が1982年以降の物件を「新耐震」、竣工が1981年以前の物件のうち、耐震性能を有していることを表明している物件を「旧耐震(耐震性の表明有り)」、表明していない物件を「旧耐震(耐震性の表明無し)」として、規模別に棟数割合をみたものである。

「新耐震」およびテナント募集資料等で「耐震性を有している」旨の表記をしていたビルの割合は、大規模ビル89%、中小規模ビル78%となった。「旧耐震(耐震性の表明有り)」であったビルのうち、「耐震改修を行った」旨を表記していたものは、大規模ビルで全体の5%、中小規模ビルで全体の1%あり、大規模ビルでは中小規模ビルに比べて耐震改修の実施が進んでいる様子がうかがえた(*3)。また、新耐震基準が適用される以前であっても、高層ビルでは耐震面において十分な許容度を確保した設計が求められたことも、大規模ビルでは耐震性を有していたビルが多かった理由と考えられる。

*3 耐震改修を行っていてもテナント募集用資料に表記していない場合や、データ収集日以降に耐震改修を行った場合は当該割合には反映されていない。

【図表3】耐震性の有無

レポート内のグラフに関して
・構成比(%)は、小数点第1位を四捨五入しているため内訳の合計が100%にならない場合がある。