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2025.12.01

現在の仕事を分類する

~人手不足問題の解決に向けて(第9回)~

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1. はじめに

ザイマックス総研は、労働市場における人手不足に問題意識を持ち、2023年5月より本シリーズ「人手不足問題の解決に向けて」を公表している。第1回(*1)と第2回(*2)では、職業を「デスクワーク」と「ノンデスクワーク」に分解し、ノンデスクワークの労働需給ギャップが今後拡大すること、すなわち人手不足問題の核心がノンデスクワークにあることを指摘した。

また、第5回(*3)ではオフィスワーカー調査に基づき、将来的にノンデスクワークに従事することに「興味がある」割合が「興味がない」を上回っていることを明らかにした。さらに、第8回(*4)では、世の中の変化がノンデスクワークに与える影響を整理した。

一連の調査から、ノンデスクワークに興味がない人々の多くは、具体的な仕事に対するイメージが不足している可能性が示唆された。ノンデスクワークの領域は、飲食店のアルバイトや清掃などの裏方業務、あるいは資格が必要な専門職などきわめて広範である。そのため、個々人が日々の生活において直接的に関わるシーンが限定的であり、漠然とした印象で捉えていることが多いと考えられる。

加えて、デスクワークとノンデスクワークは明確に別の性格を持った職業群ではなく、仕事の分類によっては両者が混在し、近い性質を持っていることもある。したがって、デスクワーク・ノンデスクワークそれぞれの職業群の特徴を整理・確認することは、現状認識の精度を高める上で意義がある。

そこで、現在の仕事を網羅的に分析し、分類することで、人々の認識を更新したい。本研究の目的は、単に新たな職業分類を提示することではなく「仕事の未来」を展望するための「現在の仕事」の分類を正確に認識することにある。この目的を達成するため、各クラスターごとに職業群の仕事の特徴について、定性・定量の両面から整理した。本編は全体的な概要を簡潔に示し、別添の資料編において定量データをベースとして深堀りを行った。

本レポートは仕事の未来を展望するための基礎研究としての位置づけであり、多くのワーカーにとって、現在のデスクワーク・ノンデスクワークをより深く理解するとともに、自分事として仕事の未来について考える契機となることを期待したい。

2. クラスタリングの詳細

本分析では、職業情報提供サイト(job tag)よりダウンロードした職業情報データ(*)を用いてクラスタリングを行った。本データは、531の職業について、アンケート調査に基づき、必要とされるスキル・知識・活動内容・アビリティ等を定量化した構造化データである。

* 独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.5.00.02」職業情報提供サイト(job tag)より2025年1月6日にダウンロード
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成

分析対象

● 総職業数:504職業

● クラスタリング対象:405職業(主要変数に欠損のない職業を抽出)

使用変数

職業の多面的な特性をとらえるため、以下のカテゴリに分類される変数群を用いた。

● スキル(IPD_04_03)

● 知識(IPD_04_04)

● 仕事の性質(IPD_04_05)

● 仕事活動(ワークアクティビティ)(IPD_04_10)

● アビリティ(IPD_04_12)

次元圧縮とクラスタリングの手法

① 相関の高い変数の除去

各変数群の中で、相関係数が0.7以上のペアを抽出し、一方を削除。冗長な変数を排除することで、次元の縮約と過学習のリスクを軽減した。


② 主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)による前処理

残された変数に対して主成分分析を実施し、固有値が1以上の主成分を抽出。変数の情報を損なうことなく、より少ない次元に圧縮した。


③ 次元削減:UMAP(Uniform Manifold Approximation and Projection)

主成分得点をもとに、非線形次元削減手法であるUMAPを適用。UMAPは、局所構造を保ちながらデータの全体構造も保持しやすい手法であり、職業間の類似性を反映した2次元空間へのマッピングを可能とする。


④ クラスタリング:k-means法(k平均法)

次元削減後の座標データに対して、k-means法(データをk個のクラスターに分割し、各クラスター内のデータの類似性を最大化するクラスタリング手法)を適用し、職業を14クラスターに分類。kの値は、クラスター内分散の縮小とクラスター解釈性のバランスを考慮して決定した。

3. クラスタリングによる14の職業分類

前章で説明したクラスター分析により、現在の全職業を14に分類した。それぞれのクラスターごとの全体的な特徴、主な職業のカテゴリ、および具体的な職業名は以下のとおりである。各クラスターの名称は、それぞれの特徴を表すようなネーミングを当方でつけた。各クラスターごとの詳細な仕事の特徴については、別添の「資料編」を参照されたい。

なお、各職業の<デスクワーク>、<デスクワーク 兼 ノンデスクワーク>、<ノンデスクワーク>の分類については、第1回レポート(*1)の【図表1】職業別 ワーカーの分類(2020年国勢調査における職業の中分類)に準拠している。また、時代の変化とともに、職業の内容が変化しており、今後も変わる可能性があることから、デスクワークやノンデスクワークの分類は一部、不整合が発生しているものもあり、参考として参照されたい。

14の職業分類一覧

1. 「ものづくり」の匠(資料P7~P13)

「ものづくり」大国といわれる日本の伝統的な製造業の根幹を支える重要な役割を担う。高い専門性と職人技が求められる一方で、技術革新への適応力も重要視される。

この職業群は、主に製造・生産の現場において、設備運用・保守や高度な機械操作を通じて、高品質な製品の効率的な生産を目的とする。これには、材料や生産プロセスに関する深い理解に加え、高い精度でのものづくりを実現するための確かな技術力が要求される。さらに、新しい技術や素材、デジタルツールの活用には継続的な学習による知識のアップデートが求められており、熟練した技術と知識が核となる仕事である。

【主な職業カテゴリ】

金属・機械加工系、素材成型・製品加工系、木工・その他製品加工系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

非鉄金属製錬技術者 / 食品技術者 / 産業廃棄物処理技術者


<ノンデスクワーク>

冷凍加工食品製造 / かん詰・びん詰・レトルト食品製造 / 陶磁器製造 / プラスチック成形 / フラワーショップ店員 / 鋳造工, 鋳造設備オペレーター / 金属プレス工 / 溶接工 / NC工作機械オペレーター / めっき工 / 自動車組立 / 生産用機械組立 / 物流設備管理・保全 / 染色工, 染色設備オペレーター / 木材製造 / 家具製造 / 紙器製造 / 建具製造 / 靴製造 / 化学製品製造オペレーター / 看板制作 / ボイラーオペレーター / 汎用金属工作機械工(旋盤工、ボール盤工等) / 自動車板金塗装

2. 「社会と人を支える」プロフェッショナル(資料P14~P20)

社会の安定と個人の幸福を支える上で必須の職業群である。その多くが公的な資格を必要とすることが特徴である。

この職業群は公共性が高く、利用者や住民などの他者を直接的に支援することを主な目的とする。したがって、相手への傾聴・共感を冷静な判断と両立させるコミュニケーションスキルが基盤となる。さらに、人の心理や社会システムに関する幅広い知識をもとに、多様な課題に対して状況に応じた的確な判断と解決策を導く能力が求められる。信頼関係を築きながら、冷静な判断と高い責任感をもって社会や生活を支える仕事である。

【主な職業カテゴリ】

福祉・介護支援実務系、医療・教育・相談支援系、行政・公的機関系事務職、福祉・医療・販売補助事務系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

国家公務員(行政事務) / 地方公務員(行政事務) / 国際公務員 / 駅務員 / タクシー配車オペレーター / 経理事務 / 総務事務 / 調剤薬局事務 / 介護事務 / 銀行等窓口事務 / 学校事務 / 医療事務 / キッティング作業員(PCセットアップ作業員) / 出荷・受荷事務 / 郵便局郵便窓口業務


<デスクワーク 兼 ノンデスクワーク>

福祉事務所ケースワーカー / 保育士 / 介護支援専門員, ケアマネジャー / 保健師 / 理学療法士(PT) / 作業療法士(OT) / 言語聴覚士 / 幼稚園教員 / 障害者福祉施設指導専門員(生活支援員、就労支援員等) / 老人福祉施設生活相談員 / 特別支援学校教員、特別支援学級教員 / 医療ソーシャルワーカー / 福祉ソーシャルワーカー / 施設管理者(介護施設) / 訪問介護のサービス提供責任者


<ノンデスクワーク>

施設介護員 / 刑務官 / 医薬品販売, 登録販売者

3. 「専門知識で未来を拓く」戦略家(資料P21~P27)

高度な専門性を基盤とし、人々の日常生活における安心・安全の確保、あるいは組織や社会・国家の維持・発展を牽引する役割を担う職業群である。

この職業群は、社会インフラや大規模プロジェクトなど極めて公共性が高く、影響力の大きい分野を対象とする。そのため、高度専門職や管理職が多く、特に戦略的思考と高い正確性が強く要求される。多くの関係者と協働し、複雑な状況下で複数のタスクを効率的に進め、限られた時間の中で目標を達成するための計画力、判断力、リーダーシップが重要となる。変化する環境に対応し、安全性と成果の両立を図るきわめて責任の大きい仕事である。

【主な職業カテゴリ】

建設・測量・技術士系、安全保障・交通運用系、国際・企画・渉外管理系、IT・分析・高度専門職系、重機・特殊機械運用系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

建築設計技術者 / 建築施工管理技術者 / 土木設計技術者 / 土木施工管理技術者 / 測量士 / 中小企業診断士 / 土地家屋調査士 / 公認会計士 / 旅行会社カウンター係 / 空港グランドスタッフ / 鉄道運転計画・運行管理 / プロジェクトマネージャ(IT) / データサイエンティスト / IR広報担当 / マーケティング・リサーチャー / M&Aマネージャー、M&Aコンサルタント/M&Aアドバイザー / 総務課長 / 人事課長


<デスクワーク 兼 ノンデスクワーク>

不動産鑑定士 / 学芸員 / 通関士 / 銀行・信用金庫渉外担当 / 国際協力専門家


<ノンデスクワーク>

ツアーコンダクター / 警察官(都道府県警察) / 海上保安官 / 陸上自衛官 / 海上自衛官 / 航空自衛官 / 消防官 / パイロット / 航海士 / 船舶機関士 / 電車運転士 / 鉄道車掌/ 客室乗務員 / 救急救命士 / クレーン運転士

4. 「クリエイティブ&IT」の開拓者(資料P28~P34)

デジタル化が進む現代社会において、新たな価値を創造し、社会の発展を牽引する中心的な役割を担う職業群である。

この職業群は、知的かつ創造的な集中力を要するデスクワークが中心であり、高度な専門性と創造性を駆使して具体的な成果物やソリューションを生み出すことを目的とする。したがって、既成概念を打ち破る発想力と、完成形を具現化する技術的な開発・実装能力が求められる。さらに、技術の進化や市場の変化に対応するため、知識を常にアップデートしていく必要がある。高い自律性とプロ意識に基づき、顧客の課題解決と社会への新たな価値や感動の提供にコミットする仕事である。

【主な職業カテゴリ】

報道・出版・翻訳・語学系、IT開発・テック系、デザイン・メディア・映像・アート系、経営・企画・マーケ・ビジネス専門系、金融・市場調査・アナリティクス系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

経営コンサルタント / 翻訳者 / 新聞記者 / 雑誌記者 / 図書編集者 / 雑誌編集者 / ネット通販の運営 / Webマーケティング(ネット広告・販売促進) / 起業、創業 / 電子機器技術者 / プログラマー / システムエンジニア(Webサイト開発) / システムエンジニア(組込み、IoT) / ソフトウェア開発(パッケージソフト) / ソフトウェア開発(スマホアプリ) / コピーライター / 土木・建築工学研究者 / 証券アナリスト / 会社経営者


<デスクワーク 兼 ノンデスクワーク>

テレビ・ラジオ放送技術者 / 映像編集者 / 放送ディレクター / Webデザイナー / Webディレクター / 動画制作 / CG制作 / アートディレクター / 広告デザイナー / 広告ディレクター / グラフィックデザイナー / インテリアデザイナー / ファッションデザイナー / イラストレーター / インダストリアルデザイナー / 商業カメラマン / 広報コンサルタント / セキュリティエキスパート(情報セキュリティ監査)


<ノンデスクワーク>

ネイリスト / 録音エンジニア / 製版オペレーター、DTPオペレーター / ディーラー

5. 「ホスピタリティ&サービス」の伝道師(資料P35~P41)

人々の日常生活に寄り添い、直接的な価値や快適さを提供することで、社会の「おもてなし」を支える役割を担う職業群である。その多くが現場で働くノンデスクワークである。

この職業群は、人と直接関わり、心身両面で快適さや満足を提供する対人サービス業が中心である。したがって、顧客や利用者の立場に立ち、共感と気配りをもって接するための高いコミュニケーション能力と、日本ならではの「おもてなし」の姿勢が求められる。相手の感情や状況を理解し信頼を築くことは、成果(売上高、顧客満足度の向上など)に直結する。単に商品やサービスの販売・提供に留まらず、高い満足度を創出することを目的とする仕事である。

【主な職業カテゴリ】

小売・販売・店頭サービス系、理美容・癒し・健康サービス系、教育・補助・見守り系、接遇・飲食・宿泊業系、社会的サービス・援助・地域対応系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

マンション管理フロント / NPO法人職員(企画・運営)


<デスクワーク 兼 ノンデスクワーク>

スポーツインストラクター / 自動車教習指導員 / 音楽教室講師 / あんまマッサージ指圧師 / 柔道整復師 / はり師・きゅう師 / 専門学校教員 / 図書館司書 / 獣医師 / 児童指導員 / 職業訓練指導員 / OA機器営業 / 食品営業(食品メーカー)


<ノンデスクワーク>

デパート店員 / スーパー店員 / 電器店店員 / 書店員 / スポーツ用品販売 / ホームセンター店員 / ペットショップ店員 / 衣料品販売 / コンビニエンスストア店員 / ベーカリーショップ店員 / ビル施設管理 / カフェ店員 / バーテンダー / 遊園地スタッフ / 理容師 / 美容師 / エステティシャン / ビデオレンタル店店員 / 訪問介護員, ホームヘルパー / ガソリンスタンド・スタッフ / 道路パトロール隊員 / トリマー / 学童保育指導員 / 看護助手 / ベビーシッター / フロント(ホテル・旅館) / 接客担当(ホテル・旅館) / ホールスタッフ(レストラン) / 飲食チェーン店店員 / アロマセラピスト / リフレクソロジスト / リサイクルショップ店員 / CDショップ店員 / 化粧品販売, 美容部員 / 歯科助手 / 保育補助者 / 障害者グループホーム世話人

6. 「移動を支える」スペシャリスト(資料P42~P48)

社会のインフラとして、人々の移動やモノの流通を支える重要な役割を担う職業群である。

この職業群は、主に屋外での車両の運転・操作を通じて、人やモノの安全かつ効率的な輸送・管理を行うことが職務の核となる。これには、交通法規や運行計画などの輸送に関する知識に加え、車両の保守・点検スキルが必要である。さらに、刻一刻と変化する外部環境を捉え、一瞬で適切な判断を下す反射神経や身体能力も重視される。事故が人命や経済活動に重大な影響を与えるリスクがあるため、規律性の厳守と徹底した安全管理が必須の仕事である。

【主な職業カテゴリ】

旅客・送迎系運転職、貨物・物流・ルート配送系、周辺サポート・補助作業系

【具体的な職業名】

<ノンデスクワーク>

キャディ / レンタカー店舗スタッフ / 路線バス運転手 / 観光バス運転手 / タクシー運転手 / フォークリフト運転作業員 / 清涼飲料ルートセールス / 雑踏・交通誘導警備員 / トラック運転手 / トレーラートラック運転手 / ダンプカー運転手 / 送迎バス等運転手 / 介護タクシー運転手 / ルート配送ドライバー / 宅配便配達員 / タンクローリー乗務員 / フードデリバリー(料理配達員)

7. 「命を守る」医療の守護者(資料P49~P55)

医療・看護・研究者・技術者など、人々の健康と生命を実践的に守りつつ、未来の医療・科学の発展に貢献する役割を担う職業群である。

この職業群は、人々の健康と生命を守るという社会的使命を担うため、高度な専門知識と高い倫理観が不可欠である。医学・生命科学を基盤に、的確な判断力、精密な手技、および冷静な対応力を発揮し、緊張感の高い現場で最善の結果を追求する。加えて、チーム医療の一員として多職種と連携し、情報共有と協調を通じて患者に最適な支援を提供する姿勢が求められる。さらに、生涯にわたる学習意欲が必須であり、医療・科学的知見を常にアップデートしていくことが必要な仕事である。

【主な職業カテゴリ】

診療・看護・支援の現場系、医師・薬剤・臨床判断系、臨床検査・放射線・技師系、医療・薬学・バイオ研究系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

バイオテクノロジー技術者 / 医学研究者 / 薬学研究者 / バイオテクノロジー研究者 / 臨床開発モニター


<デスクワーク 兼 ノンデスクワーク>

看護師 / 助産師 / 薬剤師 / 歯科医師 / 臨床検査技師 / 診療放射線技師 / 臨床工学技士 / 歯科衛生士 / 視能訓練士 / 栄養士 / 外科医 / 小児科医 / 内科医


<ノンデスクワーク>

動物看護

8. 「食と暮らしを彩る」職人(資料P56~P62)

職人の熟練した技とこだわりを通して、人々の「衣食住」の根幹を支え、日々の生活に豊かさや彩りを提供する役割を担う職業群である。

この職業群は、実践的に社会の基盤を支えるものづくりや生産活動を基盤とする。その遂行には、原材料の特性から製造・生産に関する全ての工程に対する深い知識が求められる。さらに、品質を維持するための精密な手作業と熟練した身体動作に加え、一定の筋力や作業速度を兼ね備えた複合的な身体能力も必要である。技術と経験を積み重ね、確かな品質と機能を生み出す「職人気質」が重視される仕事である。

【主な職業カテゴリ】

食品製造・調理系、衣料・雑貨・印刷加工系、電子・組立・検査系、農業・畜産・林業系、伝統・手工芸系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

農業技術者 / 生産・工程管理事務 / 畜産技術者


<ノンデスクワーク>

豆腐製造、豆腐職人 / パン製造、パン職人 / 洋菓子製造、パティシエ / 和菓子製造、和菓子職人 / 水産ねり製品製造 / 惣菜製造 / 清酒製造 / ハム・ソーセージ・ベーコン製造 / 野菜つけ物製造 / 西洋料理調理人(コック) / 日本料理調理人(板前) / すし職人 / そば・うどん調理人 / 中華料理調理人 / ラーメン調理人 / 造園工 / 林業作業 / 電子機器組立 / 計器組立 / 織布工, 織機オペレーター / ミシン縫製 / かばん・袋物製造 / 貴金属装身具製作 / 印刷オペレーター / 製本オペレーター / 製品包装作業員 / 工場労務作業員 / 給食調理員 / 酪農従事者 / 稲作農業者 / ハウス野菜栽培者 / 果樹栽培者 / 花き栽培者 / 沿岸漁業従事者 / 検査工(工業製品) / 検査工(食料品等)

9. 「技術と経営をつなぐ」イノベーター(資料P63~P69)

強い探求心と創造性を基盤としたイノベーションを通じて産業構造を変革し、社会の進歩を牽引する役割を担う職業群である。

この職業群は、工学・科学の知識を活用し、製品や技術の開発・管理を通じて社会の産業やインフラを高度化させることを目的とする。したがって、複雑な情報を論理的に分析し、数学的思考を用いて問題解決や効率的なプロセス設計を行う能力が必要となる。さらに、理論と実践を結びつけ、安全かつ効率的な生産体制を構築する知識と判断力が求められる。技術革新への探究心と高い目標達成意欲に基づき、イノベーションを創出することが期待される仕事である。

【主な職業カテゴリ】

製造・品質管理・研究職系、高度技術開発・設計系、流通・サービス管理職系、営業・技術融合職系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

銀行支店長 / フランチャイズチェーン・スーパーバイザー / 機械設計技術者 / 半導体技術者 / 自動車技術者 / 精密機器技術者 / プラント設計技術者 / 生産・品質管理技術者 / 原子力技術者 / 分析化学技術者 / 高分子化学技術者 / 航空機開発エンジニア(ジェットエンジン) / 商品企画開発(チェーンストア) / 自動運転開発エンジニア(自動車) / 医療機器開発技術者


<デスクワーク 兼 ノンデスクワーク>

自動車営業 / 歯科技工士


<ノンデスクワーク>

乳製品製造 / ホテル・旅館支配人 / スーパー店長 / ブライダルコーディネーター / 福祉用具専門相談員 / 金型工 / 非破壊検査技術者 / 光学機器組立 / 半導体製造 / 医薬品製造 / タイヤ製造 / 化粧品製造 / 発電所運転管理 / マーチャンダイザー、バイヤー

10. 「ビジネスを円滑にする」オフィスワーク&士業(資料P70~P76)

企業や組織の基盤を支え、事業活動を円滑に進めるために、主にデスクワーク業務を行う職業群である。

この職業群は、組織運営を支えるデスクワークが中心であり、事務処理と情報管理が業務の核となる。その遂行には、文書作成やシステム操作による情報処理能力に加え、論理的思考力と高いコミュニケーション能力が求められる。法務、経理、ITなど各分野の専門知識を活用し、正確性と効率性を両立させながら業務を遂行することが重要である。

【主な職業カテゴリ】

一般事務・受付・営業支援系、法務・会計・専門事務職系、ITインフラ・サポート職系、管理職・調整業務系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

コールセンターオペレーター / 社会保険労務士 / 司法書士 / 弁護士 / 弁理士 / 税理士 / 税務事務官 / システムエンジニア(業務用システム) / システムエンジニア(基盤システム) / 運用・管理(IT) / ヘルプデスク(IT) / セキュリティエキスパート(オペレーション) / パラリーガル(弁護士補助職) / 秘書 / 受付事務 / 一般事務 / データ入力 / 営業事務 / 人事事務 / 企画・調査担当 / 貿易事務 / 損害保険事務 / 通信販売受付事務 / 企業法務担当 / 内部監査人 / データエンジニア / 経理課長 / デバッグ作業


<デスクワーク 兼 ノンデスクワーク>

行政書士 / 知的財産コーディネーター / 保険営業(生命保険、損害保険)


<ノンデスクワーク>

スーパーレジ係 / メガネ販売 / 携帯電話販売 / 証券外務員

11. 「街を創る」建設のエキスパート(資料P77~P83)

人々の生活基盤である安全かつ機能的な「街」や「建物」を直接的に創造・開発し、維持する役割を担う職業群である。

この職業群は、建物や構造物の建設・維持管理に携わる技術職が中心である。その遂行には、設備操作や保守、資材管理などの実務スキルや、建築・建設に関する理工学的知識を基盤に、正確な測定や設計に基づく作業を行うことが求められる。高所作業や重作業に対応するため、身体能力や器用さ、感覚的判断力が重要であり、安全装備を用いた慎重な作業が必須である。熟練の技術と精密な作業によって社会の基盤を支える仕事である。

【主な職業カテゴリ】

木造・鉄骨施工系、建物仕上系、管工・解体系

【具体的な職業名】

<ノンデスクワーク>

大工 / 型枠大工 / 左官 / 建築板金 / サッシ取付 / 建築塗装工 / 防水工 / 配管工 / 解体工

12. 「知と情報」の伝達者(資料P84~P90)

社会における知識や情報の流通を担い、人々の知的好奇心や学習意欲に応えつつ、企業・組織の成長・発展を促進する役割を担う職業群である。

この職業群は、人や組織に対して専門的な知識やサービスを提供し、課題解決や成長支援を行う対人支援・情報伝達が業務の核となる。したがって、相手の状況や感情を的確に理解し、論理的かつわかりやすく伝えることのできる高度なコミュニケーション能力が求められる。さらに、人間行動や社会構造に関する知識を基盤に、対話や指導、提案を通じて相手の行動変容を促すことが重要である。自律性と責任感に基づき、継続的な対話と信頼関係構築を重視する仕事である。

【主な職業カテゴリ】

教育・指導系、専門コンサル系、医療・心理専門系、営業・企画・販売系、技術・研究支援系、広報・対外調整系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

ファイナンシャル・プランナー / 電気技術者 / 電気通信技術者 / ファインセラミックス製造技術者 / ITコンサルタント / 人事コンサルタント / 情報工学研究者 / 広報・PR担当 / コンプライアンス推進担当 / ファンドマネージャー / 独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA) / 営業課長


<デスクワーク 兼 ノンデスクワーク>

商社営業 / 住宅・不動産営業 / 広告営業 / 印刷営業 / 医薬情報担当者(MR) / 通訳者 / キャリアカウンセラー, キャリアコンサルタント / 小学校教員 / 中学校教員 / 高等学校教員 / 学習塾教師 / 日本語教師 / 英会話教師 / 社会教育主事 / 精神科医 / 産婦人科医 / カウンセラー(医療福祉分野) / スクールカウンセラー / 営業(IT)


<ノンデスクワーク>

CADオペレーター(*5) / 家電修理 / 葬祭ディレクター / 化粧品訪問販売 / 自転車販売

*5 国政調査による職業分類(中分類)の「生産関連作業従事者(画工,塗装・看板制作を除く)」に含まれるため、本稿ではノンデスクワークとした

13. 「インフラを支える」現場の力(資料P91~P97)

社会のインフラを支える「縁の下の力持ち」として、人々の安全で快適な生活を物理的にサポートする役割を担う職業群である。

この職業群は、建設・整備・運搬などの現場において、社会インフラや設備の安全と機能を実践的に支えている。そのため、高度な身体能力と空間認識力を活かし、危険や不具合を未然に防ぎながら正確で効率的な作業を行う技術力が求められる。さらに、建築・機械・電気などの専門知識を基盤に、保守点検や機械操作を通じて社会の安全性と利便性を維持するために欠かせない役割を担っている。厳しい環境下でも冷静に判断し、確実に作業を遂行する専門的かつ実践的な能力が重視される仕事である。

【主な職業カテゴリ】

建設現場作業系、設備・修理・電気系、物流・輸送支援系、害虫・衛生管理系

【具体的な職業名】

<ノンデスクワーク>

鉄筋工 / とび / 建設機械オペレーター / 建設・土木作業員 / 内装工 / 電気工事士 / 自動車整備士 / 引越作業員 / ペストコントロール従事者(害虫等防除・駆除従事者) / 港湾荷役作業員

14. 「生活空間を整える」現場のサポート役(資料P98~P104)

日常生活におけるさまざまな生活空間において、人々の「当たり前」の生活を支えるために欠かせない役割を担う職業群である。

この職業群は、社会や生活を支えるインフラ・環境を日常的に維持・管理する業務が核となる。特に専門技術よりも現場での実践的スキルと安定した作業遂行力が重視される。設備や環境の異常を見逃さずにトラブルを未然に防ぎ、あわせて生活空間を安全・清潔・快適な状態に保つことが求められる。歩行・走行・立ち作業などを伴うため、筋力や持久力といった基礎体力が必要である。

【主な職業カテゴリ】

清掃・衛生管理系、管理・点検・警備系、配送・搬送・軽作業系、補助・サポート系

【具体的な職業名】

<デスクワーク>

検針員(*6)

*6 国政調査による職業分類(中分類)の「その他外勤事務事業者」に含まれるため、本稿ではデスクワークとした

<ノンデスクワーク>

駐車場管理 / ビル清掃 / クリーニング師 / 家政婦(夫) / 施設警備員 / 客室清掃・整備担当(ホテル・旅館) / マンション管理員 / 新聞配達員 / 倉庫作業員 / ピッキング作業員 / ハウスクリーニング / バックヤード作業員(スーパー食品部門) / 調理補助 / ごみ収集作業員 / 産業廃棄物収集運搬作業員 / 積卸作業員 / こん包作業員

4. おわりに

本レポートでは、「仕事の現在」を把握するために、14の職業分類それぞれの特徴を整理・確認した。その結果、職業群によっては、一見関連性が薄いように見えるデスクワークとノンデスクワークの職業が、同一のクラスターに分類されるケースも見られた。

「1. はじめに」で述べたとおり、本稿の目的は新たな職業分類の提示そのものではなく、「仕事の未来」を考えるうえで現在の姿を正確に捉えることにある。今後、人口減少や少子高齢化、さらにはAIやロボティクスの進化などにより、仕事のあり方は大きく変容し、「分解」と「再構築」が進んでいくと考えられる。その過程で、従来は関連がないと考えられていた職業間に予期せぬ親和性が見出され、新たな仕事や役割が生まれていく可能性が示唆される。

今後のレポートでは、人手不足の進行という社会的課題を踏まえつつ、とりわけAIやロボティクスの発展に焦点を当て、現在の仕事がどのように変化・進化していくのかについて、さらなる考察を深めていく予定である。

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