ザイマックス総研は、2015年から早稲田大学建築学科石田航星研究室と共同で、全国の賃貸ビルを保有する企業(ビルオーナー)を対象に定期的にアンケート調査を行い、賃貸ビル事業の業況や今後の見通し、ビルを取り巻く環境変化への対応や課題などについて継続的に調査してきた(*)。本年度は、保有する築古ビルの改修や今後の方針をテーマに調査を実施し、集計結果をまとめたレポートを公表する。
本ページは集計結果の一部を<概要版>として抜粋したものである。
主な調査結果
- 直近1年間の業況については、「良い・やや良い」が合計65%を占め、概ね好調を維持しており、2024年時点からの大きな変化は見られない。
- 売上30億円未満のビルオーナーにおける中長期的見通しは、悲観傾向は残るものの、楽観の割合が上昇し、コロナ前(2017、2018年)の水準まで回復している。
- 計画的な修繕を行う割合は、売上30億円以上のオーナー(78%)が、30億円未満のオーナー(58%)を大きく上回っている。
- 計画的に修繕を実施しているビルオーナーの方が業況が良い傾向にあり、計画的な修繕が安定したビル経営につながっていると推測できる。
- 築30年以上のビルを保有するビルオーナーの64%が改修を実施済みであり、資産価値の維持に対して一定のコストを投下していることがうかがえた。
- 改修履歴があるビルオーナーの方が業況が良い傾向が見られた。改修が資産価値維持のための先行投資として機能していると推測される。
- 現在改修履歴や計画がないビルオーナーの70%が「当分はこのままの状態で維持していく」と回答しており、建替え・売却を検討する割合は、それぞれ約1割にとどまる。
<調査概要>
2026年6月~7月
東京商工リサーチ(TSR)データより抽出した計21,520社
【売上】1,000万円以上(東京都のみ3,000万円以上)
【業種】賃貸事務所業を「主」または「従」(1位または2位に登記)とする企業
855件(回答率 4.0%)
全国(東京都および政令指定都市)
メールおよび郵送による
topic 1
直近1年間の賃貸ビル事業の業況は、「良い」「やや良い」と考えるオーナーが合計65%と過半数を占める一方で、「悪い」「やや悪い」と回答した割合は6%にとどまっている。全体としての業況は概ね好調である【図表1-1】。
【図表1-1】直近1年間の業況(n=855)
売上30億円未満のビルオーナーにおける中長期的(5~10年後)見通しは、悲観の割合が楽観の割合を上回る傾向は続いているものの、楽観の割合が上昇しコロナ前(2017、2018年)の水準まで回復した【図表1-2】。
【図表1-2】中長期的見通し経年比較(売上30億円未満)
topic 2
ビル運営における最も基本的な支出項目である修繕の方針についてきいたところ、計画的に対応する割合は売上30億円未満のビルオーナー(58%)と比べ、30億円以上のビルオーナー(78%)が高い結果となった【図表2-1】。
【図表2-1】修繕の方針
また、修繕方針別に業況をみたところ、より計画的に修繕を対応している方が業況は良い傾向にあった【図表2-2】。計画的な修繕が経営の健全性につながっていると推測できる。
【図表2-2】修繕の方針と直近1年間の業況
topic 3
築古ビル(築30年以上)に対する改修実績の有無をたずねたところ、64%が「ある」と回答し、資産価値の維持に対して一定のコストを投下していることがうかがえた【図表3-1】。
【図表3-1】改修実績の有無(n=707)
改修実績の有無と直近1年間の業況をみたところ、改修実績が「ある」方が業況が良い傾向にあることがわかった【図表3-2】。改修という資本的支出が、資産価値の維持に必要な先行投資と推測できる。
【図表3-2】改修実績と業況
topic 4
【図表4-1】は、過去に改修を実施しておらず、改修計画もないビルの今後の方針を示している。70%が「当分はこのままの状態で維持していく」と回答し、「建替える」「売却する」は、それぞれ約1割にとどまる。
【図表4-1】今後の方針(改修実績無しかつ改修計画無し、n=83)
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