働き方を考えることは
オフィスのあり方を考えること
日本は、高齢化と生産年齢人口の減少により、すでに労働力不足の時代に入っていると言われており、企業は人材確保と生産性の向上を最重要課題としています。そして、近年の ICT(情報通信技術)の急速な発展により、モバイルワークの導入などが進み、企業はこれまでの働き方を変化させつつあります。
今まで日本企業は従業員の「働く場所」と「働く時間」をオフィスで画一的に管理してきました。仕事はオフィスという場所に紐づいており、従業員はオフィスに通勤し、部署ごとに机が並ぶ固定的なレイアウトのなか、自分の机で仕事をするスタイルが一般的であったといえます。雇用制度については、景気の影響による変動はあるものの、基本的に正社員と非正規社員に二分されており、従業員を労働時間で管理する考え方が続いています。従業員は、特定のオフィスに通勤し、就業時間後帰宅するのが一般的な働き方でしたが、昨今、ICTツールの活用や在宅勤務制度の導入などが広がり始めており、今後は「働く場所」と「働く時間」がより柔軟に変化していく可能性があります。
さらに、企業は生産性向上のために、従業員の働きやすさも重視しています。従業員に、長く、健康で働き続けてもらうための環境の整備も始まっているといえるでしょう。
こういった働き方の変化が、オフィスマーケットに与える影響はあるのでしょうか。これまでのように自席のあるオフィスに出社して働くスタイルが変化すれば、1人あたりに必要とされるオフィス面積が変化し、企業が支払うオフィス賃料への影響も出てくる可能性があります。
また、今後のオフィスの新規供給は、こういった需要動向に関係なく一定量続く予定です。特に東京都心部では、国家戦略特区の指定エリアなど大規模な再開発による複合的な開発が複数続くことで、オフィス床面積がさらに増加していくことになります。
一方の企業では、在宅勤務やサードプレイスオフィスなどを活用し、働く場所を分散させる動きがみられています。中には働き方を変えることでオフィス面積を縮小することを目的のひとつとしている企業もあり、従来は、オフィスワーカーが増えればその分必要であったオフィス面積も、今後は人数の増減だけでは説明できなくなるかもしれません。また、従来の「働く場所」と「働く時間」が柔軟に変化することで、これまでの「オフィス」の立地が分散・拡散したり、「所有」か「賃貸借」であったオフィスの利用形態も多様化してくると考えられます。さらには、AIなどの進化により、将来の人と仕事の関係が大きく変わることで、「働く」こと自体が変化し、想像を超える「オフィスのあり方」が生まれてくる可能性もあります。こういった流れの中で、「オフィス」に集まって働くことの意義や価値も再定義されてくるでしょう。
企業にとって「働き方」と「オフィス」は非常に重要なテーマであると考えます。わたしたちは、変わりゆく「働き方」を支える「オフィス」のあるべき姿と、今後のオフィスマーケットの健全な発展のために、まずはその実態を見える化し、「働き方×オフィス」に関する情報を発信していくこととしました。本サイトが皆さんにとって有益なものとなることを願っております。
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