2020.01.10
オフィスピラミッド 2020
ザイマックス不動産総合研究所は、今般、東京23区と大阪市の「オフィスピラミッド2020」を発表する。オフィスピラミッドは、延床面積300坪以上の主な用途がオフィスであるビルを対象に、築年ごとのオフィス賃貸面積、棟数を規模別に表したものである。
- ・ 2020年末時点のオフィスストックは賃貸面積ベースで1,296万坪、うち、中小規模ビルが607万坪(47%)、大規模ビルが689万坪(53%)と、中小規模と大規模がほぼ同量となっている。
- ・ 棟数ベースでは9,293棟、うち中小規模ビルが8,538棟と92%を占める。
- ・ 平均築年数はストック全体で31.6年、中小規模ビルが32.3年、大規模ビルが23.6年と、中小規模ビルにおいて特にストックが高齢化している。
- ・ 都心5区(中央区、千代田区、港区、渋谷区、新宿区)のオフィスストックは賃貸面積ベースで975万坪、棟数ベースで6,829棟、周辺18区は賃貸面積ベースで320万坪、棟数ベースで2,464棟と、都心5区が全体の約3/4を占める。
- ・ 平均築年数は、都心5区で31.9年、周辺18区で30.9年である。
- ・ 2020年末時点のオフィスストックは賃貸面積ベースで278万坪、うち中小規模ビルが139万坪、大規模ビルが139万坪と同量である。
- ・ 棟数ベースでは1,714棟、うち中小規模ビルが1,526棟と89%を占める。
- ・ 平均築年数はストック全体で32.8年、中小規模ビルが33.3年、大規模ビルが29.2年である。
- ・ 東京23区:2000年末時点と比較すると、賃貸面積では315万坪(32%)、棟数では400棟(4%)増加した。
- ・ 大阪市:2000年末時点と比較すると、賃貸面積では33万坪(13%)、棟数では28棟(2%)増加した。
1. 【東京23区】中小規模と大規模の比較
2. 【東京23区】都心5区と周辺18区の比較
3. 【大阪市】中小規模と大規模の比較
4. 2000年との比較
1. 【東京23区】中小規模と大規模の比較
2020年末時点の東京23区オフィスストックは賃貸面積ベースで1,296万坪である【図表1】。うち、延床面積5,000坪未満の中小規模ビルのストックは607万坪であり、全体の47%にあたる。延床面積5,000坪以上の大規模ビルは689万坪と全体の53%を占め、大規模ビルと中小規模ビルがほぼ同じ面積となっている。
オフィスストック全体の平均築年数は31.6年となった。規模別では、中小規模ビルが32.3年、大規模ビルが23.6年と、中小規模ビルにおいてストックが高齢化している。
【図表1】東京23区オフィスピラミッド2020(賃貸面積ベース)
一方で、棟数ベースでは東京23区全体で9,293棟、うち中小規模ビルが8,538棟(92%)、大規模ビルは755棟(8%)であり、ストックの大部分は中小規模ビルである【図表2】。
【図表2】東京23区オフィスピラミッド2020(棟数ベース)
中小規模ビルはバブル期に竣工した物件(1986~1997年竣工、築23~34年)が多く、築20年以上が500万坪と中小規模ビルの82%を占める。バブル期以降は供給量が少なく、築20年未満は107万坪となった。棟数でみても、築20年以上が7,447棟、築20年未満が1,091棟と、築20年以上のオフィスビルが多数を占めている。
大規模ビルは築20年以上が340万坪、築20年未満が349万坪とほぼ同量である。棟数でみても、築20年以上が413棟と、築20年未満の342棟をやや上回っているものの、その差は小さく、バブル期以降も供給が続いてきたことがわかる。
2. 【東京23区】都心5区と周辺18区の比較
さらに、都心5区(中央区、千代田区、港区、渋谷区、新宿区)と周辺18区に分けてストックをみてみる。
2020年末時点の東京都心5区オフィスストックは賃貸面積ベースで975万坪と、東京23区全体のストックの75%を占める。うち、中小規模ビルは449万坪(46%)、大規模ビルは526万坪(54%)であった【図表3】。また、都心5区のストック全体の平均築年数は31.9年となった。うち、中小規模ビルの平均築年数は32.5年となり、大規模ビルの平均築年数24.5年に比べ築古化が進んでいる。
【図表3】東京都心5区オフィスピラミッド2020(賃貸面積ベース)
棟数ベースでは6,829棟、うち中小規模ビルが6,269棟(92%)、大規模ビルが560棟(8%)であった【図表4】。
【図表4】東京都心5区オフィスピラミッド2020(棟数ベース)
一方で、2020年末時点の東京周辺18区オフィスストックは賃貸面積ベースで320万坪と東京23区全体のストックの25%にあたる。うち、中小規模ビルは157万坪と周辺18区全体のストックの49%、大規模ビルは163万坪で51%である【図表5】。また、周辺18区のストック全体の平均築年数は30.9年で、都心5区の31.9年と大きな差はない。規模別にみると、中小規模ビルの平均築年数は31.7年、大規模ビルの平均築年数は21.1年となった。
【図表5】東京周辺18区オフィスピラミッド2020(賃貸面積ベース)
棟数ベースでは2,464棟、うち中小規模ビルが2,269棟(92%)、大規模ビルが195棟(8%)であった【図表6】。
【図表6】東京周辺18区オフィスピラミッド2020(棟数ベース)
3. 【大阪市】中小規模と大規模の比較
2020年末時点の大阪市オフィスストックは賃貸面積ベースで278万坪である【図表7】。うち、延床面積5,000坪未満の中小規模ビルは139万坪、延床面積5,000坪以上の大規模ビルは139万坪と、賃貸面積では中小規模ビルと大規模ビルが同量となっている。また、大阪市のオフィスストック278万坪は、東京23区のオフィスストック1,296万坪の21%である。
オフィスストック全体の平均築年数は32.8年となった。うち、中小規模ビルが33.3年、大規模ビルが29.2年と、中小規模は大規模に比べて若干ストックが高齢化している。
築年別の構成をみると、中小規模ビルは築20年以上が122万坪、築20年未満が17万坪と、築20年以上のストックが88%を占めており、ここ20年の供給量が少ないことがわかる。大規模ビルは築20年以上が96万坪、築20年未満が43万坪であった。
【図表7】大阪市オフィスピラミッド2020(賃貸面積ベース)
棟数ベースでは大阪市全体で1,714棟、うち中小規模ビルが1,526棟(89%)、大規模ビルは188棟(11%)であった【図表8】。
【図表8】大阪市オフィスピラミッド2020(棟数ベース)
4. 2000年との比較
【東京23区】
東京23区における2000年末時点と2020年末時点のオフィスピラミッドを比較したものが【図表9】である。東京23区全体では、2000年から2020年にかけて賃貸面積ベースで315万坪(32%)、棟数ベースで400棟(4%)の増加となった。
規模別でみると、大規模ビルはバブル崩壊後も毎年一定量の供給があり、賃貸面積ベースで286万坪(71%)、棟数ベースで255棟(51%)増加した。
一方、中小規模ビルはバブル期の大量供給以降、低水準の供給が続いており、賃貸面積で29万坪(5%)、棟数で145棟(2%)の増加となった。
平均築年数は、2000年から2020年にかけて、中小規模ビルで16.7年から32.3年と高齢化が進んだのに対し、大規模ビルでは17.0年から23.6年と、約7年の延びにとどまった。
【図表9】東京23区オフィスピラミッド2000と2020(賃貸面積ベース)
【大阪市】
大阪市における2000年末時点と2020年末時点のオフィスピラミッドを比較したものが【図表10】である。2000年から2020年にかけて賃貸面積ベースで33万坪(13%)、棟数ベースで28棟(2%)の増加となった。
また、新規供給が少ないため、平均築年数は2000年から2020年にかけて、中小規模ビルで16.6年から33.3年に、大規模ビルでは17.5年から29.2年になりストックの高齢化が進んでいる。
【図表10】大阪市オフィスピラミッド2000と2020(賃貸面積ベース)
調査時点
2019年12月
調査エリア
東京23区、大阪市
対象物件
2020年末時点において、延床面積300坪以上、1946年以降に竣工した(予定含む)主な用途が事務所のオフィスビル
集計対象
<大規模>延床面積5,000坪以上、<中小規模>延床面積300坪以上5,000坪未満のオフィスビルの棟数およびオフィス賃貸面積(坪)
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