供給・ストック

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2016.01.29

オフィスピラミッド2016

ザイマックス不動産総合研究所は、今般、東京23 区の「オフィスピラミッド2016」を作成した【図表1】。これは、男女別に年齢ごとの人口を表した「人口ピラミッド」に倣い、オフィスビルを大規模と中小規模に分け、築年ごとにストック量(賃貸面積、棟数)を比較したもので、大規模と中小規模ビルのバランスやそれらの築年構成などをみることができる。 前回2014年時点の調査では築50年未満のオフィスビルを対象としていたが、今回調査では築70年以下(終戦以降に竣工したオフィスビル)としている。

主な調査結果
  • ・ 東京23区オフィスストックは賃貸面積ベースで1,195万坪、うち中小規模ビルが46%、大規模ビルが54%と大規模ビルが半数以上を占める。
  • ・ 棟数ベースでは、東京23区全体で7,803棟、うち中小規模が9割以上を占める。 
  • ・ 平均築年数はストック全体で27.8年、中小規模ビルが28.4年、大規模ビルが22.0年と、中小規模ビルにおいて特にストックが高齢化している。
  • ・ 中小規模ビルでは、バブル期以降供給が少なく、築20年以上が棟数、賃貸面積ともに8割を超える。
  • ・ 大規模ビルでは、築20年以上が築20年未満を棟数ではやや上回っているものの、賃貸面積ではほぼ同数であり、バブル期以降も継続して供給されている。
  •    *大規模ビル:延床面積5,000坪以上、中小規模ビル:延床面積300~5,000坪未満

【図表1】東京23区オフィスピラミッド2016(賃貸面積ベース)

1601-office_stock_pyramid_2016-fig1

1.中小規模と大規模のバランス

2016年末時点の東京23区オフィスストックは賃貸面積ベースで1,195万坪である。うち、延床面積5,000坪未満の中小規模ビルは551万坪であり、ストック全体の46%を占める【図表2】。延床面積5,000坪以上の大規模ビルは644万坪と54%を占め、賃貸面積では中小規模ビルと大規模ビルが半々となっている。

【図表2】東京23区オフィスピラミッド2016
(賃貸面積ベース、大規模と中小規模の比較)
1601-office_stock_pyramid_2016-fig2

一方で、棟数ベースでは東京23区全体で7,803棟、うち中小規模ビルが7,071棟と全体の91%を占めるのに対し、大規模ビルは732棟と、9%にとどまっている【図表3】。

【図表3】東京23区オフィスピラミッド2016(棟数ベース、大規模と中小規模の比較)

1601-office_stock_pyramid_2016-fig3

2.築古と築浅のバランス

ストック全体の平均築年数は27.8年となった。うち、中小規模ビルの平均築年数は28.4年、大規模ビルの平均築年数は22.0年と、中小規模ビルにおいて特にストックが高齢化している【図表4】。

中小規模ビルでは、バブル期に竣工した物件(1987~1993年竣工。築23~29年)が多く、築20年以上が5,927棟と8割を超える。バブル期以降は供給量が少なく、築20年未満は1,144棟となった。賃貸面積で見ても、築20年以上が444万坪、築20年未満が107万坪と、築古のオフィスビルが多数を占めている。

大規模ビルは築20年以上が395棟、築20年未満が337棟と、築20年以上が築20年未満をやや上回っているものの、その差は小さい。賃貸面積で見ても、築20年以上が319万坪、築20年未満が325万坪と、築古と築浅がほぼ同数であり、バブル期以降も供給が続いてきたことがわかる。

【図表4】東京23区オフィスピラミッド(賃貸面積ベース、築年の比較)

1601-office_stock_pyramid_2016-fig4

なお、築35年以上の旧耐震基準の割合は、賃貸面積ベースで中小規模ビルが27%、大規模が20%と、ともに20%を超えており、依然ある程度のシェアを占めていることがわかる【図表5】。

【図表5】東京23区オフィスピラミッド(賃貸面積ベース、旧耐震基準の割合)

1601-office_stock_pyramid_2016-fig5

今後は、大規模ビルは新規供給が続き、同規模間の競争が一層激しくなると予想される。中小規模ビルではバブル期に建てられたビルが築30年を迎え、機能更新や改修が課題となってくるだろう。

調査概要

調査時点

2015年11月

対象エリア

東京23区

対象物件

2016年末時点において、延床面積300坪以上、1946年以降に竣工した主な用途が事務所のオフィスビル

集計対象

<大規模>延床面積5,000坪以上、<中小規模>延床面積300坪以上5,000坪未満のオフィスビルの棟数およびオフィス賃貸面積(坪)

備考

  • ・ 収集データは、新聞記事など一般に公開されている情報のほか、賃貸募集(過去を含む)された情報などをもとに築年が判明している物件を対象として集計した。なお、原則自社ビルを除いている。
  • ・ 建替えや滅失を把握できたものは集計に反映しているが、必ずしも全てでは無い。
  • ・ 2016年に関しては、2015年11月時点で竣工予定日が判明しているものを対象とした。
  • ・ 賃貸面積は、公表されている場合は当該面積を採用し、公表されていない場合は京都大学大学院工学研究科建築学専攻加藤直樹研究室との共同研究で導き出された計算式により、延床面積から推計した面積を採用した。
  • ・ 旧耐震ビルとは、1981年新耐震設計法が施行される前の設計法に基づき建てられたビル。本稿では1981年以前に竣工のビルを旧耐震ビルとした。

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