マーケット指標

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2014.09.19

ザイマックス新規成約賃料インデックスを公表

~オフィス賃貸マーケットの実態を反映した成約賃料に基づく指数~

ザイマックス不動産総合研究所は、成約賃料ベースのオフィス賃料指数「ザイマックス新規成約賃料インデックス」を開発した。今後ホームページで四半期ごとに公表する。

オフィス賃料は、不動産所有、投資にかかわる企業や組織にとっては事業を支える収入であり、一般企業にとっては、働く場所に対する経済的対価である。その実態を適切に把握したいというニーズは強いものの、このような指標作成には大量のデータおよび統計的な処理が必要となる。

ザイマックス新規成約賃料インデックスには以下のような特徴がある。

  1. 募集賃料ではなく、実際に市場で取引された成約賃料を基にしている
  2. ヘドニック法により、延床面積や築年数などの賃料形成要因について品質調整を行うことで、不動産の個別性による影響を取り除いている
  3. 市場構造の変化に対して統計的な処理を逐次行うことで、市場環境を適切に反映している

本インデックスの算出結果を図表1に示す。以降で解説する。

【図表1】ザイマックス新規成約賃料インデックスの推移(東京23区 2001Q1~2014Q2)

【図表1】ザイマックス新規成約賃料インデックスの推移(東京23区 2001Q1~2014Q2)

※末尾に、本インデックスの概要、データを掲載

成約賃料は2012年第2四半期をボトムに緩やかな上昇傾向

図表2は、ザイマックス新規成約賃料インデックス(全体)の2001年第1四半期から2014年第2四半期までの推移である。経済動向を背景に、成約賃料が循環的に変動していることがわかる。

2014年第2四半期は91となり(2010年第1四半期=100)、対前期比で3ポイント下落、対前年同期比で10ポイント上昇した。2012年第2四半期の76をボトムに、緩やかな上昇傾向にある。

【図表2】ザイマックス新規成約賃料インデックスの推移(東京23区)

【図表2】ザイマックス新規成約賃料インデックスの推移(東京23区)

大規模ビルは中小規模ビルにくらべ賃料の変動が激しい

図表3は、大規模ビル(延床面積5000坪以上)と中小規模ビル(同5000坪未満)別のインデックスである。ピークからボトムまでの変化を見ると、大規模ビルは190→76となった一方、中小規模はビル146→79となった。大規模ビルは、賃料の変動が激しい(ボラティリティが相対的に高い)傾向があることがわかる。

【図表3】大規模ビルと中小規模ビル別のザイマックス新規成約賃料インデックス(東京23区)

【図表3】大規模ビルと中小規模ビル別のザイマックス新規成約賃料インデックス(東京23区)

上昇と下落のトレンド(成約賃料DIとの組み合わせ)

図表4は、成約賃料DI(以下DI)と本インデックスとを並べて表示したものである。成約賃料DIは、オフィス成約賃料の上昇と下落のトレンドを表す指標で、ザイマックスが四半期ごとにホームページで公表している(※)。

DIがプラスの時期は成約賃料が上昇し、マイナスの時期は下落することがわかる。また、DIの絶対値が大きくなると成約賃料は急速に変化し、逆にDIの絶対値が小さいと変化は緩やかになる傾向がある。

2014年第2四半期のDIは19となり、上昇したビルが下落したビルよりやや多かった。2013年第1四半期にマイナスを脱して以降増加傾向にあり、現在は成約賃料の上昇トレンドがゆっくりと強まりつつある状況にあると考えられる。

このように、成約賃料DIと本インデックスを組み合わせることで、オフィス賃貸マーケットの動向を多面的に把握できるようになる。

※2014年8月6日公表「成約賃料DI(2014年第2四半期)」参照

【図表4】成約賃料DIとザイマックス新規成約賃料インデックス(東京23区)

【図表4】成約賃料DIとザイマックス新規成約賃料インデックス(東京23区)

インデックスの概要

名称 ザイマックス新規成約賃料インデックス
用途 オフィスビル
地域 東京23区
公表頻度 四半期
期間 2001年第1四半期~2014年第2四半期 ※以後四半期ごとに発表
データソース ザイマックスが収集した成約ベースの賃料単価(共益費込)
データ数 30610(2001Q1~2014Q2) 参考:2014Q2で858、直近4四半期平均822
推定手法 接続型ヘドニック法(重複期間:5四半期)
※回帰モデルに標準的なビルの属性値(表下部参照)を代入して得た成約賃料(推定値)を基準時点=100として表した数値
タイプ 全体、大規模、中小規模
基準時点 2010年第1四半期を100
使用した変数 目的変数:成約賃料単価(対数)
説明変数:都心3区ダミー、延床面積(対数)、地上階数、基準階面積(対数)、最寄駅からの徒歩分数、成約時点築年数、OAフロアダミー、個別空調ダミー、機械警備ダミー、リニューアル履歴ダミー、大規模ダミー(5000坪超)、成約時点タイムダミー
各タイプの
標準的なビル像
<全体の標準的なビル>
都心3区に所在、延床面積5,000坪、地上階数12階、基準階面積250坪、最寄駅からの徒歩分数3分、築年数15年、OAフロアあり、個別空調あり、機械警備あり、未リニューアル
<大規模の標準的なビル>
都心3区に所在、延床面積20,000坪、地上階数25階、基準階面積500坪、最寄駅からの徒歩分数3分、築年数10年、OAフロアあり、個別空調あり、機械警備あり、未リニューアル
<中小規模の標準的なビル>
都心3区に所在、延床面積1,500坪、地上階数9階、基準階面積100坪、最寄駅からの徒歩分数3分、築年数15年、OAフロアあり、個別空調あり、機械警備あり、未リニューアル

※本リリースの英語、中国語、韓国語版をザイマックスのホームページにて公開している
英語 http://www.xymax.co.jp/english/index.html
中国語 http://www.xymax.co.jp/cn/index.html
韓国語 http://www.xymax.co.jp/ko/index.html

インデックスの数値データ

  2001Q1 2001Q2 2001Q3 2001Q4 2002Q1 2002Q2 2002Q3 2002Q4 2003Q1
全体 117 115 123 115 127 120 109 105 105
大規模ビル 118 110 114 114 106 103 102 93 101
中小規模ビル 118 116 121 114 123 115 105 103 105
  2003Q2 2003Q3 2003Q4 2004Q1 2004Q2 2004Q3 2004Q4 2005Q1 2005Q2
全体 99 98 96 97 100 102 95 99 101
大規模ビル 92 87 104 93 105 96 94 106 111
中小規模ビル 100 100 98 99 102 103 97 101 101
  2005Q3 2005Q4 2006Q1 2006Q2 2006Q3 2006Q4 2007Q1 2007Q2 2007Q3
全体 101 105 116 118 120 129 135 139 150
大規模ビル 108 113 125 124 135 138 137 161 165
中小規模ビル 101 104 113 114 115 120 127 129 137
  2007Q4 2008Q1 2008Q2 2008Q3 2008Q4 2009Q1 2009Q2 2009Q3 2009Q4
全体 147 146 161 148 145 129 117 111 109
大規模ビル 164 187 190 143 169 124 134 110 107
中小規模ビル 134 134 146 137 137 125 116 111 108
  2010Q1 2010Q2 2010Q3 2010Q4 2011Q1 2011Q2 2011Q3 2011Q4 2012Q1
全体 100 96 100 94 93 91 93 90 85
大規模ビル 100 95 96 93 92 91 93 87 96
中小規模ビル 100 96 100 96 94 94 96 93 88
  2012Q2 2012Q3 2012Q4 2013Q1 2013Q2 2013Q3 2013Q4 2014Q1 2014Q2
全体 76 82 83 93 81 87 87 94 91
大規模ビル 76 89 88 96 82 90 88 97 97
中小規模ビル 79 86 87 97 84 91 90 97 94
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