2014.02.26

オフィスビルエネルギー消費量及びコストに関する調査

～エネルギー消費量は減少したものの、単価上昇によりコストは15%アップ（対2010年比）～

地球温暖化や東日本大震災を契機に、エネルギーの消費量やコストへの関心が高まっている。しかし、ビル全体でのエネルギー消費状況について、コストを含めた定量的なデータは乏しく、現状を客観的に把握する事が難しい。 そこで、ザイマックス不動産総合研究所（以下、ザイマックス総研）は、ザイマックスグループが独自に入手・蓄積してきたビルのエネルギーデータを利用して、消費量とコストの推移を調査した。なお、エネルギーとは電気、ガス、熱、油類を対象とする。

【図表1】エネルギー消費量・単価・コストの過去 12 ヵ月平均値の推移

※各月の数値は単月値ではなく、12ヵ月前～当月までの1年間の平均値を示す ※2010年12月時点の数値を100として指数化 ※エネルギー消費量は、単位を MJ（一次エネルギー量）に換算 ※消費量、コストは単位面積あたりの数値を算出し、指数化 ※3つの指標の関係は、コスト＝単価×消費量

エネルギー消費量・単価・コストの単月値の推移

エネルギー消費量（MJ / m²・月）

図表2は消費量の推移を示している。震災後は、2010年比で約15%程度減少した水準で推移している事が確認できる。震災をきっかけに、オフィスビルで省エネが推進され、定着している事が推察できる。

【図表2】エネルギー消費量（MJ/m²・月）の推移

エネルギー単価（円 / MJ）

図表3は単価の推移を示している。震災以前より徐々に上昇している事が確認できる。 オフィスビルに供給されるエネルギーの原料は、その大部分を輸入に頼っており、その費用は為替レートを加味した資源価格に影響を受ける。これを踏まえ、エネルギー供給会社ごとの事情に基づき決定される価格動向が単価上昇の背景にあるものと考えられる。

【図表3】エネルギー単価（円/MJ）の推移

エネルギーコスト（円 / m²・月）

図表4はコストの推移を示している。エネルギー消費量・単価の変動の結果として、2011年、コストは一時的に下落した。これは消費量が大きく減少したことが影響している。しかし、消費量はその後同水準で推移する一方で単価は上昇を続けたため、結果としてコストも2010年の水準を超え、2012年には4%増、2013年には15％増となった。

【図表4】エネルギーコスト（円/m²・月）の推移

参考：オフィステナント電力量調査

ザイマックス総研では、「オフィステナント電力量調査」を定期的に公表している。
※最新調査結果は2013年12月24日公表「オフィステナント電力量調査（～2013 .9）」参照
「オフィステナント電力量調査」では、オフィステナントの専用部区画での消費電力量に限定した調査を行っている。 ザイマックス総研では、今後、本調査と「オフィステナント電力量調査」を並行して実施する事で、両側面からエネルギーに関する実態を把握し、定期的に調査結果を公表していく事を予定している。

本調査とオフィステナント電力量調査における対象範囲（例）

エネルギー消費量・単価・コスト　月次データ（2009年4月～2013年12月）