マーケット指標

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2013.12.13

成約賃料DI、四半期ごとの公表へ。2013年第1四半期以降、プラス続く

~東京23区に加え、都心3区の結果も公表~

ザイマックス不動産総合研究所(以下、ザイマックス総研)は、本年6月に公表した「成約賃料DI(ディフュージョンインデックス)」の四半期版[図表1]を作成し、2013年第3四半期(7月から9月期)より東京23区および都心3区について四半期ごとの提供を開始する。

「成約賃料DI」は「成約」ベースのデータを用い、同一ビルにおける新規賃料単価の変動(「上昇」「据置」「下落」)からオフィスマーケットの市況を表した指標である。通常、募集賃料と成約賃料の間にはかい離があるが、本指標は「成約」データを利用するため「募集」ベースの指標と比較して成約実態をより適切に表すことができると考えている。

2013年第3四半期の成約賃料DIは東京23区で「+6」、都心3区で「+2」と、3期連続してプラスで推移した。成約賃料DIは2013年第1四半期に5年ぶりにプラスに転じ、その後、賃料単価が上昇した物件の割合が下落した物件の割合を上回る状況が継続している。また、4期移動平均からもオフィスマーケットが上昇傾向にあることが確認できる。

※前回調査は2013年6月3日公表「東京23区 オフィスビル 成約賃料変動率、フリーレントともに改善」参照

[図表1] 成約賃料DI(東京23区)

[図表1] 成約賃料DI(東京23区)

[図表2] 成約賃料DI(都心3区)

[図表2] 成約賃料DI(都心3区)

成約賃料DIは、ザイマックス不動産総合研究所において、不動産市況の方向性を測定するために作成した指標である。 ザイマックスグループが独自に収集した成約データなどを用い、各ビルごとに2つの期間における賃料単価(共益費込単価)を比較。「上昇」「据置」「下落」についてそれぞれ棟数をカウントし、その割合を求めた上で上昇パーセンテージから下落パーセンテージを引いた数字を「成約賃料DI」とした(右図参照)。

なお、今回より公表する成約賃料DIは、よりタイムリーな情報提供のため、本年6月公表時のデータをベースに、集計方法などを見直し、四半期ごとの結果を表したものである。DIは半年前の賃料変動率を基に計測しており、データ数は各四半期、平均400件程度。 一般的にオフィス賃料は、企業業績とそれに伴うオフィス戦略を受けてから変動するため、景気に遅行すると言われている。しかし、新規賃料の変化を表す成約賃料DIと、企業全般の景況感を示す日銀短観や景気に先行すると言われる株価などとの相関関係を見ると、高い相関性がみられた(参考データは次項参照)。今後、本指標が景気動向をオフィス市場の面から捉える基礎情報の一つとなることを期待する。

(参考)成約賃料DIと他の経済指標との関係

成約賃料DIについて、他の経済指標との相関関係を調査し、景気との連動性を見てみた。【図表3】は不動産価格の代表的な指標である市街地価格指数と比較した結果である。市街地価格指数を2四半期前倒しした時に高い相関性が見られた。

[図表3] 成約賃料DI(23区)と市街地価格指数(東京都区部、商業地)

[図表3] 成約賃料DI(23区)と市街地価格指数(東京都区部、商業地)

(出所)ザイマックス不動産総合研究所、日本不動産研究所 (注)市街地価格指数は半年ごとの数値

また、企業の景況感を表す日銀短観や東証株価指数とも高い相関性が認められた【図表4,5】。

[図表4] 成約賃料DI(23区)と日銀短観(大企業/非製造業)

[図表4] 成約賃料DI(23区)と日銀短観(大企業/非製造業)

(出所)ザイマックス不動産総合研究所、日本銀行

[図表5] 成約賃料DI(23区)と東証株価指数

[図表5] 成約賃料DI(23区)と東証株価指数

(出所)ザイマックス不動産総合研究所、東京証券取引所 (注)東証株価指数は各四半期末の終値の値を採用

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