マーケット指標

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2017.11.01

オフィスマーケットレポート 東京 2017Q3

まとめ
  • ・今期(2017年9月期)の東京23区オフィスマーケットは、空室率は3%台と低水準で推移しているなど、需給のひっ迫感は依然続いている。前期は下落した新規成約賃料も再び上昇に転じた。
  • ・空室率は前期と比べ0.38ポイント下降して3.28%となった。空室増減量は、減少が24.1万坪、増加が18.9万坪と、空室の減少が増加を上回った。四半期ごとの空室在庫に対してどれだけ空室が減少したかを割合で示す空室消化率は右肩上がりの傾向で推移している。
  • ・新規賃料の水準を示す新規成約賃料インデックスは前期から5 ポイント上昇して109となった。新規賃料が上昇した物件の割合から下落した物件の割合を引いた成約賃料DIは前期と比べて7ポイント上昇して+13となった。
  • ・新規賃料と継続賃料の両方を含む支払賃料インデックスは前期から1ポイント上昇して92となった。
  • ・フリーレントは短期化傾向が続いており、フリーレントあり契約の平均月数は3.3ヶ月と前期から0.4ヶ月減少した。

空室

図表1は、2011年から東京23区の空室率の推移である。2017年第3四半期の空室率は前期から0.38ポイント下降して3.28%となった。2012年第3四半期以降、空室率の下降傾向が続いている。 市場全体で空室が少なくなってきており、条件のよい空室はすぐにテナントが決まる状況が続いている。また、発生した空室が館内増床で埋まり、外部に募集されずに消化されることも多く、オフィス需要は引き続き堅調である。

図表1:空室率

図表2は、四半期ごとの空室の増加面積と減少面積(空室増減量)の推移である。今期の空室増加は18.9万坪、空室減少は24.1万坪と2015年第1四半期以降11期連続して空室減少が増加を上回り、空室率の継続した低下につながっている。 今期は空室増加面積と空室減少面積の差が前期よりも広がった。一部の大型ビルへの移転に際し、移転元のビルで二次空室が発生しなかったことが要因のひとつとして考えられる。

図表2:空室増減量

図表3は、四半期ごとの空室在庫(期初の空室在庫+期間中に発生した空室の総量)に対して、期間中に空室がどれだけ減少したかを割合で示す空室消化率(4四半期移動平均)である。 今期の空室消化率は前期からやや上昇し、37.5%となった。緩やかな右肩上がりの推移が続いており、市場にある空室在庫が順調に消化されている様子がみえる。

図表3:空室消化率(4四半期移動平均)


新規成約賃料

図表4は、新規賃料の水準を示す新規成約賃料インデックス(東京23区)の推移である。2017年第3四半期は109と前期の104から5ポイント上昇した。前期は9四半期ぶりに新規成約賃料インデックスが下落したものの、今期は再び上昇に転じた。

図表4:新規成約賃料インデックス

図表5は規模別の新規成約賃料インデックスの推移である。延床面積5,000坪未満の中小規模ビルは109と6ポイント上昇、延床面積5,000坪以上の大規模ビルは111と4ポイント上昇した。 前期は大規模・中小規模ともに新規成約賃料が下落したものの、今期は再び上昇に転じ、2012年第3四半期以降の上昇傾向が続いている。

図表5:規模別の新規成約賃料インデックス

図表6は新規成約賃料の変化の方向性を示す成約賃料DI(東京23区)の推移である。今期は「+13」と、前期から7ポイント上昇した。新規賃料が上昇した物件が下落した物件より多い状態である成約賃料DIのプラス圏は10期連続となった。

図表6:成約賃料DI

前期は新規成約賃料インデックスが下落して、成約賃料DIも2期連続で一桁台になるなど、賃料上昇傾向に陰りが見られたが、今期は再び上昇に転じ、これまでの上昇傾向が続いている。 都心部の空室が少ない状況の中、テナントは周辺エリアに移転先を広げてきており、周辺18区でも賃料が上昇しつつある。


支払賃料

図表7は新規賃料と継続賃料の両方を含む支払賃料インデックス(東京23区)の推移である。

図表7:支払賃料インデックス

2017年第3四半期は92となり、前期と比べ1ポイント上昇した。2013年第3四半期以降、緩やかな上昇傾向を続けている。入居時の新規賃料の上昇や入居しているテナントの賃料値上げにより、支払賃料が上昇している。


フリーレント

図表8は、新規契約のうちフリーレントを付与した割合(付与率)と、フリーレント期間の平均値(平均フリーレント月数)の推移である。

図表8:フリーレント

2017年第3四半期は、「全契約の平均フリーレント月数」は2.4ヶ月と前期から0.3ヶ月減少した。

フリーレントは短期化傾向が続いており、6ヶ月以上の長期フリーレントは前年同期(2016年Q3)の31.3%から今期は12.6%と大きく低下した。このような長期のフリーレントは、テナント誘致に苦慮している物件や新規物件以外ではほとんどみられなくなってきた。

マーケット循環

図表9は横軸に空室率、縦軸に新規成約賃料インデックスをとって四半期ごとにプロットしたものである。

図表9:マーケット循環

2001年以降右下方向(空室率上昇・賃料下落)に移動し、2003年から2004年の停滞期を経て、2005年以降左上方向(空室率低下・賃料上昇)へ移動し、2008年以降再び右下方向へ移動、とマーケットが循環しながら推移する様子が観察できる。

2013年以降オフィス賃貸マーケットは回復期に移行し、2017年時点でもその傾向は継続している。今期は空室率が低下、賃料が上昇し、やや左上方向に移動した。




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